概要:
制御情報技術者にとっても必要である機械工学の基礎的な知識を学ぶ。
前期は,機械の成り立ち,機械を構成する代表的機械要素の機能,機械の設計手順など機械設計の基礎について学んだあと,部材の強度に関する材料力学を学ぶ。
後期は機械の制御のための出発点となる運動方程式の立て方,振動の基礎について学習する。これらを通して、材料の特性、機械・工具及び各加工法、および機械系の運動方程式の立て方や振動に関する基礎知識を体系的に学習し、ものづくりの基盤となる機械工学の概要を修得する。
実務経験のある教員による授業科目:この科目は企業で強度設計を担当していた教員が、その経験を活かし、部材の強度に関する材料力学について講義形式で授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
前期は教科書および配布プリント等に基づいて授業を進める。また現物を見せて、理解させることがある。さらに課題レポートにまとめて提出させることがある。機械の諸現象を理解し、実務に活用できる機械工学を学習する貴重な機会であることに留意し、熱心に学習すること。また私語が多いなど受講とみなせない場合や他の学生の妨げとなる受講態度の場合は、早退として取り扱う。
後期は教科書に基づいて、最新の知見も取り入れつつ、スライド・配布資料などを用いて授業を実施する。授業態度が悪い時の扱いは前期と同じである。後期は、遠隔授業に対応する。
注意点:
[前期] 定期試験の結果で評価する。中間試験(コロナ感染状況等により中間試験が実施できないときはレポートで評価する)と期末試験は同じ割合で評価する。ただし課題レポートを提出 させた場合は、課題レポートも評価対象とする。 再試験は1回のみとし、その際の成績は60点を上限とする。 評価基準:60点以上を合格とする。
[後期] 定期試験(中間試験を行う場合は中間試験を含む)の結果70%、各回に実施する小テストの合計点30%の割合で評価する。中間試験は必要に応じて実施し、実施した場合は、中間試験と期末試験は同等の割合で評価する。後期の総合評価が60点に満たない場合、再試験は後期全体を通した範囲で1回のみとし、その際の成績は60点を上限とする。
評価基準:「前期」と「後期」の成績の平均で行い、60点以上を合格とする。
諸注意:授業で学んだことを各自で十分に復習すること。
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
材料力学の目的と引張における内力 |
材料力学の目的と引張における内力について説明できる。
|
2週 |
材料の機械的性質 |
材料の機械的性質について説明できる。
|
3週 |
静的強さと疲れ強さ |
静的強さと疲れ強さについて説明できる。
|
4週 |
引張と圧縮 |
引張と圧縮の荷重、変形、応力、ひずみについて説明できる。
|
5週 |
せん断、丸棒のねじり |
せん断および丸棒のねじりの荷重、変形、応力、ひずみについて説明できる。
|
6週 |
はりの曲げ |
はりの曲げの荷重、変形、応力、ひずみについて説明できる。
|
7週 |
座屈と応力集中 |
座屈と応力集中について説明できる。
|
8週 |
機械と機械要素 機械の設計手順 |
機械が機械要素から構成されていることを理解する. 機械の標準的設計手順を説明できる.
|
2ndQ |
9週 |
機械設計の基礎知識 |
加工誤差,寸法公差,はめあい,標準化について説明できる.
|
10週 |
機械要素1 ねじ |
ねじの原理と用途と,ゆるみ防止法を説明できる.
|
11週 |
機械要素2 転がり軸受 |
転がり軸受の原理と選択法を説明できる.
|
12週 |
機械の破損とその防止 |
破損形態と強度設計の概要を理解できる.
|
13週 |
答案返却と補足事項(歯車) |
学習事項を概観できる. 歯車の基礎事項を理解できる.
