概要:
人間尊重の精神に基づいて、青年期における自己形成と人間としての在り方・生き方について理解と思索を深めさせるとともに、人格の形成に努める実践的意欲を高め、生きる主体としての自己の確立を促し、良識ある公民として必要な能力と態度を育てることを、主たる目的とする。また単に良識ある公民としてだけではなく、社会に貢献する専門技術者としての自覚と自負心を涵養するために、人文・社会科学的な視点から人間、社会、文化について多面的に理解し、国際社会の一員として社会的諸問題の解決に向けて主体的に貢献する素養を培うことも、併せて本授業の目的とする。
授業の進め方・方法:
原則として講義形式で授業を行う。
注意点:
点数配分:前後期の期末試験の平均点(50%/回)によって評価する。
再試験:再試を行う。ただし、不合格者が少数の場合は行わない。
評価基準:60点以上を合格とする。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
導入 - 授業の進め方及び成績評価の方法について / 人間とは何か |
人間に関する様々な考え方をもとに、人間性の特質について考察することができる。
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2週 |
青年期の課題と自己形成 (1):青年期の意義 |
青年期の意義(自我の形成)について理解し、今後の自己形成過程の重要性を認識できる。
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3週 |
青年期の課題と自己形成 (2):自己の理解に向けて / 豊かな自己実現のために |
パーソナリティや欲求階層説、心理-社会的モラトリアム等の用語を手がかりに、青年期の課題(アイデンティティの確立)を理解できる。
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4週 |
古代ギリシア思想 (1):ソクラテス以前の哲学者達 |
古代ギリシア思想を育んだ時代的・文化的・社会的背景、および世界観の変革が理解できる。
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5週 |
古代ギリシア思想 (2):ソクラテス・プラトン |
ソクラテスとその弟子であるプラトンの思想の骨子を、魂や理性という概念を手掛かりとして理解することができる。
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6週 |
古代ギリシア思想 (3):アリストテレス / ヘレニズムの思想 (快楽主義と禁欲主義) |
形相と質料、中庸、友愛と正義といった観点などから、アリストテレスの思想を的確に理解することができる。
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7週 |
ユダヤ教・キリスト教 |
キリスト教の思想的特徴を、母胎となったユダヤ教との類似点・相違点に着目しながら、理解できる。
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8週 |
イスラム教 |
イスラム教の「姉妹宗教」とも呼ばれるユダヤ教・キリスト教の特徴に留意しながら、イスラム教思想の基礎を理解できる。
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2ndQ |
9週 |
仏教 |
仏教および仏教の成立に大きな影響を及ぼしたバラモン教の思想的特徴を理解できる。
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10週 |
古代中国思想 :儒家思想・老荘思想 |
日本にも大きな思想的影響を与えた儒家思想(儒教)の諸特徴を、老荘思想と対比しながら理解できる。
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11週 |
日本の風土と伝統 |
和辻哲郎の『風土』の記述をもとに、日本の風土と人々の生活の関連性について考察できる。
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12週 |
日本における仏教の伝来と隆盛 |
外来思想としての仏教が、日本において受容されていった過程を理解できる。
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13週 |
儒教の伝来と展開 |
古代中国思想の一角としての儒教が、日本において受容されていった過程を理解できる。
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14週 |
西洋近代思想の受容 (1) |
蘭学をはじめとする西洋近代思想の受容過程を理解できる。
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15週 |
西洋近代思想の受容 (2) |
西洋近代思想の受容と、その後の日本での展開の過程を理解できる。
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16週 |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
近現代の特質と倫理的課題 |
脱呪術化や科学革命、進化論といった概念を手がかりに、近現代の特質と限界、そしてそれらが新たに生み出した倫理的課題について理解できる。
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2週 |
ルネサンス期における自己肯定の精神と宗教観の転換、モラリストの登場 |
ルネサンス期におけるヒューマニズム精神の興隆を理解できる。また宗教改革の内実と、その後の歴史に及ぼした思想的・社会的な影響が理解できる。さらに上記の知識に基づいて、人間の尊厳をめぐるモラリスト達の主張を理解できる。
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3週 |
自然や科学技術と人間の関わり:近代科学の誕生、経験論と合理論 |
ベーコンの経験論とデカルトの合理論を足がかりに、近代科学の誕生とそれを支えた思想的基盤を理解できる。
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4週 |
民主社会における人間の在り方 |
ホッブズ・ロック・ルソーらの思想を手がかりに、現代の民主社会形成の原動力となった社会契約説について理解できる。
