生物学1

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 生物学1
科目番号 1C05 科目区分 一般 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 生物応用化学科 対象学年 1
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 改定生物基礎 浅島誠 他著(東京書籍)改定生物 浅島誠 他著(東京書籍)三訂版 生物図録 フォトサイエンス(数研出版) 改訂ニューグローバル生物基礎,生物(東京書籍)
担当教員 冨岡 寛治

到達目標

1 細胞の構造と機能について簡単に説明できる。
2 DNAの構造と遺伝子発現について簡単に説明できる。
3 タンパク質の構造と機能について簡単に説明できる。
4 バイオテクノロジーの原理と応用について簡単に説明できる。
5 生体内におけるエネルギー変換について簡単に説明できる。
6 体内環境の調節について簡単に説明できる。
7 免疫のしくみについて簡単に説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
細胞の構造と機能について簡単に説明できる。 細胞の構造と機能の関係について理解し、具体的な例を挙げて説明ができる 細胞の構造と機能について簡単に説明できる細胞の構造と機能について説明できない
DNAの構造と遺伝子発現について簡単に説明できる。DNAの構造と遺伝子発現について理解し、具体例を挙げ詳しく説明ができるDNAの構造と遺伝子発現について簡単に説明できるDNAの構造と遺伝子発現について説明できない
タンパク質の構造と機能について簡単に説明できる。タンパク質の構造と機能について理解し、具体例を挙げ詳しく説明ができるタンパク質の構造と機能について簡単に説明できるタンパク質の構造と機能について説明できない
バイオテクノロジーの原理と応用について簡単に説明できる。 バイオテクノロジーの原理をを理解し、その応用について具体的に説明ができるバイオテクノロジーの原理と応用について簡単に説明できるバイオテクノロジーの原理と応用について説明できない
生体内におけるエネルギー変換について簡単に説明できる。 生体内におけるエネルギー変換について理解し、具体的なATP生産を基に説明ができる生体内におけるエネルギー変換について簡単に説明できる生体内におけるエネルギー変換について説明できない
体内環境の調節について簡単に説明できる。体内環境の調節の仕組みを理解し、正確に説明ができる体内環境の調節について簡単に説明できる体内環境の調節について説明できない
免疫のしくみについて簡単に説明できる。免疫とそれにかかわる細胞の働きについて理解し、正確に説明することができる免疫とそれにかかわる細胞の働きについて、その概要を説明することができる免疫とそれにかかわる細胞の働きについて説明できない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
21世紀はバイオの時代であり,遺伝子工学,細胞工学,生物情報工学分野での産業化がすでに始まっている。将来,バイオ分野で活躍するためには,生物の基礎知識が不可欠となる。この授業は,生物応用化学科のバイオ関連科目を学ぶときに必要となる基礎知識・技術の習得を目的とする。
授業の進め方・方法:
教科書及び図説を併用した講義を行う。生物学の基礎項目(細胞,分類学,生活環,遺伝,代謝,光合成など)の基本的な内容を理解することを目指すため,それぞれの項目を深く掘り下げない。しかし,もっと深く学びたい学生には,質問に答えることはもちろん,さらに高度な専門書を紹介する。また,顕微鏡観察やその他の生物実験を随時取り入れて,理解の助けとする(実験は,主に前期に取り組む)。資料の配布,レポート提出は,Teamsを使用する。この科目は,2年生の生物学Ⅱに継続する。
関連科目 生物学Ⅱ
注意点:
次回の講義の各単元ごとに生物用語及びその意味を予習して理解しておくこと。実験には安全第一に集中力をもって取り組み,レポートとしてまとめて提出すること。
(1)点数配分:中間試験30%、期末試験30%、レポート40%
(2)評価基準:60点以上を合格とする。  
(3)必要に応じて再試を行う。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 生物の多様性と共通性
【顕微鏡観察】
生物の特徴を定義できる。
原核生物と真核生物の違いを説明できる。
2週 生命活動とエネルギー(1)
生体のエネルギーはATPでやり取りされる
生体の化学反応は酵素により触媒される
3週 生命活動とエネルギー(2)
【カタラーゼによる過酸化水素の分解】
カタラーゼの触媒反応を実験により確認する
4週 生命活動とエネルギー(3)
【葉緑体色素のTLC展開】
光合成と呼吸,葉緑体とミトコンドリアの機能を理解する
葉緑体色素をTLCにより展開分離することができる
5週 生体物質と細胞(1)
生物を構成する物質と原子を説明できる
6週 生体物質と細胞(2)
細胞内小器官と働きを説明できる
7週 生体物質と細胞(3)
アミノ酸とタンパク質の関係を理解する
8週 中間まとめ
上記項目について,中間テストで60%の正解ができる
2ndQ
9週 生物と遺伝子
【根端細胞の体細胞分裂,ブライダルベールの減数分裂の観察】
遺伝子の本体はDNAであることを知り,その構造が描ける
10週 遺伝情報の分配
DNAの複製と転写を理解する
11週 遺伝情報とタンパク質の合成
コドン表によりアミノ酸配列が決定されることを知る
12週 遺伝情報の発現
パフとDNA鎖の解れの関係を説明できる
13週 遺伝子の発現調節
リプレッサー,調節遺伝子を理解する
14週 遺伝情報の変化
SNPによる 翻訳への影響を理解し,鎌状赤血球の原因を説明できる
15週 バイオテクノロジー(1) PCRと電気泳動の原理を理解する
DNA配列決定法を理解する
16週 前期まとめ
上記項目について,期末テストで60%の正解ができる
後期
3rdQ
1週 遺伝子の働き(遺伝の法則)
メンデル遺伝における法則とその用語について理解する.
2週 遺伝の規則性(いろいろな遺伝)
メンデル遺伝を基本とし,その変異型である様々な遺伝について理解する。
3週 遺伝の規則性(遺伝子と染色体)
一染色体上の遺伝について理解する。また,モーガンの遺伝子地図について理解する。
4週 バイオテクノロジー(2)
動物・植物のバイオテクノロジーについて,実例を挙げて説明できる
5週 代謝とエネルギー(1)
糖の代謝について簡単に説明できる
6週 代謝とエネルギー(2)
脂質とタンパク質の分解経路を簡単に説明できる
7週 代謝とエネルギー(3)
好気呼吸と嫌気呼吸を説明できる
8週 中間まとめ
上記項目について,中間テストで60%の正解ができる
4thQ
9週 体内環境(1)
心臓と血液循環,ヘモグロビンについて解説できる
10週 体内環境(2)
体内環境を調節する器官(肝臓,腎臓)について説明できる
11週 体内環境と調節
自律神経系,内分泌系による調節を説明できる
12週 免疫(1)
【魚の血液観察】
塩類濃度の赤血球への影響について説明できる
クエン酸ナトリウムの血液凝固への影響を説明できる
13週 免疫(2)
自然免疫と適用免疫について説明できる
14週 免疫(3)

