応用物理Ⅱ

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 平成29年度 (2017年度)
授業科目 応用物理Ⅱ
科目番号 1283 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電気電子工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教材: 自主教材で対応する
担当教員 大槻 かおり

到達目標

・質点と剛体の運動の違いを理解できる
・熱力学的な考え方の習得
・マクスウェル方程式を用いて電場、磁場を求めることができる
・物質の粒子性、波動性について理解する
・水素原子のスペクトルを求めることができる
・電磁気学に関する様々な計算手法の習得

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 剛体の運動について適切な方法で解くことができる剛体と質点の運動の違いを理解している剛体と質点の運動の違いを理解できない
評価項目2マクスウェルの方程式を用いて電磁気学の問題を解くことができるマクスウェルのそれぞれの方程式の意味を理解しているマクスウェルの方程式が意味するものがわからない
評価項目3理想気体のエントロピーを求めることができるカルノーの定理を理解し、説明できる熱力学第一法則がわからない
評価項目4原子のスペクトルについて理解し、水素原子のスペクトルを求めることができる量子力学のによって初めて説明される物理現象を理解するコンプトン効果が理解できない

学科の到達目標項目との関係

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教育方法等

概要:
今まで学んできた物理関連講義を基礎とし、電気電子工学において重要である内容について再構築を行い、多角的視点からの知識及び思考法の習得を目的とする。今までの物理関連講義に比べ、より抽象度の増した物理を学ぶことで、物事をモデル化し理解する考え方を習得する。また、歴史的背景についても述べ、現在の物理学との繋がりについての理解も深める。
授業の進め方・方法:
授業は講義形式で進める。理解を深めるために適宜演習を行い、レポート課題を課す。
物理学は、講義を聴くだけでは理解しにくいため、自ら考え自ら手を動かすことが必要となる。身近な現象や日常的に使っている機器の原理を知ることも理解につながるため、身の回りの現象に興味を持ち観察することも重要である。
注意点:
60点を合格点とする。再試は行わない。点数配分は前期中間、前期期末、後期中間、後期期末それぞれ25%とする。
講義はこちらで用意したプリントとスライドを用いて進める。参考書などは次のものを含め、授業中に紹介する。
参考書: 「力学」(丸善スーパーラーニングシリーズ)「熱力学を学ぶ人のために」「マクスウェルの方程式」ダニエルフライシュ(岩波書店) 「量子力学」(丸善スーパーラーニングシリーズ)、成績評価は中間、期末試験、授業中の発表などを考慮。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 力学  質点の力学(復習) 一つの質点の運動について、運動方程式をたて、速度、加速度、運動量、エネルギーを求めることができる
2週 力学 角運動量 角運動量と角運動量保存則について理解する
3週 力学 質点系の力学、相対座標 相対座標と換算質量を用いて二質点の運動方程式をたて、解くことができる
4週 剛体の力学 重心と重心座標 剛体とは何か理解し、剛体の重心を求めることができる
5週 剛体の力学  慣性モーメント 剛体の慣性モーメントを求めることができる
6週 剛体の力学 剛体の運動方程式 剛体の運動方程式をたて、解くことができる
7週 剛体の力学 演習 剛体の運動を適切な方法で求めることができる
8週 熱力学 熱とエネルギー 熱とは何かについて理解する
2ndQ
9週 熱力学 熱力学第一法則 熱力学第一法則を理解する
10週 熱力学 熱力学第二法則 熱力学第二法則を理解する
11週 熱力学 カルノーサイクルとカルノーの定理 熱機関について理解する
12週 熱力学 可逆過程と不可逆過程 可逆、不可逆過程、準静的過程について理解する
13週 熱力学 エントロピーと物理現象 エントロピーについて理解する
14週 熱力学 熱力学ポテンシャルと熱力学関数 熱力学関数について理解する
15週 熱力学 演習 熱力学の演習問題を適切な方法で解くことができる
16週
後期
3rdQ
1週 マクスウェル方程式を使った電磁気学
ガウスの法則の微分形
ガウスの法則の微分形を使って問題を解くことができる
2週 マクスウェル方程式を使った電磁気学 ガウスの法則の積分形 ガウスの法則の積分形を使って問題を解くことができる
3週 マクスウェル方程式を使った電磁気学 アンペールマクスウェルの法則1 アンペールマクスウェルの法則の微分形を使って問題を解くことができる
4週 マクスウェル方程式を使った電磁気学 アンペールマクスウェルの法則2 アンペールマクスウェルの法則の積分形を使って問題が解ける
5週 マクスウェル方程式を使った電磁気学 ファラデーマクスウェルの法則1 ファラデーマクスウェルの法則の意味を理解する
6週 マクスウェル方程式を使った電磁気学 ファラデーマクスウェルの法則2 ファラデーの法則を用いて問題を解くことができる
7週 マクスウェルの方程式を使った電磁気学
波動方程式と電磁波
マクスウェルの方程式から波動関数を求め、その意味を理解する
8週 マクスウェルの方程式を使った電磁気学
演習
電磁気学の演習問題を適切な方法で解くことができる
4thQ
9週 前期量子論 光電効果 光電効果について理解する
10週 前期量子論 光の二重性 光の二重性とスリットの実験について理解する
11週 前期量子論 コンプトン散乱 コンプトン散乱について理解する
12週 前期量子論 ドブロイ波 ドブロイ波について理解する
13週 前期量子論 ボーアの原子モデル ボーアの原子モデルについて理解する
14週 前期量子論 水素原子のスペクトル 水素原子のスペクトルを求めることができる
15週 前期量子論 演習 前期量子論の演習問題を適切な方法で解くことができる
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。2前1
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。2前3
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。2前1
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。2前1
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。2前1
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。2前1
鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。2前1
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。2前1
物体に作用する力を図示することができる。2前1
力の合成と分解をすることができる。2前1
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。2前1
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。2前1
慣性の法則について説明できる。2前1
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。2前1
運動方程式を用いた計算ができる。2前3
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。2
静止摩擦力がはたらいている場合の力のつりあいについて説明できる。2前1
最大摩擦力に関する計算ができる。2前1
動摩擦力に関する計算ができる。2
仕事と仕事率に関する計算ができる。2前1
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。2
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。2
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。2
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。2
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。2
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。2
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。2
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。2
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。2
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。2
万有引力の法則から物体間にはたらく万有引力を求めることができる.2
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。2
力のモーメントを求めることができる。2
角運動量を求めることができる。2
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。2
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。2
重心に関する計算ができる。2
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。2
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。2
原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。1
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。2
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。2
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。2
動摩擦力がする仕事は、一般に熱となることを説明できる。2
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。2
気体の内部エネルギーについて説明できる。2
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。2
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。2
不可逆変化について理解し、具体例を挙げることができる。2
熱機関の熱効率に関する計算ができる。2
電気導体と不導体の違いについて、自由電子と関連させて説明できる。2
クーロンの法則を説明し、点電荷の間にはたらく静電気力を求めることができる。2
オームの法則から、電圧、電流、抵抗に関する計算ができる。2
抵抗を直列接続、及び並列接続したときの合成抵抗の値を求めることができる。2
ジュール熱や電力を求めることができる。2

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合70300000100
基礎的能力70300000100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000