|
14週 |
|
|
15週 |
|
|
16週 |
|
|
後期 |
3rdQ |
1週 |
機械の製作方法の概要 |
機械製作のおおまかな流れが理解できる。
|
2週 |
鋳造(1) 鋳型および造型、鋳造材料、溶解 |
鋳造の概要が理解できる。
|
3週 |
鋳造(2) 鋳造方案、特殊鋳造法 |
各種特殊鋳造法が理解できる。
|
4週 |
塑性加工(1) 鍛造、圧延 |
塑性加工の概要、鍛造、圧延の基礎が理解できる。
|
5週 |
塑性加工(2) プレス加工 |
各種塑性加工法の概要が理解できる。
|
6週 |
接合・切断加工(1) 溶接 |
溶接の概要および主な溶接法が理解できる。
|
7週 |
接合・切断加工(2) 機械的接合法、接着、各種切断法 |
溶接以外の接合方法および切断法の概要と主な種類が理解できる。
|
8週 |
熱処理(1) 鋼の性質、焼なまし、焼ならし、焼入れ |
鋼の性質の基礎および基本的な熱処理方法を理解できる。
|
4thQ |
9週 |
熱処理(2) 等温熱処理、表面熱処理 |
応用的な熱処理方法の概要を理解できる。
|
10週 |
除去加工(1) 機械加工
|
主な工作機械の種類およびそれぞれの特徴を理解できる。
|
11週 |
除去加工(2) 切削通論 |
切削機構の基礎を理解できる。
|
12週 |
除去加工(3) 切削工具、切削油剤 |
切削工具および切削油剤の基本を理解できる。
|
13週 |
除去加工(4) 研削加工 |
研削および砥石の概要が理解できる。
|
14週 |
除去加工(5) 特殊加工 |
各種特殊加工と手仕上げ加工の種類と概要を理解できる。
|
15週 |
部品による工作法の使い分け |
これまで学んだ加工法を実際の加工に適用するための考え方を身に付ける。
|
16週 |
|
|
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 機械系分野 | 機械設計 | 標準規格を機械設計に適用できる。 | 3 | 前9,前10,前11 |
ねじ、ボルト・ナットの種類、特徴、用途、規格を理解し、適用できる。 | 3 | 前10 |
ボルト・ナット結合における締め付けトルクを計算できる。 | 3 | 前10 |
歯車の種類、各部の名称、歯型曲線、歯の大きさの表し方を説明できる。 | 3 | 前13 |
力学 | 荷重が作用した時の材料の変形を説明できる。 | 3 | 前2,後4 |
応力とひずみを説明できる。 | 3 | 前2,後4 |
フックの法則を理解し、弾性係数を説明できる。 | 3 | 前2 |
許容応力と安全率を説明できる。 | 3 | 前3 |
引張荷重や圧縮荷重が作用する棒の応力や変形を計算できる。 | 3 | 前4,前7 |
ねじりを受ける丸棒のせん断ひずみとせん断応力を計算できる。 | 3 | 前5 |
丸棒および中空丸棒について、断面二次極モーメントと極断面係数を計算できる。 | 3 | 前5 |
軸のねじり剛性の意味を理解し、軸のねじれ角を計算できる。 | 3 | 前5 |
はりの定義や種類、はりに加わる荷重の種類を説明できる。 | 3 | 前6 |
はりに作用する力のつりあい、せん断力および曲げモーメントを計算できる。 | 3 | 前6 |
各種の荷重が作用するはりのせん断力線図と曲げモーメント線図を作成できる。 | 3 | 前6 |
曲げモーメントによって生じる曲げ応力およびその分布を計算できる。 | 3 | 前6 |
各種断面の図心、断面二次モーメントおよび断面係数を理解し、曲げの問題に適用できる。 | 3 | 前6 |
工作 | 切削加工の原理、切削工具、工作機械の運動を説明できる。 | 3 | 後10 |
バイトの種類と各部の名称、旋盤の種類と構造を説明できる。 | 3 | 後10 |
フライスの種類と各部の名称、フライス盤の種類と構造を説明できる。 | 3 | 後10 |
ドリルの種類と各部の名称、ボール盤の種類と構造を説明できる。 | 3 | 後10 |