工業倫理

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 平成29年度 (2017年度)
授業科目 工業倫理
科目番号 0244 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 機械工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:はじめての工学倫理(第3版)、斉藤了文他・坂下浩司、昭和堂 参考書:技術者の倫理入門、杉本泰治・高城重厚、丸善 技術者倫理の世界、藤本温編著、森北出版
担当教員 松永 崇

到達目標

1.倫理の基本的な知識を身につける。
2.技術が社会に及ぼす影響・効果を考えることができる。
3.技術者としての社会に対する責任を理解し、自覚できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1倫理の基本的な知識を身に付けることができる。倫理の基本的な知識をある程度身に付けることができる。倫理の基本的な知識を身に付けることができない。
評価項目2技術が社会に及ぼす影響・効果を考えることができる。技術が社会に及ぼす影響・効果を考えることがある程度できる。技術が社会に及ぼす影響・効果を考えることができない。
評価項目3技術者としての社会に対する責任を理解し、自覚できる。技術者としての社会に対する責任を理解し、自覚することがある程度できる。技術者としての社会に対する責任を理解し、自覚できない。

学科の到達目標項目との関係

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教育方法等

概要:
科学技術の目覚しい発展に伴い、技術が社会や地球環境に大きな影響を及ぼすようになっている。近年特に、技術者の倫理に関わる事件や事故が数多く起こっていることから、技術者倫理の確立が求められている。このようなことから、技術者の倫理規範や社会的責任の重要性を理解し、技術者として社会や環境に対して倫理的に正しく行動し、その責任を果たしていくために必要な基礎知識と実践的な手法を取得する。
授業の進め方・方法:
教科書と配布プリントに沿って内容の要点を板書し説明することによって、技術者倫理の概念や基礎知識を学習する。その際に、具体的な事例もマルチメディアを用いて紹介する。事例研究やグループ討議を通して、実社会における複雑な問題を疑似体験することにより問題解決の手法の習得と解決能力の向上を図る。また、適宜、課題をレポートにして提出させる。
注意点:
定期試験(期末試験のみ)60%,課題レポート40%を目安として評価する。
再試験は原則行わない。
評価基準:60点以上を合格とする。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 技術者倫理とは、「技術者倫理学習のスキル」について             :講義とビデオ学習 工業倫理の概要と何を習得するのかを理解する。
2週 技術、倫理、技術者倫理の基本概念と用語  :講義 倫理とは何か、また倫理問題と設計問題のアナロジーを理解する。
3週 技術者の倫理綱領、倫理と法の関係     :講義 技術者に必要な倫理とは何か、また倫理と法との関係を理解する。
4週 ケーススタディ(チャレンジャー号事故)                :事例研究と発表・討論 倫理的問題の所在を分析し、事故防止のための取り組みや対応の方法について考察することができる。
5週 技術/技術者倫理の必要性、組織としての技術者倫理                  :講義 技術者個人の思考と行動について理解し、組織としての技術倫理の必要性も理解する。
6週 倫理的な意思決定のための方法、エシックステストおよび意思決定を妨げる要因と促進要因    :講義 倫理的な意思決定の方法を理解し、応用することができる。
7週 セブン・ステップ・ガイドの応用   :演習と発表 セブン・ステップ・ガイドを選択課題に応用することができる。
8週 「技術者の自律」ビデオ学習  :事例研究と発表 倫理的問題について整理し、課題を設定して、解決に向けて考察することができる。
2ndQ
9週 専門職の倫理とパターナリズム     :講義     専門家に特有のパターナリズムに陥らないために必要なことを理解する。
10週 安全性と「受け入れ可能リスク」、日航機墜落事故、製造物責任法(PL法)         :講義 安全とリスク、安全を確保する設計思想、PL法について理解する。
11週 ケーススタディ(フォード・ピント事件)                      :事例研究と討論 フォード社の対応と費用便益分析について理解し、批判することができる。
12週 倫理学の三理論          :講義 倫理学の三理論について、それぞれの長所と短所を理解する。
13週 ケーススタディ(ソーラーブラインドなど選択課題)              :事例研究と発表 倫理的な問題の要点をまとめ、対応策を考察することができる。
14週 技術者の知的財産権、解決方法の最終手段である公益通報制度の現状と課題        :講義 特許と著作権、内部告発が許される条件について理解する。
15週 ケーススタディ(ギルベイン・ゴールド)                     :事例研究と発表 内部告発に至るまでにどのような行動をとることが可能か考察することができる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を理解し、社会における技術者の役割と責任を説明できる。2前3,前4,前5,前10
説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。2前6,前10
技術者を目指す者として、社会での行動規範としての技術者倫理を理解し、問題への適切な対応力(どうのように問題を捉え、考え、行動するか)を身に付けて、課題解決のプロセスを実践できる。3前6,前10
環境問題の現状についての基本的な事項について把握し、科学技術が地球環境や社会に及ぼす影響を説明できる。3前10,前12
国際社会における技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。3前10,前12
社会性、社会的責任、コンプライアンスが強く求められている時代の変化の中で、技術者として信用失墜の禁止と公益の確保が考慮することができる。3前8,前9,前10,前13
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。3前8,前9,前10
技術者を目指す者として、平和の構築、異文化理解の推進、自然資源の維持、災害の防止などの課題に力を合わせて取り組んでいくことの重要性を認識している。3前8,前9,前10

評価割合

試験レポート相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合60400000100
基礎的能力0000000
専門的能力60400000100
分野横断的能力0000000