工業倫理と安全

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 工業倫理と安全
科目番号 5S07 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 制御情報工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:オムニバス技術者倫理研究会 著、オムニバス技術者倫理 第2版、共立出版、ISBN 978-4-320-07196-4
担当教員 江頭 成人

到達目標

1.技術者、研究者として必要不可欠な、技術者倫理およびリスクとそのマネージメントに関する基礎知識を身につける。
2.技術者倫理、安全に関わる過去に起こった事例を充分理解し、将来起こり得る諸問題への対処、解決に活用する能力を身につける。
3.科学技術の一端を担う技術者として、自分なりの倫理観、安全観を有し、それに基づいて適切な行動することができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1技術者、研究者として必要不可欠な、技術者倫理に関する基礎知識を活用できる。技術者、研究者として必要不可欠な、技術者倫理に関する基礎知識を有している。技術者、研究者として必要不可欠な、技術者倫理に関する基礎知識を有していない。
評価項目2技術者倫理に関わる過去に起こった事例を充分理解し、将来起こり得る諸問題への対処、解決に活用可能な能力を有している。技術者倫理に関わる過去に起こった事例に関する知識を有し、将来起こり得る諸問題への対処、解決のための基礎的な能力を有している。技術者倫理に関わる過去に起こった事例の理解が不足している。または、理解はいているが、将来起こり得る諸問題への対処、解決が困難である。
評価項目3科学技術の一端を担う技術者として、自分なりの倫理観を有し、その倫理観に基づいて適切な行動することができる。科学技術の一端を担う技術者として、自分なりの倫理観を有し、その倫理観を第三者に説明することができる。科学技術の一端を担う技術者として、自分なりの倫理観を有していない。

