科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 物理
科目番号 2E06 科目区分 一般 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 4
開設学科 電気電子工学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 4
教科書/教材 教 科 書:総合物理Ⅰ・Ⅱ(数研出版検定教科書) 参考図書:リードα物理(数研出版問題集) ※その他参考図書は、必要に応じて授業で紹介する。
担当教員 山﨑 有司

到達目標

1.質点についてどのような力がはたらくか作図し、力のつり合いの式や運動方程式を立てることができ、どのような運動するか説明できる。
2.質点について速度・加速度・エネルギー・運動量など、力学を学ぶ上で基本となる物理量を求めることができ、物体の運動を法則に従って理解し、説明することができる。
3.剛体についてどのような力がはたらくか作図し、力のつり合いの式や力のモーメントのつり合いの式を立て、どのような条件が成り立つ時に剛体が静止するか説明できる。
4.比熱や熱量など熱力学を学ぶ上で基本となる物理量を求めることができ、理想気体の基本法則を理解して気体の状態がどのように変化するか理解できる。
5.ホイヘンスの原理・重ねあわせの原理等の原理・法則を理解し、反射・屈折・回折・干渉等の波動(波)の現象を定性的・定量的に説明できる。
6.波の速さ・波長・周波数・周期等の波動(波)を学ぶ上で基本となる物理量を求めることができ、正弦波を式で表すことができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
質点の等加速度直線運動についての理解時間・座標(距離)・速さ・加速度の意味とこれらの間に成り立つ関係を理解し、与えられた条件からこれらの値を求め、等加速度直線運動について定性的・定量的に説明することができる。与えられた条件から時間・座標(距離)・速さ・加速度の値を求めることができる。与えられた条件から時間・座標(距離)・速さ・加速度の値を求めることができない。
質点にはたらく力と質点の運動についての理解質点にはたらく力作図し、作用反作用の式・力のつり合いの式・運動方程式を立て、力の向き・大きさや加速度を求め質点の運動を定性的・定量的に説明することができる。質点の運動方程式から加速度を求めることができる。質点の運動方程式から加速度を求めることができない。
静止した剛体にはたらく力についての理解静止した剛体にはたらく力を作図し、作図と計算の両方から剛体にはたらく力と力のモーメントを求め、剛体が静止するための条件を求めることができる。静止した剛体にはたらく力を作図することができる。静止した剛体にはたらく力を作図できない。
質点の様々な運動(直線運動以外)についての理解相対運動・等速円運動・単振動を理解し、各運動を定性的・定量的に説明することができる。相対運動・等速円運動・単振動を表す基本的な物理量を求めることができる。相対運動・等速円運動・単振動を表す基本的な物理量を求めることができない。
固体・液体の熱エネルギーについての理解固体・液体の熱エネルギーでは、基本的には熱量を考えればよいことを理解し、熱量保存則などの基本法則を理解し、熱量・熱容量・比熱の関係を定性的・定量的に説明できる。熱量・熱容量・比熱を理解し、温度の異なる物質を混ぜて十分に時間が経過した後、物質の温度がいくらで安定するか求めることができる。温度の異なる物質を混ぜて十分に時間が経過した後、物質の温度がいくらで安定するか求めることができない。
理想気体の熱エネルギーと状態変化についての理解気体の熱エネルギーでは、熱量だけではなく仕事・内部エネルギーを考えなければならないことを理解し、熱エネルギーの保存則(熱力学第一法則)などの基本法則を理解し、熱量・熱容量・比熱の関係や気体の状態(圧力・体積・温度)がどのように変化するかを定性的・定量的に説明できる。 滑らかに動くピストンがついた容器に理想気体を封入した場合を考え、気体に加えた熱量、気体が外部にした仕事、気体の内部エネルギーの変化量の間に成り立つ関係を求め、定圧変化(等圧変化)・定積変化(等積変化)・定温変化(等温変化)・断熱変化の各状態変化によって、気体の圧力・体積・温度がいくらに変化するか求めることができる。気体に加えた熱量、気体が外部にした仕事、気体の内部エネルギーの変化量の各値や、状態変化によって、気体の圧力・体積・温度がいくらに変化するか求めることができない。
波の基本についての理解波の速さ・波長・周波数・周期等の波動(波)を学ぶ上で基本となる物理量を求めることができ、正弦波を式で表すことができる。与えられた条件から波の速さ・波長・周波数・周期等の波動(波)を学ぶ上で基本となる物理量を求めることができる。与えられた条件から波の速さ・波長・周波数・周期等の波動(波)を学ぶ上で基本となる物理量を求めることができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
 物理では、身の周りの様々な現象を、抽象化・法則化して理解する。小・中学校の理科で定性的に学んだ事柄を、法則としてきちんと学び、数式化することで理解を深める。しかし、数式に数値を代入して値を求めるだけでは、理解したことにはならない。教科書等に記載されている数式は何らかの現象と結びついており、結果を丸暗記するのではなく、導く過程を学ぶことで、数式と現象の結びつきを理解する。本授業を通して、物理的な理解の仕方・考え方を学び、将来、専門科目を学ぶ上で必要な基礎知識・基礎学力・思考力を身につける。
授業の進め方・方法:
 教科書を指定しているが、これは自主学習のためであり、授業中に教科書を開いて読むようなことはほとんどない。たまに教科書を開いて写真や図を見る程度である。授業の進行は教科書によらず、基本的には本シラバスの「学習内容」の順に従う。
 物理学関連科目全体で学ぶ内容を考慮し、物理法則を体系的に理解できるよう進める。授業内容が教科書のどこに当たるか、次に何を学習するかは、その都度、授業において指示する。従って、留年等の事情で指定教科書がなくても、同等の教科書・参考書があれば、新に購入しなくてもよい。
注意点:
 以下に示す授業計画は書式に従って週単位で授業内容や到達目標を示しているが、授業は学生の状況を見ながら進めるので、あくまでも目安であり、1年間でどのような事を学ぶかの目安と理解して欲しい。
 1年間の講義を前期中間・前期期末・後期中間・後期期末の4期間に分け、各期間末に定期試験(前期中間試験・前期後期試験・後期中間試験・後期期末試験)を実施し、必要と判断した場合、小テストや後期期末試験以外は定期試験後に再試を行い「試験」の評価とする。
 必要と判断した場合、課題を課すこともある。課題や学ぶ姿勢(授業態度や質疑など)で「その他」の評価とする。
後期末試験終了後、以上の「試験」と「その他」の評価を元に総合的に評価・点数化して各学生の「総合評価」とする。
「総合評価」が60点未満の学生に対して、必要と判断した場合、最終再試を行うこともある。
「総合評価」と最終再試の結果から評価・点数化して各学生の「最終成績」とする。
「最終成績」が60点以上の学生を合格とする。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 物理総合Ⅰ ~数学の復習~ ベクトルとスカラー,連立方程式,比例・反比例,式とグラフ 等 これまでに学習した理科・数学の基本を復習し、物理の中で使えるようになる。
2週 物体の運動Ⅰ(1) ~物体の運動の理解~ 時間,距離,速度,加速度 等 物体の運動から時間・距離・速さ・加速度を求める基本的な考え方を理解する。
3週 物体の運動Ⅰ(2) ~物体の運動の基本1~ 速さと速度,加速度 等 物体の運動を表すのに必要な物理量の意味やそれらの間の関係を理解し説明できるようになる。
4週 物体の運動Ⅰ(3) ~物体の運動の基本2~ 等速直線運動,式での表現,グラフでの表現 等 等速直線運動する物体の座標・速さを式やグラフで表し、物体の運動を説明することができるようになる。
5週 物体の運動Ⅰ(4) ~物体の運動の基本3~ 等加速度直線運動,式での表現,グラフでの表現 等 等加速度直線運動する物体の座標・速さ・加速度を式やグラフで表し、物体の運動を説明することができるようになる。
6週 物体の運動Ⅰ(5) ~重力場での落体運動1~ 自由落下,下方投射,上方投射 等 等直線運動・等加速度直線運動の基本を理解し、自由落下・下方投射・上方投射を説明できるようになる。
7週 物体の運動Ⅰ(6) ~重力場での落体運動2~ 水平投射,斜方投射 等 等直線運動・等加速度直線運動の基本を理解し、水平投射・斜方投射を説明できるようになる。
8週 質点にはたらく力(1) ~力の種類~ 重力,張力,抗力(垂直抗力と摩擦),ばねの力,浮力 等 物体にはたらく様々な力について理解し、定性的・定量的に説明できるようになる。
2ndQ
9週 質点にはたらく力(2) ~力の基本1~ 要素,単位,表し方,作図(基本的な考え方),合成と分解,作用反作用の法則,つり合いの式 等 物体にはたらく力を作図し、作用・反作用の式とつり合いの式を立て、静止した物体にはたらく力の向きと大きさを求めることができるようになる。
10週 剛体にはたらく力(1) ~剛体にはたらく力の基本1~ 要素,合成と分解,作図による解析 等 静止した剛体にはたらく力を作図し、各力の作用点・向き・大きさを求めることができるようになる。
11週 剛体にはたらく力(2) ~剛体にはたらく力の基本2~ 力のモーメント,力のつり合いの式,力のモーメントのつり合いの式 等 静止した剛体にはたらく力を作図し、力のつり合いの式と力のモーメントのつり合いの式を立て、計算から各力の作用点・向き・大きさを求め、剛体が静止するための条件を求めることができるようになる。
12週 剛体にはたらく力(3) ~力のモーメント~ 重心,重力のモーメント 等 重力のモーメントを計算し、剛体の重心を求めることができるようになる。
13週 物体の運動Ⅱ(1) ~運動の法則~ 慣性の法則,運動方程式 等 運動の法則を理解し、定性的・定量的に説明することができるようになる。
14週 物体の運動Ⅱ(2) ~質点の加速度~ 運動方程式による物体の運動の説明 等 質点の運動について運動方程式を立て、加速度を求めて質点の運動について説明できるようになる。
15週 エネルギー原理(1) ~エネルギーの基本~ 仕事の定義,運動エネルギー,位置エネルギー,力学的エネルギー 等 質点に加えられる仕事と質点の運動に関するエネルギー(運動エネルギー,位置エネルギー,力学的エネルギー)を求めることができるようになる。
16週
後期
3rdQ
1週 エネルギー原理(2) ~仕事とエネルギー~ エネルギー原理、力学的エネルギー保存則 等 エネルギー原理を理解し、質点の運動に関するエネルギーと質点に加えられる仕事との関係を理解する。
2週 エネルギー原理(3) ~物体の運動とエネルギー~ 等加速度直線運動とエネルギー原理 等 これまでに学んだ等加速度直線運動においてもエネルギー原理が成り立つことを理解する。
3週 運動量原理(1) ~運動量の基本~ 運動量の定義,力積の定義 等 質点の運動量と質点に加えられる力積の定義を理解し、求めることができるようになる。
4週 運動量原理(2) ~力積と運動量の関係~ 運動量原理,運動量保存則,物体の衝突 等 運動量原理を理解し、質点の運動量と質点に加えられる力積との関係を理解する。
5週 運動量原理(3) ~物体の運動と運動量~ 等加速度直線運動と運動量原理 等 これまでに学んだ等加速度直線運動においても運動量原理が成り立つことを理解する。
6週 熱力学の基本(1) ~熱の基本~ 熱容量,比熱,熱量,熱量の保存,物質の三態 等 熱容量・比熱・熱量などの熱に関する物理量の意味を理解し、各値を求められるようになる。
7週 熱力学の基本(2) ~気体の法則~ 理想気体,気体の状態変化,気体の状態方程式 等 気体の法則を理解し、気体の状態(圧力・体積・温度)がどのように変化するか定性的・定量的に説明できるようになる。
8週 熱力学の基本(3) ~気体のエネルギー~ 気体のエネルギーの分類・定義,熱力学の第1法則 等 理想気体のエネルギーを理解し、気体の状態変化とエネルギーの関係を定性的・定量的に説明できるようになる。
4thQ
9週 熱力学の基本(4) ~気体分子の運動論~ 気体分子のモデルを使った計算 等 気体の法則を気体分子の運動を元に導き、物理的な考察を理解する。
