応用物理Ⅰ

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 応用物理Ⅰ
科目番号 1241 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電気電子工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:総合物理1, 2(数研出版検定教科書) 演習書:リードα物理基礎・ 物理(数研出版問題集)
担当教員 篠島 弘幸

到達目標

1.円運動、単振動、慣性力について、それらの数学的な表記に慣れ、それらの説明ができる。
2.力のモーメントや慣性モーメントが理解できている。剛体にはたらく力のモーメントを計算し、剛体の回転運動に関る運動方程式が立てることができる。剛体の回転運動に関する方程式を解き、剛体の回転運動について説明できる。
3.波特有の現象について説明できる。屈折、反射の法則等重要な法則を導出でき、説明することができる。
4.光の粒子性や量子論に基づく原子モデルを理解し、放射線についての基礎知識を習得する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 円運動、単振動、慣性力数学的な表記に慣れていて、現象の説明もできる。現象が説明でき、数学的な表記で記述することがでる。現象の説明ができない。
評価項目2 剛体の運動剛体の運動方程式を立て、それを解くことで剛体の運動が理解できる。力のモーメントについて説明でき、剛体の運動方程式をつくることができる。力のモーメントの概念が理解できていない。
評価項目3 波動波特有の現象を説明でき、重要な法則を導出できる。波特有の現象と重要な法則を理解している。波特有の現象と重要な法則を説明できない。
評価項目4 原子物理量子論的な観点から自然現象を説明できる。電子、光子の二重性について理解している。電子、光子の二重性について理解していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
自然現象を把握し、数式を導入することでその理解を深めて一般化する。そのような自然現象の物理的な理解の方法・考え方を学ぶ。専門科目を学ぶための基礎知識・学力・思考力を身につける。
授業の進め方・方法:
指定した教科書を参考にして授業は行うが、前から教科書通りに進めるということはない。学習項目ごとに総合物理1, 2(数研出版検定教科書)の2冊の教科書を適宜組み合わせ、総合的に学習する。教科書範囲外の項目に学習項目についてはプリント等を配布する。
注意点:
評価方法
前期と後期それぞれに中間試験と期末試験、年間で4回の定期試験を行う。それらの定期試験の結果(80%)、適宜行う小テストや課題レポートの結果(20%)で評価する。
必要であれば再試験を行う。
評価基準:評価60点以上を合格とする。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 波動 (1) 波の性質、ホイヘンスの原理 ホイヘンスの原理について説明できる。
2週 波動 (2) 波の伝わり方 ・ホイヘンスの原理を使って、反射、屈折の法則が説明できる。
・波の干渉について説明できる。
3週 波動 (3) 正弦波の式 波の正弦波の表示に慣れ、表現することができる。
4週 波動 (4) 定常波