細胞性免疫と体液性免疫について簡単に説明できる
T細胞トB細胞について説明できる
免疫グロブリンについて説明できる
15週 免疫(4) エイズ,インフルエンザの作用機序を説明できる
16週 後期まとめ 上記項目について,期末テストで60%の正解ができる

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学ライフサイエンス/アースサイエンスライフサイエンス/アースサイエンス地球上の生物の多様性について説明できる。1前1
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野基礎生物原核生物と真核生物の違いについて説明できる。3前1
核、ミトコンドリア、葉緑体、細胞膜、細胞壁、液胞の構造と働きについて説明できる。3前4,前5,前6
葉緑体とミトコンドリアの進化の説について説明できる。3前4
代謝、異化、同化という語を理解しており、生命活動のエネルギーの通貨としてのATPの役割について説明できる。2前2,前3,後5,後6,後7
酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。2前2,前3
光合成及び呼吸の大まかな過程を説明でき、2つの過程の関係を説明できる。1前4
DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。2前10
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。2前11
染色体の構造と遺伝情報の分配について説明できる。2前12
細胞周期について説明できる。2前12
分化について説明できる。1後15
ゲノムと遺伝子の関係について説明できる。2前13,前14
細胞膜を通しての物質輸送による細胞の恒常性について説明できる。1前6
フィードバック制御による体内の恒常性の仕組みを説明できる。1後11
情報伝達物質とその受容体の働きを説明できる。1後9,後10,後11
免疫系による生体防御のしくみを説明できる。1後12,後13,後14,後15
生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。1前7
単糖と多糖の生物機能を説明できる。1前7,後5,後6
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。1前7
ヌクレオチドの構造を説明できる。1前9,前10
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。1前10,後1,後2,後3
DNAの半保存的複製を説明できる。1前10,後1,後2,後3
RNAの種類と働きを列記できる。1前11
コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。1前11,前12,前13,前14,前15,後4,後5
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。1前3
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。1前3
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる。1前3
解糖系の概要を説明できる。1後5,後6
クエン酸回路の概要を説明できる。1後5,後6
各種の光合成色素の働きを説明できる。1前4
光化学反応の仕組みを理解し、その概要を説明できる。1前4
生物工学アルコール発酵について説明でき、その醸造への利用について説明できる。1後7

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合60000040100
基礎的能力3000002050
専門的能力2000002040
分野横断的能力100000010