生物学2

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 生物学2
科目番号 2C11 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 生物応用化学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書・教材:レッツトライノート 生物Ⅰ 東京書籍。レッツトライノート 4単位生物 代謝・遺伝子,発生編 東京書籍。レッツトライノート 4単位生物 環境応答・生態・進化と系統 東京書籍。スクエア 最新図説生物neo 第一学習社
担当教員 中嶌 裕之,萩原 義徳

到達目標

1.バイオサイエンスの基礎知識を習得する
2.代謝・生物の機能に関する基礎知識を習得する
3.環境中の生態系を理解できる

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
生体内の代謝生体内の代謝について,エネルギー獲得,酵素反応,代謝経路等多角的に理解できる。生体内の代謝について,ATPの働き,酵素の性質,代謝経路について理解できる。生体内の代謝について理解できていない。
動物の内部環境動物の内部環境調節機構について,神経伝達系,内分泌系,抗体反応について総合的に理解できる。神経系,内分泌系,抗体反応についてそれぞれ理解できる。動物の内部環境調節について理解できていない。
生態と環境生物の個体群内外での相互作用,さらに生態系への影響について総合的に理解できる。また,環境問題についてもその原因及び対策について考察できる。生物の個体群内外での相互作用及び生態系について理解できる。生物同士の相互関係について理解できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
近年,生物の機能を応用した遺伝子工学,細胞工学,生物情報工学の実用化が重要視されている。そこで本講義では,生物応用化学科の専門に必要なバイオサイエンスの基礎を習得させる。
授業の進め方・方法:
教科書及び図説を併用した講義を行う。生物学の基礎科目であり,動植物,真菌類及び細菌類全てについて基本的な内容を理解する。1年生の生物学Ⅰに継続する内容であり,化学で学ぶ有機物質の内容とも結びつけながら生物を理解する能力を身に付ける。
関連科目 生物学Ⅰ
教科書・教材:エクセル生物Ⅰ+Ⅱ 実教出版
       サイエンスビュー 生物総合資料 実教出版
注意点:
最低限の基礎用語及びその意味を覚えるように努力する。
(1)点数配分:中間試験50%、期末試験50%
(2)評価基準:60点以上を合格とする。  
(3)必要に応じて再試を行う。
(4)次回の授業範囲を予習し、専門用語の意味等を理解しておくこと。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 生物の進化と系統(生命の起源と生物の変遷) 生命の起源、生物の変遷、種の定義について理解する。
2週 生物の進化と系統(進化のしくみ) 進化、生物の個体間の変異とその起源、共進化について理解する。
3週 生物の進化と系統(生物の系統) 生物の系統、生物の世界のドメインについて理解する。
4週 生命現象と物質(生命現象とタンパク質、タンパク質の基本構造) タンパク質や酵素の種類、構造について理解する。
5週 生命現象と物質(タンパク質の立体構造と働き) 酵素反応、補助因子、アロステリック酵素、反応阻害について理解する。
6週 代謝とエネルギー(エネルギー変化と化学反応) 代謝、エネルギーの変換、ATPについて理解する。
7週 代謝とエネルギー(呼吸) 解糖系、クエン酸回路、電子伝達系について理解する。
8週 代謝とエネルギー(光合成) 同化、炭酸同化、光合成の場、光合成色素について理解する。
2ndQ
9週 代謝とエネルギー(化学合成) 独立栄養、硝化細菌、硫黄細菌について理解する。
10週 代謝とエネルギー(窒素同化) 窒素同化、窒素固定について理解する。
11週 生物の環境応答(植物の環境応答) 植物にとっての水の役割、水分の出入り、生育に必要な元素について理解する。
12週 生物の環境応答(植物ホルモン) 植物ホルモンの種類、性質、働きについて理解する。
13週 生物の環境応答(環境要因の変化) 光合成への温度・光強度・二酸化炭素濃度の影響を理解する。
14週 生物の環境応答(環境要因による発芽、開花調節) 植物の発芽、開花の仕組みについて理解する。
15週 前期まとめ
16週
後期
3rdQ
1週 刺激の受容と動物の反応 受容器(眼及び耳),神経系,効果器それぞれの構造と機能について理解する。
2週 動物の行動 動物の行動について,遺伝的に固定された行動,経験に基づいて成立する行動それぞれで整理して理解する。
3週 動物の内部環境 動物の内部環境について,血液の機能を中心に理解する。
4週 自律神経とホルモンの働き 自律神経系,ホルモンの働きによる体内環境調節の仕組みについて理解する。
5週 動物の浸透圧調節 体液の浸透圧調節について,無脊椎動物,魚類,哺乳類別にその仕組みを理解する。
6週 個体群と環境 個体群とそれを取り囲む環境との相互作用について理解する。
7週 個体群の構造と成長 個体群の大きさ、個体群密度について理解する。
8週 個体間の相互作用 個体群を構成する個体間の相互作用について理解する。
4thQ
9週 種間の相互作用 種間の相互作用が個体群の特性に及ぼす影響について理解する。
10週 生物群集の成り立ちと多種の共存 多様な種の共存形態について理解する。
11週 食物網と物質生産 生物群集内での食物網の構造とその中での物質生産について理解する。
12週 生態系の構造とエネルギーの流れ 生態系の構造とその中でのエネルギーの流れについて理解する。
13週 生物多様性とその意味 生物多様性とは何か、どのような意味があるのか理解する。
14週 生物多様性を減少させる要因 生物多様性の減少を起こすしくみについて理解する。
15週 後期まとめ
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学ライフサイエンス/アースサイエンスライフサイエンス/アースサイエンス太陽系を構成する惑星の中に地球があり、月は地球の衛星であることを説明できる。3前1
地球は大気と水で覆われた惑星であることを説明できる。3前1
陸地および海底の大地形とその形成を説明できる。3前1
