概要:
論理演算を電子回路でおこなうディジタル電子回路の機能は、論理回路を用いて設計される。
本科目では、論理式および論理回路の取り扱いを修得し、ディジタル技術の基礎を身につける。
授業の進め方・方法:
教科書の流れに沿って講義し、必要に応じて参考書や配付資料を参照する。
講義はその場で理解するよう努め、自学自習により理解を確実なものにしてほしい。
注意点:
試験80%(前期中間、前期期末、後期中間、後期期末 各20%),課題20%で評価する。
評価基準:60点以上を合格とする。
再試験は原則として実施しない。
参考書:[1] 井澤裕司 著『ビジュアル 論理回路入門』、プレアデス出版。
[2] 笹田一郎 著『学びやすいディジタル電子回路』、オーム社。
[3] 一色 剛、熊澤逸夫 著『論理回路』、数理工学社。
[4] 浅川 毅 著『論理回路の設計』、コロナ社。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ディジタル信号と2値論理 |
ディジタル信号の特徴を理解できる。2値論理と集合、論理、電気信号との関係を理解できる。
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2週 |
2進数とBCD符号 |
10進数・2進数・16進数及びBCD符号の仕組みを理解し、互いに変換できる。
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3週 |
真理値表 |
スイッチ回路を例に、真理値表による入出力関係の表現を理解できる。
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4週 |
基本論理演算 |
論理変数、否定(NOT)、論理和(OR)、論理積(AND)による演算を理解できる。
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5週 |
ブール代数 |
ブール代数の演算規則や定理をベン図や論理式で理解できる。
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6週 |
論理式の標準形 |
論理関数の主加法・主乗法標準形による表現と、真理値表との等価性を理解できる。
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7週 |
論理式の簡単化 |
ブール代数の演算規則を用いた論理式の簡単化を理解できる。
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8週 |
カルノー図 |
真理値表とカルノー図の等価性、及びカルノー図を用いた論理式の簡単化を理解できる。
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2ndQ |
9週 |
論理ゲートとTTL/CMOS IC |
基本論理ゲート記号(MIL記号)を構成する論理機能と正論理・負論理の意味を理解できる。ロジックICを用いたディジタル電子回路による論理回路の実現方法を理解できる。
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10週 |
論理記号と論理式 |
論理式、論理記号、真理値表の関係を理解し、互いに変換できる。
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11週 |
AND←→OR論理機能変換 |
ド・モルガンの定理を論理記号の機械的操作で適用する方法を理解し、論理機能のAND←→ORを交換した等価な論理回路で表現できる。
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12週 |
マルチプレクサとデマルチプレクサ |
AND/OR/XORゲートを信号制御に応用する考え方、及び具体例としてマルチプレクサとデマルチプレクサの構成と動作を理解できる。
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13週 |
エンコーダとデコーダ |
入出力関係が機能として意味をもつ組合せ論理回路の例として、エンコーダとデコーダの動作と設計方法を理解できる。
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14週 |
半加算器と全加算器 |
2進数の数値演算と組合せ論理回路との関係、及び基本的な応用例である半加算器と全加算器の構成と動作を理解できる。
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15週 |
2の補数とその性質 |
2の補数による負数表現の考え方、及び1の補数を経由して加算器により実現する方法を理解できる。
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16週 |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
加算器による減算器 |
加算器とNOTゲートを用いて、2の補数の性質を利用した減算器を構成する方法を理解できる。
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2週 |
ダイオードによる論理ゲート |
PLAの構成要素でもあるダイオードによる論理ゲート (Mickey Mouse Logic) の構成と動作を理解できる。
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3週 |
PLA (プログラマブルロジックアレイ) |
AND-OR論理式や真理値表から、PLAを用いて組合せ論理回路を設計できる。
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4週 |
