分析化学実験

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 分析化学実験
科目番号 2C17 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 生物応用化学科 対象学年 2
開設期 前期 週時間数 4
教科書/教材 教科書:無機定性実験についてはプリントを配布します。図解とフローチャートによる定量分析 浅田 誠一、他著 技報堂出版株式会社 参考図書:フォトサイエンス「化学図録」
担当教員 石井 努,渡邊 勝宏

到達目標

1.試薬やガラス器具など化学実験に必要な道具が使えるようになる。
2.濃度の単位を理解し、適切に使えるようになる。
3.滴定により試料溶液の濃度を決めることができるようになる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1実験のスケールに合わせて実験器具の大きさも考えることができる。実験に応じて適切なガラス器具を選択できる。ガラス器具が使えない。
評価項目2教科書がなくても計算できる。教科書を見ながら、濃度計算ができる。濃度がわからない。
評価項目3教科書がなくても計算できる。教科書を見ながら、当量計算ができる。計算できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
分析法が系統的に確立されている第1属~第3属陽イオンの定性分析を通して、薬品やガラス器具の使い方を修得し、金属イオンの反応を理解する。また、容量分析を通して化学反応の基本概念を理解し化学実験の基本操作に習熟する。
授業の進め方・方法:
各週きめられた実験を行う。
注意点:
実験毎のレポートと確認テストで平均し,総合的に評価する.各実験終了後,提出期限以内にレポートの提出がない場合は,その実験の点数は0点とする.レポートの再提出や再試験等は行わない.60点以上を修得とする。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 実験の概要と注意事項 実験の内容を理解する。
2週 銀イオンと銅イオンの反応 銀イオンと銅イオンの反応について体験する。
3週 第1属陽イオンの分析 第1属陽イオンの反応を体験する。
4週 第2属A陽イオンと第2属B陽イオンの分離 第2属A、B陽イオンの分離を体験する
5週 第2属A陽イオンの分析 第2属A陽イオンの反応を体験する
6週 第2属B陽イオンの分析 第2属B陽イオンの反応を体験する
7週 第3属陽イオンの分析 第3属陽イオンの反応を体験する
8週 第1属~第3族陽イオンの未知検液から分離検出 試料溶液に入っている陽イオンを分離することを体験する。
2ndQ
9週 硫酸銅の再結晶 再結晶の方法を修得する。
10週 硫酸銅中の結晶水の定量 質量による議論を経験する。
11週 0.05 mol/l Na2CO3標準溶液の調整と0.1 mol/l HCl標準溶液の調整と標定 標準溶液の作成方法を修得する。
12週 0.1mol/l NaOH標準液の調製と標定 滴定のやり方を修得する。
13週 食酢中の酢酸の定量 滴定のやり方を修得する。
14週 0.02mol/l KMnO4の調製とオキシドール中の過酸化水素の定量 酸化還元滴定のやり方を修得する。
15週 工場見学 実際の現場で、化学がどのように役に立っているか理解する。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学(一般)化学(一般)洗剤や食品添加物等の化学物質の有効性、環境へのリスクについて説明できる。1
物質が原子からできていることを説明できる。3
単体と化合物がどのようなものか具体例を挙げて説明できる。3
同素体がどのようなものか具体例を挙げて説明できる。3
純物質と混合物の区別が説明できる。3
混合物の分離法について理解でき、分離操作を行う場合、適切な分離法を選択できる。3
物質を構成する分子・原子が常に運動していることが説明できる。2
水の状態変化が説明できる。2
物質の三態とその状態変化を説明できる。3
ボイルの法則、シャルルの法則、ボイル-シャルルの法則を説明でき、必要な計算ができる。3
気体の状態方程式を説明でき、気体の状態方程式を使った計算ができる。3
原子の構造(原子核・陽子・中性子・電子)や原子番号、質量数を説明できる。3
同位体について説明できる。3
放射性同位体とその代表的な用途について説明できる。2
原子の電子配置について電子殻を用い書き表すことができる。3
価電子の働きについて説明できる。3
原子のイオン化について説明できる。3
代表的なイオンを化学式で表すことができる。3
原子番号から価電子の数を見積もることができ、価電子から原子の性質について考えることができる。3
元素の性質を周期表(周期と族)と周期律から考えることができる。3
イオン式とイオンの名称を説明できる。3
イオン結合について説明できる。3
イオン結合性物質の性質を説明できる。3
イオン性結晶がどのようなものか説明できる。3
共有結合について説明できる。3
構造式や電子式により分子を書き表すことができる。2
自由電子と金属結合がどのようなものか説明できる。3
金属の性質を説明できる。3
原子の相対質量が説明できる。2
天然に存在する原子が同位体の混合物であり、その相対質量の平均値として原子量を用いることを説明できる。2
アボガドロ定数を理解し、物質量(mol)を用い物質の量を表すことができる。3
分子量・式量がどのような意味をもつか説明できる。3
気体の体積と物質量の関係を説明できる。3
化学反応を反応物、生成物、係数を理解して組み立てることができる。3
化学反応を用いて化学量論的な計算ができる。3
電離について説明でき、電解質と非電解質の区別ができる。2
質量パーセント濃度の説明ができ、質量パーセント濃度の計算ができる。3
