熱工学

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 熱工学
科目番号 4S15 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 制御情報工学科 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 JSMEテキストシリーズ「熱力学」および「伝熱工学」、日本機械学会、丸善
担当教員 松永 崇

到達目標

1.熱力学第一法則、第二法則を説明し応用することができる。
2.熱サイクルのエネルギー授受を計算することができる。
3.伝熱現象を理論的に理解することができる。
4.基礎的な伝熱計算をすることができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1熱力学第一法則、第二法則を説明し応用することができる。 熱力学第一法則、第二法則を説明し応用することがある程度できる。 熱力学第一法則、第二法則を説明し応用することができない。
評価項目2熱サイクルのエネルギー授受を計算することができる。 熱サイクルのエネルギー授受を計算することがある程度できる。 熱サイクルのエネルギー授受を計算することができない。
評価項目3伝熱現象を理論的に理解することができる。 伝熱現象を理論的に理解することがある程度できる。 伝熱現象を理論的に理解することができない。
評価項目4基礎的な伝熱計算をすることができる。基礎的な伝熱計算をある程度することができる。基礎的な伝熱計算をすることができない。

学科の到達目標項目との関係

JABEE B-2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
温度変化が重要な役割を演じる種々の変化過程における熱と状態変化との関係について、体系的に基礎知識を習得する。また、温度差の結果として物体間に生じる熱の移動形態と移動速度について、体系的に基礎知識を習得する。これらの基礎知識は熱エネルギーの変換や伝達を効率よく有効に実施するために必要であり、エネルギー問題や環境問題に直接関わる内容である。
授業の進め方・方法:
授業内容の要点を、教科書を参考にしながら、板書して説明を行い理解させる。その際に、身近な現象や社会的な話題なども紹介し、流体現象に興味と関心を持ってもらうようにする。また、授業中の例題や演習問題を通して、問題の考え方や解き方を学んでもらう。なお、適宜、課題をレポートにして提出してもらい、自分のものとして修得させる。
注意点:
履修にあたり物理や数学の基礎知識が必要である。
定期試験(中間+期末)の成績90%、課題レポートの成績10%を目安として成績評価を行う。
評価基準:60点以上を合格とする。なお、再試験は学期末に一回行う。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 はじめに、熱工学とは
熱力学で用いる基礎事項、各種物理量
熱力学で用いられる用語や各種状態量について説明できる。
2週 熱力学の第一法則(閉じた系、開いた系)
熱力学の第一法則を閉じた系と開いた系に用い、熱、仕事、内部エネエルギー、エンタルピーの関係およびPーV線図について説明と計算できる。
3週 熱力学の第一法則(閉じた系、開いた系)
理想気体の状態変化(閉じた系、開いた系)

