システム工学

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 システム工学
科目番号 5E10 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 電気電子工学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 大橋弘忠 ほか 著『システム理論 Ⅰ』・『システム理論 Ⅱ』(東京大学工学教程),丸善出版.
担当教員 山口 崇

到達目標

1.システムの特性を表現する種々の概念を理解し活用できる.
2.モデルにもとづき,システムの挙動を定性的・定量的に分析できる.
3.種々のシミュレーションの技法を理解し,実行できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
システムの特性と概念十分に理解し活用できる.理解しある程度は活用できる.理解できない.
システムの分析十分に分析できる.ある程度は分析できる.分析できない.
シミュレーション方法を十分に理解し,構築できる.方法をある程度は理解し,構築できる.方法を理解できない.

学科の到達目標項目との関係

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教育方法等

概要:
システム工学の目標は,システムを適確にモデル化し,定性的・定量的に分析することにより,問題の解決や特性の改善に役立てることである.本科目では,システム理論の幅広い適用分野から平易な話題のみを断片的に取り上げ,モデル化と計算機シミュレーション等による分析をつうじて,日常生活や自然環境,社会,産業などの多様な現象の理解と問題解決に応用できる感性と技法を身につける.
授業の進め方・方法:
教科書の記述を題材にして,適宜その他の資料も提示しながら講義し,計算機シミュレーション等の演習をする.基本的な手法への習熟と問題解決を探求する内容の課題を課すので,期限までに必ず提出すること.
注意点:
評価方法
(1) 課題100%で評価する.
(2) 評価基準:60点以上を合格とする.
(3) 定期試験,再試験は実施しない.

授業時に提示する演習課題についてレポートを作成し必ず提出すること.

極めて手近になった計算ツールの活用にできるだけ触れる予定である.幅広い問題の理解や解決のために,システム理論の方法を実践することを常に心がけてほしい.参考書はトピックのそれぞれに多数あるので,そのつど紹介する.

参考書(出版年の古いほうから)
[1] B. マンデルブロ 著『フラクタル幾何学』,1985年(原書 1982年),日経サイエンス.2011年,ちくま学芸文庫,筑摩書房.
[2] 寺本英・広田良吾・武者利光・山口昌哉 著『無限・カオス・ゆらぎ』,1985年,培風館.
[3] 山口昌哉 著『カオスとフラクタル』,1986年,講談社ブルーバックス,講談社.2010年,ちくま学芸文庫,筑摩書房.
[4] 森本光生 著『パソコンによる微分方程式』,1987年,朝倉書店.
[5] 戸田盛和 著『カオス — 混沌のなかの法則』,1991年,岩波書店.
[6] 松下 貢 編著『医学・生物学におけるフラクタル』,1992年,朝倉書店.
[7] Steven H. Strogatz 著『非線形ダイナミクスとカオス』,2015年(原書 1994年),丸善出版.
[8] Harvey Gould, Jan Tobochnik 著『計算物理学入門』,2000年(原書 第2版 1996年),ピアソン・エデュケーション.
[9] 本田 勝也 著『フラクタル』,2002年,朝倉書店.
[10] 松下 貢 著『フラクタルの物理 (Ⅰ) 基礎編』,2002年,裳華房.
[11] 松下 貢 著『フラクタルの物理 (Ⅱ) 応用編』,2004年,裳華房.
[12] 遠藤哲郎 著『非線形回路』,2004年,コロナ社.
[13] 坂口英継・本庄春雄 著『複雑系科学への招待』(臨時別冊・数理科学),2018年,サイエンス社.
[14] 松下 貢 著『統計分布を知れば世界が分かる』,2019年,中公新書,中央公論新社.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 一般システム理論 システムの特性・性質を表す概念や用語を理解できる.
2週 動力学系モデル (1) 簡単な状態空間モデルを理解できる.
3週 動力学系モデル (2) 状態方程式を数値解法により解くことができる.
4週 動力学系モデル (3) 線形システムを行列を用いて理解できる.
5週 動力学系モデル (4) 線形システムのモード領域の解を理解できる.
6週 動力学系モデル (5) 線形システムの漸近的挙動を行列の固有値を用いて分析できる.
7週 動力学系モデル (6) ロジスティック方程式の安定性を理解できる.
8週 動力学系モデル (7) 非線形システムにおける分岐とカオスを理解しシミュレーションができる.
4thQ
9週 離散モデル (1) セルオートマトンのふるまいを理解しシミュレーションができる.
10週 離散モデル (2) べき乗則にしたがう現象とモデルを理解しシミュレーションができる.
11週 離散モデル (3) フラクタル図形とフラクタル次元を理解しシミュレーションができる.
12週 ネットワークモデル (1) ネットワークの表現と特徴量を理解し定量的に分析できる.
13週 ネットワークモデル (2) 複雑ネットワークの性質を理解できる.
14週 確率モデル (1) 確率過程のランダムウォークとポアソン過程を理解しシミュレーションができる.
15週 確率モデル (2) マルコフ連鎖による信頼性モデルや待ち行列モデルを理解しシミュレーションができる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。4後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。4後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
適切な範囲やレベルで解決策を提案できる。4後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
事実をもとに論理や考察を展開できる。4後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。4後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力工学的な課題を論理的・合理的な方法で明確化できる。4後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
要求に適合したシステム、構成要素、工程等の設計に取り組むことができる。4後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
課題や要求に対する設計解を提示するための一連のプロセス(課題認識・構想・設計・製作・評価など)を実践できる。4後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
提案する設計解が要求を満たすものであるか評価しなければならないことを把握している。4後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
経済的、環境的、社会的、倫理的、健康と安全、製造可能性、持続可能性等に配慮して解決策を提案できる。4後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオ課題合計
総合評価割合00000100100
基礎的能力0000000
専門的能力0000000
分野横断的能力00000100100