地球の内部構造を理解して、内部には何があるか説明できる。3前1
マグマの生成と火山活動を説明できる。3前1
地震の発生と断層運動について説明できる。3前2
地球科学を支えるプレートテクトニクスを説明できる。3前2
プレート境界における地震活動の特徴とそれに伴う地殻変動などについて説明できる。3前2
地球上の生物の多様性について説明できる。4前1,前3
生物の共通性と進化の関係について説明できる。4前1,前3
生物に共通する性質について説明できる。4前1,前3
大気圏の構造・成分を理解し、大気圧を説明できる。3後12
大気の熱収支を理解し、大気の運動を説明できる。3後12
大気の大循環を理解し、大気中の風の流れなどの気象現象を説明できる。3後12
海水の運動を理解し、潮流、高潮、津波などを説明できる。3後12
植生の遷移について説明でき、そのしくみについて説明できる。3後12
世界のバイオームとその分布について説明できる。3後12
日本のバイオームの水平分布、垂直分布について説明できる。3後12
生態系の構成要素(生産者、消費者、分解者、非生物的環境)とその関係について説明できる。4後6,後7,後8
生態ピラミッドについて説明できる。3後7,後9,後10,後11
生態系における炭素の循環とエネルギーの流れについて説明できる。4後9,後12
熱帯林の減少と生物多様性の喪失について説明できる。3後13,後14
有害物質の生物濃縮について説明できる。3後12
地球温暖化の問題点、原因と対策について説明できる。3後12,後15
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。2前4
基礎生物原核生物と真核生物の違いについて説明できる。3後5
核、ミトコンドリア、葉緑体、細胞膜、細胞壁、液胞の構造と働きについて説明できる。3後5
葉緑体とミトコンドリアの進化の説について説明できる。3前2,後5
代謝、異化、同化という語を理解しており、生命活動のエネルギーの通貨としてのATPの役割について説明できる。3前6
酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。3前4
光合成及び呼吸の大まかな過程を説明でき、2つの過程の関係を説明できる。3前7,前8
DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。3後13
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。3後13
染色体の構造と遺伝情報の分配について説明できる。3後13,後14
細胞周期について説明できる。3後8
分化について説明できる。3後8
ゲノムと遺伝子の関係について説明できる。3後8,後13,後14
細胞膜を通しての物質輸送による細胞の恒常性について説明できる。4前11,前12,後4,後5
フィードバック制御による体内の恒常性の仕組みを説明できる。4前14,後2
情報伝達物質とその受容体の働きを説明できる。4前12,前14,後1
免疫系による生体防御のしくみを説明できる。4後3
生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。3前4
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。3前4,前11
単糖と多糖の生物機能を説明できる。2前7
単糖の化学構造を説明でき、各種の異性体について説明できる。2前7
グリコシド結合を説明できる。2前7
多糖の例を説明できる。2前7
脂質の機能を複数あげることができる。1前6
トリアシルグリセロールの構造を説明できる。脂肪酸の構造を説明できる。1前6
リン脂質が作るミセル、脂質二重層について説明でき、生体膜の化学的性質を説明できる。3前6
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。2前5
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。2前4
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。2前4
タンパク質の高次構造について説明できる。2前5
ヌクレオチドの構造を説明できる。3前4
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。3前4
DNAの半保存的複製を説明できる。3前4
RNAの種類と働きを列記できる。3前4
コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。3前4
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。3前5
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。3前5
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる。3前5
解糖系の概要を説明できる。3前7
クエン酸回路の概要を説明できる。3前7
酸化的リン酸化過程におけるATPの合成を説明できる。3前7
嫌気呼吸(アルコール発酵・乳酸発酵)の過程を説明できる。3前7
各種の光合成色素の働きを説明できる。3前8
光化学反応の仕組みを理解し、その概要を説明できる。3前8,前13
炭酸固定の過程を説明できる。3前8,前9,前13
生物工学原核微生物の種類と特徴について説明できる。3前10
真核微生物(カビ、酵母)の種類と特徴について説明できる。3後5
微生物の増殖(増殖曲線)について説明できる。3後5,後8
微生物の育種方法について説明できる。3後5,後8
微生物の培養方法について説明でき、安全対策についても説明できる。3後5,後8
アルコール発酵について説明でき、その醸造への利用について説明できる。3後12
食品加工と微生物の関係について説明できる。2後12
抗生物質や生理活性物質の例を挙げ、微生物を用いたそれらの生産方法について説明できる。2後12,後15
微生物を用いた廃水処理・バイオレメディエーションについて説明できる。2後12,後15

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力500000050
専門的能力400000040
分野横断的能力100000010