理想気体の状態方程式および内部エネルギー、エンタルピー、比熱の関係を説明できる。
4週 理想気体の状態変化(閉じた系、開いた系)
理想気体の各種状態変化における状態量、熱、仕事を説明し、計算できる。
5週 熱力学の第二法則
カルノーサイクル
熱力学の第二法則を説明できる。
カルノーサイクルを理解し、熱効率を求めることができる。
6週 エントロピー変化
熱サイクルの熱効率およびヒートポンプの成績係数
エントロピーの定義およびTーS線図を理解し、エントロピーの変化を計算できる。また、熱サイクルの熱効率およびヒートポンプの成績係数を計算できる。
7週 以上の演習問題 各種の問題を理解し、解くことができる。
8週 熱輸送の様式
熱伝導の基礎
伝熱の基本形態を理解し、その伝熱機構および具体例を説明することができる。
フーリエの法則および熱伝導方程式を説明できる。
4thQ
9週 平板・円筒の定常熱伝導 平板と円筒の定常熱伝導および熱通過について、温度分布、熱流束、熱抵抗、熱通過率を計算できる。
10週 対流熱伝達の基礎
対流熱伝達に関係する無次元数
ニュートンの冷却法則、エネルギー式を説明できる。
対流伝熱に関する次元解析と無次元数を理解できる。
11週 平板・円管内の強制対流熱伝達 平板と円管内の強制対流熱伝達に関して、速度境界層と温度境界層を説明し、層流と乱流それぞれの場合の熱伝達率を計算することができる。
12週 自然対流熱伝達 垂直平板と水平円柱の自然対流熱伝達について説明し、それぞれの場合の平均熱伝達率を算出することができる。
13週 放射伝熱の基礎 放射伝熱の基本法則について説明することができる。
黒体と灰色体の性質について説明できる。
14週 黒体面間および灰色面間の放射伝熱 黒体二面間および灰色二面間の放射伝熱量を計算することができる。
15週 以上の演習問題 各種の問題を理解し、解くことができる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野熱流体伝熱の基本形態を理解し、各形態における伝熱機構を説明できる。3
フーリエの法則および熱伝導率を説明できる。3
平板および多層平板の定常熱伝導について、熱流束、温度分布、熱抵抗を計算できる。3
対流を伴う平板の定常熱伝導について、熱流束、温度分布、熱通過率を計算できる。3
ニュートンの冷却法則および熱伝達率を説明できる。3
自然対流と強制対流、層流と乱流、温度境界層と速度境界層、局所熱伝達率と平均熱伝達率を説明できる。3
平板に沿う流れ、円管内の流れ、円管群周りの流れなどについて、熱伝達関係式を用いることができる。3
黒体の定義を説明できる。3
プランクの法則、ステファン・ボルツマンの法則、ウィーンの変位則を説明できる。3
単色ふく射率および全ふく射率を説明できる。3
流体の定義と力学的な取り扱い方を理解し、適用できる。3
流体の性質を表す各種物理量の定義と単位を理解し、適用できる。3
ニュートンの粘性法則、ニュートン流体、非ニュートン流体を説明できる。3
絶対圧力およびゲージ圧力を説明できる。3
パスカルの原理を説明できる。3
液柱計やマノメーターを用いた圧力計測について問題を解くことができる。3
平面や曲面に作用する全圧力および圧力中心を計算できる。3
物体に作用する浮力を計算できる。3
定常流と非定常流の違いを説明できる。3
流線と流管の定義を説明できる。3
連続の式を理解し、諸問題の流速と流量を計算できる。3
オイラーの運動方程式を説明できる。3
ベルヌーイの式を理解し、流体の諸問題に適用できる。3
運動量の法則を理解し、流体が物体に及ぼす力を計算できる。3
層流と乱流の違いを説明できる。3
レイノルズ数と臨界レイノルズ数を理解し、流れの状態に適用できる。3
ダルシー・ワイスバッハの式を用いて管摩擦損失を計算できる。3
ムーディー線図を用いて管摩擦係数を求めることができる。3
境界層、はく離、後流など、流れの中に置かれた物体の周りで生じる現象を説明できる。3
抗力について理解し、抗力係数を用いて抗力を計算できる。3
揚力について理解し、揚力係数を用いて揚力を計算できる。3
熱力学で用いられる各種物理量の定義と単位を説明できる。3
閉じた系と開いた系、系の平衡、状態量などの意味を説明できる。3
熱力学の第一法則を説明できる。3
閉じた系と開いた系について、エネルギー式を用いて、熱、仕事、内部エネルギー、エンタルピーを計算できる。3
閉じた系および開いた系が外界にする仕事をp-V線図で説明できる。3
理想気体の圧力、体積、温度の関係を、状態方程式を用いて説明できる。3
定積比熱、定圧比熱、比熱比および気体定数の相互関係を説明できる。3
内部エネルギーやエンタルピーの変化量と温度の関係を説明できる。3
等圧変化、等積変化、等温変化、断熱変化、ポリトロープ変化の意味を理解し、状態量、熱、仕事を計算できる。3
固体、液体および理想気体におけるエントロピーの変化量を計算できる。2
熱の有効エネルギーを説明できる。2
熱力学の第二法則を説明できる。3
サイクルの意味を理解し、熱機関の熱効率を計算できる。3
カルノーサイクルの状態変化を理解し、熱効率を計算できる。3
エントロピーの定義を理解し、可逆変化および不可逆変化におけるエントロピーの変化を説明できる。3
サイクルをT-s線図で表現できる。3

評価割合

試験レポート相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合90100000100
基礎的能力0000000
専門的能力90100000100
分野横断的能力0000000