概要:
流体工学とは、気体と液体に関する力学を工学的に取り扱う学問である。流体が関わる現象や技術は広範囲に及び、さまざまな分野の科学技術と関連している。しかしながら、多くの流体は目に見えず、また自由に変形できることから、それらの現象を捉えることは難しく、理解しにくいところがある。
本授業では、流体に関する基本的な内容を理解し、技術的場面で活用できることを目的とする。
授業の進め方・方法:
予習および復習がしやすいように教科書を中心とした講義を行う。まず、流体に関する現象をなるべく身近な例で解説し、それらの現象の捉え方、考え方が身につけられるように解説を加える。できるだけ多くの図表や実用的な数式を用いて、現象を理解し、定量的に表現できるように進める。また、自ら演習問題を解くなど、予習復習をして授業内容の理解に努めること。
注意点:
評価基準:60点以上を合格とする。
評価方法:前期、後期それぞれ定期試験(原則 中間試験50%+期末試験50%)100%として評価する。
再試験は必要に応じて,原則,学年末に1回のみ行う。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
流体工学とは |
流体の定義と性質を表す各物理量について説明できる。
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2週 |
流体の性質と分類(基本的性質,分類) |
圧縮性流体と非圧縮性流体,粘性と非粘性流体それぞれの違いを説明できる。
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3週 |
流体の性質と分類(単位と次元) |
単位と次元を理解し,次元解析の考え方を説明できる。
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4週 |
流れの基礎(流れを表す物理量) |
流れを表す物理量(速度,加速度)の表す式。流体の変形と回転の式を説明できる。
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5週 |
流れの基礎(様々な流れ) |
渦流れを表す式を説明できる。層流と乱流の違い,混相流,キャビテーションの現象を説明できる。
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6週 |
静止流体の力学(静止流体中の圧力1) |
静止流体の重力場における圧力分布の考え方を説明できる。
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7週 |
静止流体の力学(静止流体中の圧力2) |
液柱計やマノメータの原理を説明できる。また,それらを使って圧力を測定できる。
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8週 |
前期中間までの復習(前期中間試験) |
前期中間までに習った内容を確認する。
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2ndQ |
9週 |
前期中間までの復習(試験解答) |
前期中間までに習った内容を確認する。
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10週 |
静止流体の力学(面に働く静止流体力) |
平面や曲面に作用する全圧力および圧力中心を計算できる。
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11週 |
静止流体の力学(浮力,相対的平衡での圧力分布) |
物体に作用する浮力を計算できる。また,相対的平衡での圧力分布を計算できる。
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12週 |
準1次元流れ(連続の式) |
質量保存則と連続の式を説明でき,それらを用いて流速と流量を計算できる。
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13週 |
準1次元流れ(ベルヌーイの式1) |
エネルギー保存則とベルヌーイの式を説明できる。
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14週 |
準1次元流れ(ベルヌーイの式2) |
エネルギー保存則とベルヌーイの式を用いて,準一次元流れの基本的な問題を解くことができる。
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15週 |
前期までの復習(前期期末試験) |
前期までに習った内容を確認する。
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16週 |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
前期の復習 |
前期で学習した内容を説明できる。
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2週 |
運動量の法則(運動量方程式1) |
運動量保存則とオイラーの運動方程式を説明できる。
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3週 |
運動量の法則(運動量方程式2) |
運動量方程式を用いて,物体に作用する力など,流れの基本的な問題を解くことができる。
