流体工学

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 流体工学
科目番号 0254 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書 :JSMEテキストシリーズ「流体力学」(日本機械学会)参考図書:深野徹著「わかりたい人の流体工学(I)」(裳華房)、坂田光雄・坂本雅彦共著「流体の力学」(コロナ社)
担当教員 谷野 忠和

到達目標

1.流体の物性値と単位ならびに流体の性質を理解する。
2.連続の式、べルヌーイの式ならびに運動量の法則などを使った、流体に関する基本的な計算ができる。
3.流体が関わる現象を理解し、機械の設計に役立てる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1流体の物性値と単位、流体の性質ならびに静力学の意味を理解し,基礎的な問題を解くことができる。流体の物性値と単位、流体の性質ならびに静力学の意味を理解し,基礎的な問題をある程度解くことができる。流体の物性値と単位、流体の性質ならびに静力学の意味の理解が不十分で,基礎的な問題を解くことができない。
評価項目2連続の式、べルヌーイの式ならびに運動量の法則などを使った、流体に関する基本的な計算ができる。連続の式、べルヌーイの式ならびに運動量の法則などを使った、流体に関する基本的な計算がある程度できる。連続の式、べルヌーイの式ならびに運動量の法則などを使った、流体に関する基本的な計算ができない。
評価項目3管内流れならびに物体に作用する力など、流体が関わる現象を理解し、基本的な問題を解くことができる。管内流れならびに物体に作用する力など、流体が関わる現象を理解し、基本的な問題をある程度解くことができる。管内流れならびに物体に作用する力など、流体が関わる現象の理解が不十分で、基本的な問題を解くことができない。

学科の到達目標項目との関係

JABEE C-4 説明 閉じる

教育方法等

概要:
流体工学とは、気体と液体に関する力学を工学的に取り扱う学問である。流体が関わる現象や技術は広範囲に及び、さまざまな分野の科学技術と関連している。しかしながら、多くの流体は目に見えず、また自由に変形できることから、それらの現象を捉えることは難しく、理解しにくいところがある。
本授業では、流体に関する基本的な内容を理解し、技術的場面で活用できることを目的とする。
授業の進め方・方法:
予習および復習がしやすいように教科書を中心とした講義を行う。まず、流体に関する現象をなるべく身近な例で解説し、それらの現象の捉え方、考え方が身につけられるように解説を加える。できるだけ多くの図表や実用的な数式を用いて、現象を理解し、定量的に表現できるように進める。また、自ら演習問題を解くなど、予習復習をして授業内容の理解に努めること。
注意点:

評価基準:60点以上を合格とする。
評価方法:前期、後期それぞれ定期試験(原則 中間試験50%+期末試験50%)100%として評価する。
再試験は必要に応じて,各期末試験後に1回のみ行う。
     