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5週 |
自己実現と幸福 (1):カントとヘーゲル |
カントとヘーゲルの言説をもとに、自己実現と幸福の追究について、みずから考察ができる。
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6週 |
自己実現と幸福 (2):功利主義とプラグマティズム |
功利主義とプラグマティズムの理念を理解し、現実の事例に適用することができる。
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7週 |
個人と社会の関わり(1):社会主義と実存主義 |
「人間疎外」「自己喪失」「人間性の回復」といった言葉を軸に、社会主義と実存主義の基本的主張と、その後の展開について説明できる。
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8週 |
個人と社会の関わり(2):公共性・対話・正義・他者 |
ハンナ・アーレントの「公共性」、ハーバーマスの「対話」、ロールズの「正義」の概念について理解できる。社会における自己と他者との関係と社会参加の意義が理解できる。
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4thQ |
9週 |
現代における理性の問題 |
近代市民社会と科学技術文明の基盤となる理性の力について、先哲の議論や具体的事例をもとに批判的に考察することができる。
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10週 |
科学・技術と人間 (1):生命・医療倫理 |
生命倫理の領域における多様な諸課題とそれらに随伴する倫理的諸問題(クローン、再生医療、安楽死と尊厳死、デザイナーベビー等)を認識し、理解することができる。
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11週 |
科学・技術と人間 (2) :環境倫理 |
環境倫理の領域における多様な諸課題とそれらに随伴する倫理的諸問題(公害と環境問題、世代間倫理、環境正義等)を認識し、理解することができる。
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12週 |
科学・技術と人間 (3) :情報倫理 |
情報倫理の領域における多様な諸課題とそれらに随伴する倫理的諸問題(人工知能、ロボット、プライバシーとセキュリティのトレードオフ等)を認識し、理解することができる。
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13週 |
科学・技術と人間 (4) :工学倫理 |
工学倫理の領域における多様な諸課題とそれらに随伴する倫理的諸問題(ステークホルダー間の利益相反、費用便益分析と安全等)を認識し、理解することができる。
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14週 |
科学・技術と人間 (5) :科学技術倫理 |
科学技術倫理の領域における多様な諸課題と倫理的諸問題(科学技術の進歩と格差の拡大、エンハンスメント等)を認識し、理解することができる。
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15週 |
技術者の役割と倫理的責務 |
現代社会において専門技術者に求められる役割と倫理的責務について認識し、自身もまたそうした役割と責務が期待される一人であることを自覚する。
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 人文・社会科学 | 社会 | 公民的分野 | 人間の生涯における青年期の意義と自己形成の課題を理解し、これまでの哲学者や先人の考え方を手掛かりにして、自己の生き方および他者と共に生きていくことの重要性について考察できる。 | 3 | |
自己が主体的に参画していく社会について、基本的人権や民主主義などの基本原理を理解し、基礎的な政治・法・経済のしくみを説明できる。 | 3 | |
現代社会の考察 | 現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から展望できる。 | 3 | |
工学基礎 | 技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史 | 技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史 | 技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を認識している。 | 1 | |
社会における技術者の役割と責任を説明できる。 | 1 | |
環境問題の現状についての基本的な事項について把握し、科学技術が地球環境や社会に及ぼす影響を説明できる。 | 1 | |
環境問題を考慮して、技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。 | 1 | |
国際社会における技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。 | 1 | |
過疎化、少子化など地方が抱える問題について認識し、地域社会に貢献するために科学技術が果たせる役割について説明できる。 | 1 | |
技術者を目指す者として、諸外国の文化・慣習などを尊重し、それぞれの国や地域に適用される関係法令を守ることの重要性を把握している。 | 1 | |
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。 | 1 | |
技術者を目指す者として、平和の構築、異文化理解の推進、自然資源の維持、災害の防止などの課題に力を合わせて取り組んでいくことの重要性を認識している。 | 1 | |
科学技術が社会に与えてきた影響をもとに、技術者の役割や責任を説明できる。 | 1 | |
科学者や技術者が、様々な困難を克服しながら技術の発展に寄与した姿を通し、技術者の使命・重要性について説明できる。 | 1 | |
グローバリゼーション・異文化多文化理解 | グローバリゼーション・異文化多文化理解 | それぞれの国や地域の経済的・社会的な発展に対して科学技術が果たすべき役割や技術者の責任ある行動について説明できる。 | 3 | |