SRラッチ |
NOTゲートによる入力なし記憶回路の動作から、入力付き記憶回路を構成する考え方を理解できる。NOR型とNAND型のSRラッチの動作と、不定・禁止状態の意味を理解できる。
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5週 |
Dラッチ |
不定・禁止状態がなく動作の簡明なDラッチの構成と動作を理解できる。
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6週 |
クロックパルスと二安定回路 |
フリップフロップがクロックパルスに同期して動作すること、及びその意味を理解できる。
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7週 |
マスタスレーブ型フリップフロップ |
マスタスレーブ型SRフリップフロップの仕組みと動作を理解できる。
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8週 |
JKフリップフロップ |
トグル動作が可能なJKフリップフロップの仕組みと動作を理解できる。
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4thQ |
9週 |
Dフリップフロップ |
動作の簡明なDフリップフロップの仕組みと動作を理解できる。
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10週 |
非同期式カウンタ |
非同期式$2^n$進カウンタの仕組みと動作を理解できる。
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11週 |
同期式カウンタ |
同期式カウンタの仕組みと特徴を理解できる。
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12週 |
カウンタの設計 |
非同期式カウンタを、JKフリップフロップのトグル動作を利用して設計する方法を理解できる。同期式カウンタのJKフリップフロップ及びDフリップフロップによる設計方法を理解できる。
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13週 |
アップダウンカウンタ |
非同期式のアップカウンタとダウンカウンタの仕組み及び設計方法を理解できる。
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14週 |
レジスタ |
フリップフロップをデータの記憶に利用するレジスタの仕組みと動作を理解できる。
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15週 |
シフトレジスタ |
レジスタを応用したシフトレジスタ、リングカウンタ、ジョンソンカウンタの動作が理解できる。
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 工学基礎 | 情報リテラシー | 情報リテラシー | 論理演算と進数変換の仕組みを用いて基本的な演算ができる。 | 3 | 前2,前14,前15,後1 |
コンピュータのハードウェアに関する基礎的な知識を活用できる。 | 3 | 前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 電気・電子系分野 | 情報 | 整数、小数を2進数、10進数、16進数で表現できる。 | 2 | 前2,前15 |
基数が異なる数の間で相互に変換できる。 | 2 | 前2 |
基本的な論理演算を行うことができる。 | 2 | 前3,前4,前5 |
基本的な論理演算を組み合わせて任意の論理関数を論理式として表現できる。 | 2 | 前6,前7,前8 |
MIL記号またはJIS記号を使って図示された組み合わせ論理回路を論理式で表現できる。 | 2 | 前9,前10,前11,前12,前13,前14 |
論理式から真理値表を作ることができる。 | 2 | 前6,前7,前8 |
論理式をMIL記号またはJIS記号を使って図示できる。 | 2 | 前9,前10,前11 |
情報系分野 | 計算機工学 | 整数を2進数、10進数、16進数で表現できる。 | 3 | 前2 |
小数を2進数、10進数、16進数で表現できる。 | 3 | 前2 |
整数・小数をコンピュータのメモリ上でディジタル表現する方法を説明できる。 | 3 | 前2 |
基数が異なる数の間で相互に変換できる。 | 3 | 前2 |
基本的な論理演算を行うことができる。 | 3 | 前3,前4,前5,前11 |
基本的な論理演算を組合わせて、論理関数を論理式として表現できる。 | 3 | 前5,前6,前10,前11 |
論理式の簡単化の概念を説明できる。 | 3 | 前7,前8 |
簡単化の手法を用いて、与えられた論理関数を簡単化することができる。 | 3 | 前7,前8 |
論理ゲートを用いて論理式を組合せ論理回路として表現することができる。 | 3 | 前9,前10,前12,前13,前14,後2,後3 |
与えられた組合せ論理回路の機能を説明することができる。 | 3 | 前12,前13,前14,後3 |
組合せ論理回路を設計することができる。 | 3 | 前12,前13,前14,後3 |
フリップフロップなどの順序回路の基本素子について、その動作と特性を説明することができる。 | 3 | 後4,後5,後6,後7,後8,後9 |
レジスタやカウンタなどの基本的な順序回路の動作について説明できる。 | 3 | 後10,後11,後12,後13,後14,後15 |
与えられた順序回路の機能を説明することができる。 | 3 | 後10,後11,後12,後13,後14,後15 |
順序回路を設計することができる。 | 3 | 後10,後11,後12,後13,後14,後15 |