ロボット工学

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 ロボット工学
科目番号 5S02 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 制御情報工学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:松日楽 信人、大明 準治 共著,「ロボットシステム入門」 (オーム社)。電子教材のダウンロード http://www.cc.kurume-nct.ac.jp/~nakano/campus/class/ayabe/robot5.zip
担当教員 綾部 隆

到達目標

1.ロボットに使われる代表的なセンサとアクチュエータを理解できる。
2. モーターの速度制御,位置制御を理解できる.
3.ロボットの機構解析(座標変換、ベクトル回転、順運動学、逆運動学)の基礎を習得する。
4.ロボット制御の概要を理解できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1ロボットに使われる代表的なセンサとアクチュエータを理解できる。 ロボットに使われる代表的なセンサとアクチュエータをほぼ理解できる。 ロボットに使われる代表的なセンサとアクチュエータを理解できない。
評価項目2モーターの速度制御、位置制御を理解できる。 モーターの速度制御、位置制御をほぼ理解できる。 ロボット機構解析(座標変換、ベクトル回転、逆運動解析)の基礎を習得できない。
評価項目3ロボットの機構解析(座標変換、ベクトル回転、順運動学、逆運動学)を習得する。ロボットの機構解析(座標変換、ベクトル回転、順運動学、逆運動学)をほぼ習得する。ロボットの機構解析(座標変換、ベクトル回転、順運動学、逆運動学)を習得できない。
評価項目4ロボット制御の概要を理解できる。ロボット制御の概要をほぼ理解できる。ロボット制御の概要を理解できない。

学科の到達目標項目との関係

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教育方法等

概要:
ロボット工学は、各分野の専門知識と技術を集大成したものである。今年度から通年科目に変更されたが、それでも各分野の知識、技術を網羅することは不可能である。そこで、この授業の前半では、メカトロニクス技術に重点をおき、ロボットで使われている代表的なセンサとアクチュエータについて述べる。後半はロボットの機構解析とロボット制御の概要について述べる。
授業の進め方・方法:
授業で使う教科書は説明がかなり不親切で、理解するには他の教科書の助けや解説が必要である。しかし、ロボットに関する知識、技術をバランスよく取り上げており、ロボットの教科書の中ではまとまりが良い。この授業では、この教科書で説明が足りない部分を教材ファイルやプリントで補足しながら、ロボットの機構解析やロボットの制御の大筋を理解してもらう。

 
注意点:
総合的科目なので関連科目は多数あるが、特に、三角関数、行列、ベクトル解析などの数学やモータの駆動回路、制御工学に関する基本知識が必要である。

原則として、前期定期試験、後期定期試験の2回を実施し、両者の平均が60点以上のとき合格とする。
再試は、前期定期試験、後期定期試験それぞれに対して少なくとも1回行う。
再試の成績は60点を超えても60点とする。

