概要:
バイオ技術,研究において利用される酵素の働きはその構造と密接に関わっている。酵素(=タンパク質)を構成するアミノ酸の性質とタンパク質の高次構造を理解し,酵素の活性点の反応機序について学ぶ。
授業の進め方・方法:
講義(チョークアンドトーク)のみで,酵素(タンパク)の構造を3次元的に理解することは難しい。PC上で動作するタンパク質構造表示ソフトを用い,Protein Data Bankデータベースの構造データーを表示させ,理解の助けとする。学生は,この演習を通して,立体的な理解が助けられるだろう。
注意点:
(1)点数配分:中間試験50%、期末試験50%
(2)評価基準:60点以上を合格とする。
(3)必要に応じて再試を行う。
(4)本科目は学修単位であるので、授業時間以外での学修が必要であり、これを課題として課す。
(5)次回の授業範囲を予習し、専門用語の意味等を理解しておくこと。
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
アミノ酸の化学構造と1文字表記,3文字表記,日本語表記,英語表記 |
20種類のアミノ酸の化学構造と1文字表記,3文字表記,日本語表記,英語表記ができる。
|
2週 |
光学活性の表記(DL体,dl表記,(+)(-)表記,RS絶対表記) エナンチオマー,ジアステレオマー |
20種類のアミノ酸の光学活性の表記(DL体,dl表記,(+)(-)表記,RS絶対表記)ができ,エナンチオマー,ジアステレオマーを区別できる。
|
3週 |
アミノ酸の電離 pKaとpHの関係(Henderson-Hasselbalchの式) |
アミノ酸のpKaとpHの関係(Henderson-Hasselbalchの式)を理解し,等電点を計算できる。
|
4週 |
アミノ酸の電荷と滴定曲線の形 |
アミノ酸の電荷と滴定曲線の形の概形を描くことができる。
|
5週 |
ペプチド結合の性質 |
ペプチド結合による共有結合を理解できる。
|
6週 |
オリゴペプチドの命名法 |
オリゴペプチドの命名が,英語表記で記述することができ,構造式を描くことができる。
|
7週 |
タンパク質の種類と酵素 |
タンパク質の機能分類,構造分類ができ,酵素の分類を述べることができる。
|
8週 |
タンパク質の一次構造 1文字表記法と3文字表記法 |
タンパク質の一次構造を理解し、アミノ酸の1文字表記と3文字表記を説明できる。
|
4thQ |
9週 |
タンパク質の二次構造 αヘリックス,βシート,逆βシート,ランダムコイル,ヘアピン |
タンパク質の二次構造 αヘリックス,βシート,逆βシートの水素結合を描くことができる。
|
10週 |
タンパク質の三次構造 ジスルフィド結合,配位結合,クーロン力,水素結合,疎水性相互作用,ファンデアワールス力 |
タンパク質の三次構造を形成する結合と相対的結合力が言える。
|
11週 |
タンパク質の四次構造 PCソフトによるヘモグロビンの構造の表示と観察 |
タンパク質の四次構造を形成する結合をあげることができる。
|
12週 |
タンパクの高次構造とエネルギー PCソフトによる鎌状赤血球のヘモグロビンの構造の表示と観察 |
鎌状赤血球の原因を解説できる。
|
13週 |
酵素の活性点と作用機序 |
誘導適合モデルを解説できる。
|
14週 |
DNAの翻訳とタンパク質のフォールディング |
フォールディングとリフォールディングを説明できる。
|
15週 |
まとめ |
これまでの総まとめを行い,到達目標に挙げた能力・スキルを修得している。
|
16週 |
|
|
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 分析化学 | イオン交換による分離方法についての概略を説明できる。 | 1 | 後1 |
クロマトグラフィーの理論と代表的な分析方法を理解している。 | 1 | 後1 |
生物化学 | タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。 | 4 | 後1,後2 |
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。 | 4 | 後1,後2 |
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。 | 4 | 後7 |
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。 | 4 | 後1,後4 |
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。 | 4 | 後1,後3,後6 |
タンパク質の高次構造について説明できる。 | 4 | 後5,後6,後8,後9,後10,後11,後12,後14 |
ヌクレオチドの構造を説明できる。 | 1 | 後14 |
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。 | 1 | 後14 |
RNAの種類と働きを列記できる。 | 1 | 後14 |
コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。 | 2 | 後14 |
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。 | 4 | 後13 |
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。 | 4 | 後13 |
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる。 | 4 | 後13 |