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 流体工学とは 流体の定義と性質を表す各物理量について説明できる。
2週 流体の性質と分類(基本的性質,分類) 圧縮性流体と非圧縮性流体,粘性と非粘性流体それぞれの違いを説明できる。
3週 流体の性質と分類(単位と次元) 単位と次元を理解し,次元解析の考え方を説明できる。
4週 流れの基礎(流れを表す物理量) 流れを表す物理量(速度,加速度)の表す式。流体の変形と回転の式を説明できる。
5週 流れの基礎(様々な流れ) 渦流れを表す式を説明できる。層流と乱流の違い,混相流,キャビテーションの現象を説明できる。
6週 静止流体の力学(静止流体中の圧力1) 静止流体の重力場における圧力分布の考え方を説明できる。
7週 静止流体の力学(静止流体中の圧力2) 液柱計やマノメータの原理を説明できる。また,それらを使って圧力を測定できる。
8週 前期中間までの復習(前期中間試験) 前期中間までに習った内容を確認する。
2ndQ
9週 前期中間までの復習(試験解答) 前期中間までに習った内容を確認する。
10週 静止流体の力学(面に働く静止流体力) 平面や曲面に作用する全圧力および圧力中心を計算できる。
11週 静止流体の力学(浮力,相対的平衡での圧力分布) 物体に作用する浮力を計算できる。また,相対的平衡での圧力分布を計算できる。
12週 準1次元流れ(連続の式) 質量保存則と連続の式を説明でき,それらを用いて流速と流量を計算できる。
13週 準1次元流れ(ベルヌーイの式1) エネルギー保存則とベルヌーイの式を説明できる。
14週 準1次元流れ(ベルヌーイの式2) エネルギー保存則とベルヌーイの式を用いて,準一次元流れの基本的な問題を解くことができる。
15週 前期までの復習(前期期末試験) 前期までに習った内容を確認する。
16週
後期
3rdQ
1週 前期の復習 前期で学習した内容を説明できる。
2週 運動量の法則(運動量方程式1) 運動量保存則とオイラーの運動方程式を説明できる。
3週 運動量の法則(運動量方程式2) 運動量方程式を用いて,物体に作用する力など,流れの基本的な問題を解くことができる。
4週 運動量の法則(角運動量方程式) 角運動量の法則を理解し,回転運動における流体が物体に及ぼすモーメントを計算できる。
5週 管内の流れ(管摩擦損失) 管(直管路)内流れの層流と乱流の違い,それぞれの流れと管摩擦損失との関係を説明できる。
6週 管内の流れ(管路の諸損失) ダルシー・ワイズバッハの式とムーディ線図を用いて管摩擦損失を計算できる。
7週 管内の流れ(管路系) 様々な管要素の損失を説明でき,管路系の総損失の計算ができる。絞りのある管路による流量測定原理を説明できる。
8週 後期中間までの復習(後期中間試験) 後期中間までに習った内容を確認する。
4thQ
9週 後期中間までの復習(試験解答) 後期中間までに習った内容を確認する。
10週 物体まわりの流れ(抗力) 流れの中の物体に作用する抗力を説明でき,抗力係数を用いて抗力を計算できる。
11週 物体まわりの流れ(揚力) 流れの中の物体に作用する揚力を説明でき,揚力係数を用いて抗力を計算できる。
12週 物体まわりの流れ(カルマン渦) カルマン渦が物体に及ぼす振動現象を説明できる。
13週 流体の運動方程式(連続の式) 局所的な流体の運動の表し方(連続の式)を説明できる。
14週 流体の運動方程式(ナビエ・ストークスの式1) 局所的な流体の運動の表し方(粘性法則)およびナビエ・ストークスの式の基本的な考え方を説明できる。
15週 後期までの復習(後期期末試験) 後期までに習った内容を確認する。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野熱流体流体の定義と力学的な取り扱い方を理解し、適用できる。3前1,前2
流体の性質を表す各種物理量の定義と単位を理解し、適用できる。3前1,前2
圧縮性流体と非圧縮性流体の違いを説明できる。3前2
ニュートンの粘性法則、ニュートン流体、非ニュートン流体を説明できる。3前2
絶対圧力およびゲージ圧力を説明できる。3前6
パスカルの原理を説明できる。3前6
液柱計やマノメーターを用いた圧力計測について問題を解くことができる。3前7
平面や曲面に作用する全圧力および圧力中心を計算できる。3前10
物体に作用する浮力を計算できる。3前11
定常流と非定常流の違いを説明できる。3前4
流線と流管の定義を説明できる。3前4
質量保存則と連続の式を説明できる。3前13
連続の式を理解し、諸問題の流速と流量を計算できる。3前13
オイラーの運動方程式を説明できる。3後2
ベルヌーイの式を理解し、流体の諸問題に適用できる。3前13
ピトー管、ベンチュリー管、オリフィスを用いた流量や流速の測定原理を説明できる。3前14,後7
運動量の法則を理解し、流体が物体に及ぼす力を計算できる。3後2,後3
層流と乱流の違いを説明できる。3前7
レイノルズ数と臨界レイノルズ数を理解し、流れの状態に適用できる。3後5
円管内層流および円管内乱流の速度分布を説明できる。3後5
ハーゲン・ポアズイユの法則を説明できる。3後5
ダルシー・ワイスバッハの式を用いて管摩擦損失を計算できる。3後5,後6
ムーディー線図を用いて管摩擦係数を求めることができる。3後6,後7
境界層、はく離、後流など、流れの中に置かれた物体の周りで生じる現象を説明できる。3後10,後11,後12
流れの中の物体に作用する抗力および揚力について説明できる。3後10,後11
抗力について理解し、抗力係数を用いて抗力を計算できる。3後10
揚力について理解し、揚力係数を用いて揚力を計算できる。3後11

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力500000050
専門的能力500000050
分野横断的能力0000000