諸注意:授業で学んだことを各自で十分に復習すること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ロボットに使われている代表的なセンサⅠ ロボットに使われている代表的なセンサを理解できる。
2週 ロボットに使われている代表的なセンサⅡ ロボットに使われる代表的なセンサを理解できる。
3週 アクチュエータ ロボットに使われるアクチュエータを始めとして、様々なアクチュエータがあることを理解できる。
4週 DCモータの駆動回路Ⅰ(電圧制御と電流制御) DCモータの電圧駆動と電流駆動を理解できる。
5週 DCモータの駆動回路(リニア駆動とPWM駆動、Hブリッジ回路) リニア駆動、PWM駆動、Hブリッジ回路を理解できる。
6週 DCサーボモータのトルク制御、速度制御、位置制御 モータのトルク制御、速度制御、位置制御を理解できる。
7週 速度指令方式によるモータの位置制御、偏差カウンタ方式サーボ モータの位置制御に速度指令方式があること、また偏差カウンタ方式サーボの構成、原理を理解できる。
8週 中間試験
2ndQ
9週 ACサーボモータ 同期型ACモータ、誘導型ACモータおよびコントロールユニットの概要について理解できる。
10週 ステッピングモータⅠ ステッピングモータの長所、短所、ステッピングモータの種類と回転原理を
理解できる。
11週 ステッピングモータⅡ ステッピングモータの励磁シーケンス、
負荷トルクとパルスレートの間の特性線図を理解できる。
12週 DCモータのモデリング(伝達関数) 電圧駆動、電流駆動時のDCモータの伝達関数を理解できる。
13週 機械系を駆動するDCモータのモデリング(等価慣性モーメントの導入) 運動エネルギーから等価慣性モーメントを求めてDCモータの伝達関数を求める
14週 DCサーボモータの位置制御の簡易設計法 メカトロ系でのDCサーボモータの簡易設計法(極配置法)を理解できる。
15週 機械共振と位置ゲインとの関係 機械系の共振を理解できる。機械系の共振のために位置ゲインに上限があることを理解できる。
16週
後期
3rdQ
1週 座標変換とベクトルの回転Ⅰ 基底変換行列から座標変換行列が派生することを理解できる。 
2週 座標変換とベクトルの回転Ⅱ、DHパラメータ 座標変換行列とベクトルの回転行列の関係を理解できる。
3週 ロボットアームの順運動学Ⅰ 座標変換を用いたロボットアームの順運動解析を理解できる。
4週 ロボットアームの順運動学Ⅱ ベクトルの回転を用いたロボットアームの順運動解析を理解できる。
5週 ロボットアームの逆運動学(数式解法) 数式解法による逆運動学を理解できる。
6週 ロボットアームの逆運動学(分解速度制御法) ヤコビ行列を用いた分解速度制御法を理解できる。
7週 ヤコビ行列とロボットアームの特異姿勢 ロボットアームの特異姿勢とヤコビ行列との関係を理解できる。
8週 中間試験
4thQ
9週 ロボットアームの運動方程式 2リンクロボットアームの運動方程式の立て方を理解できる.
10週 ラグランジュの方程式の立て方 2リンクロボットアームを例にとってラグランジュの方程式の立て方を理解できる。
11週 ロボットの軌道生成の概要 台形加減速軌道とS字加減速軌道、PTP制御、CP制御の概要を理解できる。
12週 ロボットの制御法の概要Ⅰ フィードフォワードを併用したフィードバック制御,2自由度制御法,外乱オブザーバ等の概要を理解できる。
13週 ロボットの制御法の概要Ⅱ 速度分解法,トルク計算法,分解加速度法の概要を理解できる
14週 ロボットの力制御、インピーダンス制御、バイラテラル制御 ロボットの力制御、インピーダンス制御の目的、概要を理解できる。
15週 ロボットの二足歩行 静歩行と動歩行、ZMPの原理に基づいた歩行、受動二足歩行を理解できる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野力学加速度の意味を理解し、等加速度運動における時間と速度・変位の関係を説明できる。3前7
運動の第二法則を説明でき、力、質量および加速度の関係を運動方程式で表すことができる。3後9,後10
周速度、角速度、回転速度の意味を理解し、計算できる。3前1,前2
剛体の回転運動を運動方程式で表すことができる。3前13,後9,後10,後11
計測制御計測の定義と種類を説明できる。3前1,前2
代表的な物理量の計測方法と計測機器を説明できる。3前1,前2
自動制御の定義と種類を説明できる。3後11,後12,後13,後14
フィードバック制御の概念と構成要素を説明できる。3前4,前6,前7,前14,後11,後12,後13,後14
基本的な関数のラプラス変換と逆ラプラス変換を求めることができる。3前12,前13
ラプラス変換と逆ラプラス変換を用いて微分方程式を解くことができる。3
伝達関数を説明できる。3前6,前12,前13
ブロック線図を用いて制御系を表現できる。3前6,前12,前13,前14,後11,後12,後13,後14
制御系の過渡特性について説明できる。3前14
制御系の定常特性について説明できる。3前14
制御系の周波数特性について説明できる。3前15
安定判別法を用いて制御系の安定・不安定を判別できる。3
電気・電子系分野電子回路ダイオードの特徴を説明できる。3前5
バイポーラトランジスタの特徴と等価回路を説明できる。3前4,前5
電力直流機の原理と構造を説明できる。3前3
誘導機の原理と構造を説明できる。3前3,前9
同期機の原理と構造を説明できる。3前3,前9
計測計測方法の分類(偏位法/零位法、直接測定/間接測定、アナログ計測/ディジタル計測)を説明できる。3前1,前2
制御伝達関数を用いたシステムの入出力表現ができる。3前12,前14
ブロック線図を用いてシステムを表現することができる。3前7,前12,前14,後12,後13,後14
システムの過渡特性について、ステップ応答を用いて説明できる。3前14
システムの定常特性について、定常偏差を用いて説明できる。3前14
システムの周波数特性について、ボード線図を用いて説明できる。3前14

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力300000030
専門的能力300000030
分野横断的能力400000040