10週 物体の運動Ⅲ(1) ~色々な運動1~ 相対運動(相対速度,慣性力) 等 観測者が運動している場合、物体の運動がどのように見えるか定性的・定量的に説明できるようになる。
11週 物体の運動Ⅲ(2) ~色々な運動2~ 等速円運動 等 等速円運動している物体の運動がどのように見えるか定性的・定量的に説明できるようになる。
12週 物体の運動Ⅲ(3) ~色々な運動3~ 単振動 等 単振動している物体の運動がどのように見えるか定性的・定量的に説明できるようになる。
13週 波動(波)(1) ~波の基本1~ 波の要素,分散関係,波の伝搬,正弦波の式 等 動に関する語句を理解し、色々な物理量を計算し、正弦波を式で表すことができる。
14週 波動(波)(2) ~波の基本2~ 反射・屈折・回折,干渉,定常波,縦波と横波 等 波動の現象を理解し、定性的・定量的に説明できる。
15週 波動(波)(3) ~共鳴現象~ 定常波,固定端反射,自由端反射,弦にできる定常波(固有振動,弦を伝わる波の速さ),気柱にできる定常波(固有振動,開口端,閉口端) 等 弦や気柱にできる定常波について、定性的・定量的に説明できる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。3
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。3
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。3
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。2
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。1
平均の速度、平均の加速度を計算することができる。3
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3
物体に作用する力を図示することができる。3
力の合成と分解をすることができる。3
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。3
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。3
質点にはたらく力のつりあいの問題を解くことができる。3
慣性の法則について説明できる。3
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。3
運動方程式を用いた計算ができる。3
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。1
運動の法則について説明できる。3
静止摩擦力がはたらいている場合の力のつりあいについて説明できる。3
最大摩擦力に関する計算ができる。3
動摩擦力に関する計算ができる。3
仕事と仕事率に関する計算ができる。3
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。3
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。3
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。3
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。3
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。3
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。3
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。3
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。3
万有引力の法則から物体間にはたらく万有引力を求めることができる.3
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。3
力のモーメントを求めることができる。2
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。2
重心に関する計算ができる。2
原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。3
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。3
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。3
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。3
動摩擦力がする仕事は、一般に熱となることを説明できる。3
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。3
気体の内部エネルギーについて説明できる。3
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。3
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。3
不可逆変化について理解し、具体例を挙げることができる。3
熱機関の熱効率に関する計算ができる。3
波動波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。2
横波と縦波の違いについて説明できる。2
波の重ね合わせの原理について説明できる。2
波の独立性について説明できる。2
2つの波が干渉するとき、互いに強めあう条件と弱めあう条件について計算できる。2
定常波の特徴(節、腹の振動のようすなど)を説明できる。2
ホイヘンスの原理について説明できる。2
波の反射の法則、屈折の法則、および回折について説明できる。2

評価割合

試験その他合計
総合評価割合7030100
基礎的能力7030100
専門的能力000
分野横断的能力000