基礎無機化学

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 基礎無機化学
科目番号 3C08 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 生物応用化学科 対象学年 3
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:始めて学ぶ大学の無機化学,三吉克彦著,化学同人。参考書:新しい基礎無機化学,合原眞編著,三共出版。参考書:フレッシュマンのための結合論,M. J. Winter著,西本吉助訳,化学同人。参考書:アトキンス物理化学第10版,P. Atkins著他著,中野元裕他訳,東京化学同人。
担当教員 坂口 幸一

到達目標

1.原子構造と原子軌道、量子数の関係が説明できる。
2.有効核電荷が理解でき、原子軌道のエネルギー分裂が説明できる。
3.ルイス構造を書くことができ、これに基づき化合物の反応性を予想することができる。
4.VB,VSEPR則により分子の形を説明できる。
5.σ結合とπ結合がVB法、分子軌道法により説明でき、それぞれの特徴から反応などに結び付けて考えることができる。
6.原子軌道を用い原子の電子配置を書くことができる。
7.化学結合(共有結合・イオン結合・金属結合)について説明することができ、これらの結合の特徴を考えることができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1原子構造と原子軌道、量子数の関係が,数式により説明できる。原子構造と原子軌道、量子数の関係が説明できる。原子構造と原子軌道、量子数の関係が説明できない。
評価項目2d軌道を含む原子の遮蔽定数をスレーター則により計算でき,イオン化エネルギーと電子親和力との関連を説明できる。3周期までの典型元素において,遮蔽定数をスレーター則により計算でき,イオン化エネルギーと電子親和力との関連を説明できる。遮蔽定数をスレーター則により計算できず,イオン化エネルギーと電子親和力との関連を説明できない。
評価項目3ルイス構造により化合物の反応性を予想することができ,VB,VSEPR則によりすべての分子の形を説明できる。ルイス構造により化合物の反応性を予想することができ,VB,VSEPR則により一般的な分子の形を説明できる。ルイス構造により化合物の反応性を予想することができず,VB,VSEPR則により分子の形を説明できない。

学科の到達目標項目との関係

JABEE B-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
化学結合論の基本原理である原子軌道・分子軌道・混成軌道について学習し,原子同士を結びつける
「化学結合」を理解する。
授業の進め方・方法:
教科書とオンラインツール(Teams・Formsなど)を併用し、授業内容を黒板に記載して、それらについて説明する。 理解力を深めるために、適宜演習を行う。
関連科目: 有機化学、有機金属化学、無機化学、化学I、
注意点:
次回の講義の各単元ごとに専門用語及びその意味を予習しておくこと。授業後に毎回宿題を課すので,ノートに解いて次回の授業開始前までに,One Drive Scan(場合によってはForms)でpdfとして提出すること。
定期試験の結果で評価する。再試験を実施する。
評価基準:60点以上を合格とする。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 原子の構造 古典力学によりボーアの式を導ける
2週 電子の波動性とオービタル ドブロイの式により粒子性と波動性を関連づけることができる
3週 波動関数の意味と原子軌道(AO) 量子数とオービタルの概形を関連づけることができる
4週 遮蔽・有効核電荷・電子配置 原子軌道のエネルギー分裂を理解し、AOを使い原子の電子配置をかける
スレーター則から有効核電苛を計算できる
5週 イオン化エネルギーと電子親和力 イオン化エネルギーと電子親和力の周期表の傾向をを説明することができる
6週 有効核電苛と電気陰性度と分子の極性 有効核電苛からAllred-Rochowの電気陰性度が計算できる
7週 共有結合とイオン結合 双極子モーメントから結合のイオン性を計算できる
8週 中間まとめ 上記項目について,中間テストで60%の正解ができる
2ndQ
9週 分子のルイス式 分子のルイス構造がかける
10週 原子価結合法(VB法)1 VB法における結合を理解し、代表的な分子の結合を説明できる
11週 原子価結合法(VB法)2 昇位と混成について説明できる
12週 原子価結合法(VB法)3 超原子価化合物のπ結合を説明できる
13週 分子の構造:VSEPR法 VSEPR則より代表的な分子の形を説明できる
14週 分子の形と非共有電子対:VSEPR法の修正 電子対反発による分子構造の修正ができる
15週 水素結合・金属結合・分子間力 自由電子と金属結合が説明でき、ここから金属の性質について考えることができる
水素結合により水の特異性について説明できる
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学(一般)化学(一般)代表的な金属やプラスチックなど有機材料について、その性質、用途、また、その再利用など生活とのかかわりについて説明できる。2前15
物質が原子からできていることを説明できる。3前1
同素体がどのようなものか具体例を挙げて説明できる。3前1
原子の電子配置について電子殻を用い書き表すことができる。3前2
価電子の働きについて説明できる。3前3
原子のイオン化について説明できる。3前5
原子番号から価電子の数を見積もることができ、価電子から原子の性質について考えることができる。3前3
元素の性質を周期表(周期と族)と周期律から考えることができる。3前3
イオン結合について説明できる。3前4,前6,前7
共有結合について説明できる。2前7
構造式や電子式により分子を書き表すことができる。2前9,前10,前11,前12,前13,前14
自由電子と金属結合がどのようなものか説明できる。4前15
金属の性質を説明できる。4前15
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学σ結合とπ結合について説明できる。4前7,前11
混成軌道を用い物質の形を説明できる。4前10,前13,前14
ルイス構造を書くことができ、それを利用して反応に結びつけることができる。4前11
共鳴構造について説明できる。4前12
無機化学主量子数、方位量子数、磁気量子数について説明できる。4前3
電子殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できる。4前3
パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。4前3
価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。4前3,前4
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質を説明できる。4前3,前4
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。4前5,前6
イオン結合と共有結合について説明できる。4前6,前7
基本的な化学結合の表し方として、電子配置をルイス構造で示すことができる。4前9
金属結合の形成について理解できる。4前9,前15
代表的な分子に関して、原子価結合法(VB法)や分子軌道法(MO法)から共有結合を説明できる。4前10,前11,前13,前14
電子配置から混成軌道の形成について説明することができる。4前10,前11,前13,前14
水素結合について説明できる。4前15

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力500000050
専門的能力300000030
分野横断的能力200000020