定常波について説明できる。
5週 波動 (5) 波に関する総合問題 問題演習により波動現象について理解を深める
6週 音の性質(1)弦、弦にできる定常波、固有振動、弦を伝わる波の速さ 弦を伝わる波について説明できる。
7週 音の性質(2)音の速さ、音の干渉(強め合い・弱め合いうなり) ・音波について説明できる。
・音の干渉について説明できる。
8週 音の性質(3)気柱(開管・閉管)、気柱にできる定常波、気柱の固有振動 気柱の共鳴現象について説明できる。
2ndQ
9週 音の性質(4)ドップラー効果、音源、観測者が動いた場合、壁、風がある場合 ドップラー効果について説明できる。音源、観測者の関係で、聞こえる音の振動数が変化することを数式を使って理解できる。
10週 音の性質(5)音に関する総合問題 問題演習により、音波についての理解を深める
11週 光の性質(1)反射、屈折の法則、散乱 光の反射、屈折現象を説明でき、光の反射、屈折の法則を説明できる。
12週 光の性質(2)回折 光の回折現象について説明できる。
13週 光の性質(3)干渉 光の干渉現象について説明できる。
14週 光の性質(4)くさび形空間、薄膜による干渉 具体的ないくつかの光学素子による光の干渉について、明線となるための条件を導出できる。
15週 光の性質(5)レンズと球面鏡(作図) レンズと球面鏡による像が作図できる。
16週 光に関する総合問題 問題演習により、光についての理解を深める。
後期
3rdQ
1週 力学(1)円運動、角運動量、慣性力、遠心力 ・角運動量について説明できる。
・慣性力が説明できる。
2週 力学 (2) ケプラーの法則、万有引力 ケプラーの法則、万有引力の法則、万有引力
3週 力学 (3) 様々な運動(惑星の運動) 惑星の運動について説明できる。
4週 剛体の力学(1)重心 ・剛体の重心について説明できる。
・剛体の重心の位置を計算することができる。
5週 剛体の力学(2)力のモーメント、 ・力のモーメントについて説明できる。
・剛体にはたらく力のモーメントを計算することができる。
6週 剛体の力学(3)慣性モーメント ・剛体の慣性モーメントについて説明できる。
・剛体の慣性モーメントを計算することができる。
7週 剛体の力学(4)剛体のつり合い ・力のモーメントと剛体のつり合いについて説明できる。
8週 剛体の力学(5)剛体のつり合いと回転の運動方程式 力のモーメントを計算し、剛体のつり合いについて回転の運動方程式が立式できる。
4thQ
9週 剛体の力学(6)回転の運動方程式 剛体にはたらく力のモーメントを計算し、回転の運動方程式を立式できる。
10週 剛体の力学(7)回転の運動方程式 例題 いくつかの簡単な例で、剛体に関する回転の運動方程式を解くことができる。
11週 剛体の力学(8)剛体の力学に関する演習 問題演習により、剛体の運動について理解を深める。
12週 達成度試験
13週 原子物理(1) 陰極線、電子、電子の比電荷、電気素量、電子線回折 電子についての物理的な特徴やその二重性を説明できる。
14週 原子物理(2) 光電効果、コンプトン散乱、光子の粒子性と波動性 光の二重性について説明できる。
15週 原子物理(3) 水素原子のスペクトル、ボーアの原子モデル、エネルギー準位 水素原子モデルについて説明できる。
16週 原子物理(4) 放射線・放射性崩壊、半減期、X線、核エネルギー、核分裂・核融合 放射線と崩壊現象について説明できる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。1
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。2
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。3
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。2
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。2
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。2
鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。2
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。2
物体に作用する力を図示することができる。2
力の合成と分解をすることができる。2
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。2
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。3
慣性の法則について説明できる。2
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。3
運動方程式を用いた計算ができる。2
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。3
静止摩擦力がはたらいている場合の力のつりあいについて説明できる。2
最大摩擦力に関する計算ができる。2
動摩擦力に関する計算ができる。2
仕事と仕事率に関する計算ができる。2
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。2
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。2
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。2
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。3
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。3
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。2
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。2
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。2
万有引力の法則から物体間にはたらく万有引力を求めることができる.2
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。2
力のモーメントを求めることができる。2
角運動量を求めることができる。2
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。3
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。2
重心に関する計算ができる。2
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。3
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。3
動摩擦力がする仕事は、一般に熱となることを説明できる。2
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。3
波動波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。2
横波と縦波の違いについて説明できる。2
波の重ね合わせの原理について説明できる。2
波の独立性について説明できる。2
2つの波が干渉するとき、互いに強めあう条件と弱めあう条件について計算できる。3
定常波の特徴(節、腹の振動のようすなど)を説明できる。2
ホイヘンスの原理について説明できる。2
波の反射の法則、屈折の法則、および回折について説明できる。2
弦の長さと弦を伝わる波の速さから、弦の固有振動数を求めることができる。3
気柱の長さと音速から、開管、閉管の固有振動数を求めることができる(開口端補正は考えない)。3
共振、共鳴現象について具体例を挙げることができる。3
一直線上の運動において、ドップラー効果による音の振動数変化を求めることができる。3
自然光と偏光の違いについて説明できる。2
光の反射角、屈折角に関する計算ができる。2
波長の違いによる分散現象によってスペクトルが生じることを説明できる。2
物理実験物理実験測定機器などの取り扱い方を理解し、基本的な操作を行うことができる。2
安全を確保して、実験を行うことができる。3
実験報告書を決められた形式で作成できる。3
有効数字を考慮して、データを集計することができる。3
力学に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3
波に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3
光に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3
電磁気に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3
電子・原子に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3
分野横断的能力態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性チームワークの必要性・ルール・マナーを理解し、自分の感情の抑制、コントロールをし、他者の意見を尊重し、適切なコミュニケーションを持つとともに、当事者意識を持ち協調して共同作業・研究をすすめることができる。2

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80000020100
基礎的能力80000020100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000