生物応用化学入門

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 生物応用化学入門
科目番号 1C11 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 生物応用化学科 対象学年 1
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書は特に指定しない。講義プリントを準備する。参考図書:レトルト食品入門(日本食糧新聞社),レトルト食品の基礎と応用(幸書房)他
担当教員 冨岡 寛治,中嶌 裕之,辻 豊,栫 隆彦,笈木 宏和,石井 努,渡邊 勝宏,松田 貴暁,萩原 義徳,中島 めぐみ,我部 篤

到達目標

1.食品の腐敗と,びん・缶詰・レトルトの発展の歴史を技術的なポイントで述べることができる。
2.食品は,究極的には化学物質であることを知り,色,匂い,代謝(生体内のエネルギー変換化学反応)について説明できる。
3.高分子材料と加工,アルミニウムの精錬について説明できる。
4.食品工場の管理技術について説明できる。
5.技術と社会の関わりについて自分の意見を述べることができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1食品の腐敗と,びん・缶詰・レトルトの発展の歴史を技術的なポイントで述べることができる。食品の腐敗と,びん・缶詰・レトルトの発展の歴史を述べることができる食品の腐敗と,びん・缶詰・レトルトの関連が理解できていない。
評価項目2食品は,究極的には化学物質であることを知り,色,匂い,代謝(生体内のエネルギー変換化学反応)について説明できる。食品が化学物質であることを理解し,vocal bandで生体で化学反応が起こることを理解している。食品が化学物質であることを理解できない。
評価項目3食品工場の管理技術について説明でき,HACCPの考え方が理解されている。食品工場の管理技術について説明できる。食品工場で管理技術がつかわれていることを知らない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
生物応用化学関連の代表的な商品であるレトルト食品を要素技術に分解し,なぜレトルトは長期にわたって保存が可能か,その殺菌方法,品質管理はどのようにおこなわれているのか,レトルト容器の材料と成型方法,レトルト食品製造に用いられている工程制御技術や製品管理技術について詳しく解説する。したがって,本授業は,レトルト食品が,多くの技術蓄積により成り立っていることを理解することを目的とする。
授業の進め方・方法:
この授業は,レトルト食品という実際の商品を題材にとり進められる。学生にとって,教科書を用いない授業は初めての経験であり,戸惑うかも知れないが,実学(実際に社会の役に立つ学問)のおもしろさを味わって欲しい。また,工学的,技術的に非常に高度な内容になっているため,各講義を完璧に理解することは無理と思われるが,技術的深みに酔って欲しい。もちろん,講義はカラー図表を多用し,できる限り平易な言葉を用いて分かりやすく解説し,学生の興味を起こさせるような授業の進め方を心掛ける。また,この講義は,生物応用化学科全教員によるオムニバス形式でおこなわれる
注意点:
授業終了時に示す課題についてレポートを作成すること。
評価の方法
各講義の小試験または課題レポートによる採点結果(各100点満点)を合計して,平均点(100点満点)を算出する。出席時の未提出レポートがある場合は総合評価ができないので,必ずすべての回のレポートを提出すること。(ただし,公欠は除く。)欠席の回はレポート提出を求めないが,その回をゼロ点として全体を平均する。また,遅れて提出されたレポートは,60点を満点(40点減点)として採点する。
評価基準:60点以上を合格とする

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 レトルト食品誕生 (冨岡) レトルト食品は,軍事技術として瓶詰め缶詰から発展したことを知る。
2週 食品の危険性[食中毒] (中嶌) 腐敗と発酵の違いについて説明できる
3週 色と食品の着色料の話し (石井) 色の原理を理解し,食品に使用される着色料をしる
4週 食品の代謝 (中島) 食品は,化学的に分解され,エネルギーのやり取りがなされることを説明できる
5週 原子が変わる! (辻) 原子の構造から原子力について学習する。
6週 包装材料 (渡邊) 汎用高分子の名称を挙げることができる
7週 高分子材料加工技術 (渡邊) 高分子は熱延伸により強度が上がることを理解する
8週 中間まとめ 上記内容の理解度を確認し、後半に繋げる
2ndQ
9週 アルミニウム(松田) アルミニウムが電気精錬される理由を知る
10週 パッケージについて (我部) 売れる商品は工業デザインにより作られることを知る
11週 伝熱・加熱操作 (栫) 熱の伝わり方は工学的に理解できることを知る
12週 HACCP (萩原) HACCPの手法について知る
13週 殺菌制御・工場管理 (笈木) バリデーションの考え方を知る
14週 幸せは水素結合に宿る (辻) 生命現象に重要な水素結合について学習する。
15週 まとめ(石井) 商品は、多くの要素技術から成り立っていることを知る。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学(一般)化学(一般)代表的な金属やプラスチックなど有機材料について、その性質、用途、また、その再利用など生活とのかかわりについて説明できる。2前6,前7
洗剤や食品添加物等の化学物質の有効性、環境へのリスクについて説明できる。2前6,前7
物質が原子からできていることを説明できる。2前3,前5
単体と化合物がどのようなものか具体例を挙げて説明できる。2前5
純物質と混合物の区別が説明できる。2前5
混合物の分離法について理解でき、分離操作を行う場合、適切な分離法を選択できる。1前5
物質を構成する分子・原子が常に運動していることが説明できる。2前5
水の状態変化が説明できる。2前5
物質の三態とその状態変化を説明できる。2前5
ボイルの法則、シャルルの法則、ボイル-シャルルの法則を説明でき、必要な計算ができる。2前11
気体の状態方程式を説明でき、気体の状態方程式を使った計算ができる。2前11
原子の構造(原子核・陽子・中性子・電子)や原子番号、質量数を説明できる。2前5
同位体について説明できる。2前5
放射性同位体とその代表的な用途について説明できる。2前5
イオン式とイオンの名称を説明できる。1前5
イオン結合について説明できる。1前5
イオン結合性物質の性質を説明できる。1前5
自由電子と金属結合がどのようなものか説明できる。1前9
金属の性質を説明できる。1前9
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。1前3,前7
代表的な官能基を有する化合物を含み、IUPACの命名法に基づき、構造から名前、名前から構造の変換ができる。1前3
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。1前3,前5
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。1前3,前5
高分子化合物がどのようなものか説明できる。1前6,前7
代表的な高分子化合物の種類と、その性質について説明できる。1前6,前7
高分子の熱的性質を説明できる。1前6,前7
化学工学物質の流れと物質収支についての計算ができる。1前11
化学反応を伴う場合と伴わない場合のプロセスの物質収支の計算ができる。1前11
バッチ式と連続式反応装置について特徴や用途を理解できる。1前11
基礎生物代謝、異化、同化という語を理解しており、生命活動のエネルギーの通貨としてのATPの役割について説明できる。1前4
酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。1前4
生物化学単糖の化学構造を説明でき、各種の異性体について説明できる。1前4,前12
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。1前4,前12
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。1前4,前12
解糖系の概要を説明できる。1前2,前4
嫌気呼吸(アルコール発酵・乳酸発酵)の過程を説明できる。1前2,前4
生物工学微生物の増殖(増殖曲線)について説明できる。1前2,前13
食品加工と微生物の関係について説明できる。2前12,前15

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合00000100100
基礎的能力000005050
専門的能力000002525
分野横断的能力000002525