学科の到達目標項目との関係

JABEE A-2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
現代社会において倫理感の欠如、低落に起因した事件、事故、不祥事、訴訟問題等枚挙に暇がない。安心・安全・快適な市民生活を工業の分野から支えるべき技術者の具備すべき資質の一つとしての「倫理」をその精神から法制度的知識等にいたる事柄を先行事例から学ぶ。特に昨今、大きな社会問題となっている情報セキュリティおよび知的財産に関連する諸問題、組織におけるインテグリティとコンプライアンスの確保のための倫理等を先行事例として取り上げ、議論を通じて学べるようにする。
授業の進め方・方法:
●座学授業を中心に行うが、必要に応じて課題演習やグループディスカッションを実施する。
●教科書の予習、授業後のノートや資料の復習を欠かさないこと。
●授業中は、板書だけではなく口頭で話す重要事項のメモも取ること。
●授業内では過去~現在の起こっている実際の倫理問題を扱うので、普段からインターネットや報道
 で情報を収集しておくこと。
●普段から自分の「1個人」「社会人」「技術者(の卵)」としての倫理観形成に努めること。
注意点:
評価方法:定期試験(中間試験+期末試験)を用いて評価する。
点数配分:中間試験30%、期末試験30%、レポート40%とする。
評価基準:60点以上を合格とする。
再試験 :必要ならば実施する。
諸注意:次回の授業範囲を予習し、専門用語の意味等を理解しておくこと。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 1 技術者倫理とは 公衆、生活倫理、技術者倫理に関する定義を理解する。
2週 2 技術情報と知的財産の保護 技術情報の公開と保護、知的財産とその保護について理解する。
3週 3 技術者の説明責任 技術者の説明責任について理解する。
4週 4 不法行為と製造物責任 製造物責任および旧来の不法行為法や製造物責任法とその問題点について理解する。
5週 5 内部告発 内部告発と関係法令を理解する。
6週 6 費用ー便益分析 費用ー便益分析とその問題点について理解する。
7週 7 技術者、研究者の倫理 研究を遂行していくときに必要な研究者倫理を理解する。
8週 8 *中間試験* これまでの内容についての理解を確認する。
2ndQ
9週 9 リスクとヒューマンエラー 安全の原理、ハザード(危険源)、リスク、リスクを増大させるヒューマンエラーについて理解する。
10週 10 リスクマネージメント リスクアセスメント、フェールセーフ、ヒューマンエラー低減、品質管理の手法やツールを理解する。
11週 11 リスクベース社会と平衡性原理 リスクベース社会、平衡性原理が理解できる。
12週 12 被害者と加害者の安全 被害者と加害者の安全の違いについて理解できる。
13週 13 製品の安全と安全基準 日本や世界における製品の安全基準、特にCEマークについて理解できる。
14週 14 安全な製品の設計、製造 安全な製品の設計方針、安全構造やインターロックについて理解できる。
15週 15 技術社会の倫理や安全に関わる事例   技術者倫理や安全工学の考え方を学んで、技術者を目指すものとして、何をするべきか理解できる。
16週 期末試験 これまでの内容についての理解を確認する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。3
現代社会の具体的な諸問題を題材に、自ら専門とする工学分野に関連させ、技術者倫理観に基づいて、取るべきふさわしい行動を説明できる。3
技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を認識している。3
社会における技術者の役割と責任を説明できる。3
環境問題の現状についての基本的な事項について把握し、科学技術が地球環境や社会に及ぼす影響を説明できる。3
環境問題を考慮して、技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。3
国際社会における技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。3
過疎化、少子化など地方が抱える問題について認識し、地域社会に貢献するために科学技術が果たせる役割について説明できる。3
知的財産の社会的意義や重要性の観点から、知的財産に関する基本的な事項を説明できる。3
技術者の社会的責任、社会規範や法令を守ること、企業内の法令順守(コンプライアンス)の重要性について説明できる。3
技術者を目指す者として、諸外国の文化・慣習などを尊重し、それぞれの国や地域に適用される関係法令を守ることの重要性を把握している。3
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。3
技術者を目指す者として、平和の構築、異文化理解の推進、自然資源の維持、災害の防止などの課題に力を合わせて取り組んでいくことの重要性を認識している。3
科学技術が社会に与えてきた影響をもとに、技術者の役割や責任を説明できる。3
科学者や技術者が、様々な困難を克服しながら技術の発展に寄与した姿を通し、技術者の使命・重要性について説明できる。3
分野横断的能力態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。2
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。2
目標の実現に向けて計画ができる。2
目標の実現に向けて自らを律して行動できる。2
日常の生活における時間管理、健康管理、金銭管理などができる。2
社会の一員として、自らの行動、発言、役割を認識して行動できる。2
チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。2
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。2
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。2
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。2
リーダーがとるべき行動や役割をあげることができる。3
適切な方向性に沿った協調行動を促すことができる。3
リーダーシップを発揮する(させる)ためには情報収集やチーム内での相談が必要であることを知っている3
法令やルールを遵守した行動をとれる。2
他者のおかれている状況に配慮した行動がとれる。2
技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を認識し、技術者が社会に負っている責任を挙げることができる。3
自身の将来のありたい姿(キャリアデザイン)を明確化できる。2
その時々で自らの現状を認識し、将来のありたい姿に向かっていくために現状で必要な学習や活動を考えることができる。2
キャリアの実現に向かって卒業後も継続的に学習する必要性を認識している。2
これからのキャリアの中で、様々な困難があることを認識し、困難に直面したときの対処のありかた(一人で悩まない、優先すべきことを多面的に判断できるなど)を認識している。2
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業や大学等でどのように活用・応用されるかを説明できる。2
企業等における技術者・研究者等の実務を認識している。3
企業人としての責任ある仕事を進めるための基本的な行動を上げることができる。3
企業における福利厚生面や社員の価値観など多様な要素から自己の進路としての企業を判断することの重要性を認識している。3
企業には社会的責任があることを認識している。3
企業が国内外で他社(他者)とどのような関係性の中で活動しているか説明できる。3
企業活動には品質、コスト、効率、納期などの視点が重要であることを認識している。3
社会人も継続的に成長していくことが求められていることを認識している。3
技術者として、幅広い人間性と問題解決力、社会貢献などが必要とされることを認識している。3
技術者が知恵や感性、チャレンジ精神などを駆使して実践な活動を行った事例を挙げることができる。3
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業等でどのように活用・応用されているかを認識できる。3
企業人として活躍するために自身に必要な能力を考えることができる。3
コミュニケーション能力や主体性等の「社会人として備えるべき能力」の必要性を認識している。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合60000040100
基礎的能力0000000
専門的能力60000040100
分野横断的能力0000000