モル濃度の説明ができ、モル濃度の計算ができる。3
酸・塩基の定義(ブレンステッドまで)を説明できる。3
酸・塩基の化学式から酸・塩基の価数をつけることができる。3
電離度から酸・塩基の強弱を説明できる。3
pHを説明でき、pHから水素イオン濃度を計算できる。また、水素イオン濃度をpHに変換できる。3
酸化還元反応について説明できる。3
イオン化傾向について説明できる。3
金属の反応性についてイオン化傾向に基づき説明できる。3
ダニエル電池についてその反応を説明できる。3
鉛蓄電池についてその反応を説明できる。3
一次電池の種類を説明できる。2
二次電池の種類を説明できる。2
電気分解反応を説明できる。2
電気分解の利用として、例えば電解めっき、銅の精錬、金属のリサイクルへの適用など、実社会における技術の利用例を説明できる。2
ファラデーの法則による計算ができる。3
化学実験化学実験実験の基礎知識(安全防具の使用法、薬品、火気の取り扱い、整理整頓)を持っている。1
事故への対処の方法(薬品の付着、引火、火傷、切り傷)を理解し、対応ができる。1
測定と測定値の取り扱いができる。2
有効数字の概念・測定器具の精度が説明できる。2
レポート作成の手順を理解し、レポートを作成できる。2
ガラス器具の取り扱いができる。2
基本的な実験器具に関して、目的に応じて選択し正しく使うことができる。2
試薬の調製ができる。2
代表的な無機化学反応により沈殿を作り、ろ過ができる。3
工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。1
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。1
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。1
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。2
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。2
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。2
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。2
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。2
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。2
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。2
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。2
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野無機化学価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。3
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質を説明できる。3
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。3
イオン結合と共有結合について説明できる。3
基本的な化学結合の表し方として、電子配置をルイス構造で示すことができる。3
金属結合の形成について理解できる。3
配位結合の形成について説明できる。3
水素結合について説明できる。3
代表的な元素の単体と化合物の性質を説明できる。3
分析化学いくつかの代表的な陽イオンや陰イオンの定性分析のための化学反応について理解できる。4
溶解度・溶解度積について理解し必要な計算ができる。3
沈殿による物質の分離方法について理解し、化学量論から沈殿量の計算ができる。2
強酸、強塩基および弱酸、弱塩基についての各種平衡について説明できる。3
強酸、強塩基、弱酸、弱塩基、弱酸の塩、弱塩基の塩のpHの計算ができる。2
緩衝溶液とpHの関係について説明できる。1
陽イオンや陰イオンの関係した化学反応について理解し、溶液中の物質の濃度計算(定量計算)ができる。4
中和滴定についての原理を理解し、酸及び塩基濃度の計算ができる。4
酸化還元滴定についての原理を理解し、酸化剤及び還元剤の濃度計算ができる。4
物理化学気体の法則を理解して、理想気体の方程式を説明できる。2
実在気体の特徴と状態方程式を説明できる。2
混合気体の分圧の計算ができる。3
純物質の状態図(P-V、P-T)を理解して、蒸気圧曲線を説明できる。1
蒸気圧降下、沸点上昇より、溶質の分子量を計算できる。3
凝固点降下と浸透圧より、溶質の分子量を計算できる。3
平衡の記述(質量作用の法則)を説明できる。3
諸条件の影響(ルシャトリエの法則)を説明できる。3
電池反応と電気分解を理解し、実用例を説明できる。1
分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】有機化学実験再結晶による精製ができる。2
分析化学実験中和滴定法を理解し、酸あるいは塩基の濃度計算ができる。4
酸化還元滴定法を理解し、酸化剤あるいは還元剤の濃度計算ができる。4
陽イオンおよび陰イオンのいずれかについて、分離のための定性分析ができる。4
物理化学実験温度、圧力、容積、質量等を例にとり、測定誤差(個人差・器差)、実験精度、再現性、信頼性、有効数字の概念を説明できる。1

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合00001000100
基礎的能力000070070
専門的能力000030030
分野横断的能力0000000