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4週 |
運動量の法則(角運動量方程式) |
角運動量の法則を理解し,回転運動における流体が物体に及ぼすモーメントを計算できる。
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5週 |
管内の流れ(管摩擦損失) |
管(直管路)内流れの層流と乱流の違い,それぞれの流れと管摩擦損失との関係を説明できる。
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6週 |
管内の流れ(管路の諸損失) |
ダルシー・ワイズバッハの式とムーディ線図を用いて管摩擦損失を計算できる。
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7週 |
管内の流れ(管路系) |
様々な管要素の損失を説明でき,管路系の総損失の計算ができる。絞りのある管路による流量測定原理を説明できる。
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8週 |
後期中間までの復習(後期中間試験) |
後期中間までに習った内容を確認する。
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4thQ |
9週 |
後期中間までの復習(試験解答) |
後期中間までに習った内容を確認する。
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10週 |
物体まわりの流れ(抗力) |
流れの中の物体に作用する抗力を説明でき,抗力係数を用いて抗力を計算できる。
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11週 |
物体まわりの流れ(揚力) |
流れの中の物体に作用する揚力を説明でき,揚力係数を用いて抗力を計算できる。
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12週 |
物体まわりの流れ(カルマン渦) |
カルマン渦が物体に及ぼす振動現象を説明できる。
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13週 |
流体の運動方程式(連続の式) |
局所的な流体の運動の表し方(連続の式)を説明できる。
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14週 |
流体の運動方程式(ナビエ・ストークスの式1) |
局所的な流体の運動の表し方(粘性法則)およびナビエ・ストークスの式の基本的な考え方を説明できる。
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15週 |
後期までの復習(後期期末試験) |
後期までに習った内容を確認する。
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 機械系分野 | 熱流体 | 圧縮性流体と非圧縮性流体の違いを説明できる。 | 3 | 前2 |
流体の定義と力学的な取り扱い方を理解し、適用できる。 | 4 | 前1,前2 |
流体の性質を表す各種物理量の定義と単位を理解し、適用できる。 | 4 | 前1,前2 |
ニュートンの粘性法則、ニュートン流体、非ニュートン流体を説明できる。 | 4 | 前2 |
絶対圧力およびゲージ圧力を説明できる。 | 4 | 前6 |
パスカルの原理を説明できる。 | 4 | 前6 |
液柱計やマノメーターを用いた圧力計測について問題を解くことができる。 | 4 | 前7 |
平面や曲面に作用する全圧力および圧力中心を計算できる。 | 4 | 前10 |
物体に作用する浮力を計算できる。 | 4 | 前11 |
質量保存則と連続の式を説明できる。 | 3 | 前13 |
ピトー管、ベンチュリー管、オリフィスを用いた流量や流速の測定原理を説明できる。 | 3 | 前14,後7 |
定常流と非定常流の違いを説明できる。 | 4 | 前4 |
流線と流管の定義を説明できる。 | 4 | 前4 |
連続の式を理解し、諸問題の流速と流量を計算できる。 | 4 | 前13 |
オイラーの運動方程式を説明できる。 | 4 | 後2 |
ベルヌーイの式を理解し、流体の諸問題に適用できる。 | 4 | 前13 |
運動量の法則を理解し、流体が物体に及ぼす力を計算できる。 | 4 | 後2,後3 |
円管内層流および円管内乱流の速度分布を説明できる。 | 3 | 後5 |
ハーゲン・ポアズイユの法則を説明できる。 | 3 | 後5 |
層流と乱流の違いを説明できる。 | 4 | 前7 |
レイノルズ数と臨界レイノルズ数を理解し、流れの状態に適用できる。 | 4 | 後5 |
ダルシー・ワイスバッハの式を用いて管摩擦損失を計算できる。 | 4 | 後5,後6 |
ムーディー線図を用いて管摩擦係数を求めることができる。 | 4 | 後6,後7 |
流れの中の物体に作用する抗力および揚力について説明できる。 | 3 | 後10,後11 |
境界層、はく離、後流など、流れの中に置かれた物体の周りで生じる現象を説明できる。 | 4 | 後10,後11,後12 |
抗力について理解し、抗力係数を用いて抗力を計算できる。 | 4 | 後10 |
揚力について理解し、揚力係数を用いて揚力を計算できる。 | 4 | 後11 |