酵素構造工学

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 酵素構造工学
科目番号 3C13 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 生物応用化学科 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 教科書 :原書8版マクマリー生物有機化学(生化学編) ジョン・マクマリー/菅原二三男 /丸善 2018/1出版。参考図書:レ-ニンジャ-の新生化学 上 (第3版)アルバ-ト・L.レ-ニンジャ-/デ-ビッド・L.ネルソン /広川書店 タンパク質の構造入門(第2版) カ-ル・ブランデン/ジョン・トゥ-ズ /ニュ-トンプレス
担当教員 萩原 義徳

到達目標

1.アミノ酸の構造,名称,略号と性質について述べることができる
2.タンパク質の高次構造について説明することができる
3.酵素反応における活性点を説明することができる

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1アミノ酸の構造,名称,略号を暗記し,側鎖構造に起因する性質を,pKaを用いて説明することができるアミノ酸の構造,名称,略号を暗記し,側鎖構造に由来する性質を理解しているアミノ酸の基本構造の化学式が描けない
評価項目2タンパク質の高次構造を分類して答えることができ,結合名や結合の強さを答えることができるタンパク質がポリペプチド鎖の高次構造によって形成されていることを理解し,その分類を答えることができるタンパク質の立体構造を高次構造に分離して説明できない
評価項目3酵素反応を複合体の適合誘導モデルで説明することができる酵素反応を複合体の鍵と鍵穴モデルで説明することができる酵素反応が複合体を形成して起こることが理解されていない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
バイオ技術,研究において利用される酵素の働きはその構造と密接に関わっている。酵素(=タンパク質)を構成するアミノ酸の性質とタンパク質の高次構造を理解し,酵素の活性点の反応機序について学ぶ。
授業の進め方・方法:
講義(チョークアンドトーク)のみで,酵素(タンパク)の構造を3次元的に理解することは難しい。PC上で動作するタンパク質構造表示ソフトを用い,Protein Data Bankデータベースの構造データーを表示させ,理解の助けとする。学生は,この演習を通して,立体的な理解が助けられるだろう。
注意点:
(1)点数配分:中間試験50%、期末試験50%
(2)評価基準:60点以上を合格とする。  
(3)必要に応じて再試を行う。
(4)本科目は学修単位であるので、授業時間以外での学修が必要であり、これを課題として課す。
(5)次回の授業範囲を予習し、専門用語の意味等を理解しておくこと。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 アミノ酸の化学構造と1文字表記,3文字表記,日本語表記,英語表記 20種類のアミノ酸の化学構造と1文字表記,3文字表記,日本語表記,英語表記ができる。
2週 光学活性の表記(DL体,dl表記,(+)(-)表記,RS絶対表記)
エナンチオマー,ジアステレオマー
20種類のアミノ酸の光学活性の表記(DL体,dl表記,(+)(-)表記,RS絶対表記)ができ,エナンチオマー,ジアステレオマーを区別できる。
3週 アミノ酸の電離
pKaとpHの関係(Henderson-Hasselbalchの式)
アミノ酸のpKaとpHの関係(Henderson-Hasselbalchの式)を理解し,等電点を計算できる。
4週 アミノ酸の電荷と滴定曲線の形 アミノ酸の電荷と滴定曲線の形の概形を描くことができる。
5週 ペプチド結合の性質 ペプチド結合による共有結合を理解できる。
6週 オリゴペプチドの命名法 オリゴペプチドの命名が,英語表記で記述することができ,構造式を描くことができる。
7週 タンパク質の種類と酵素 タンパク質の機能分類,構造分類ができ,酵素の分類を述べることができる。
8週 タンパク質の一次構造
1文字表記法と3文字表記法
タンパク質の一次構造を理解し、アミノ酸の1文字表記と3文字表記を説明できる。
4thQ
9週 タンパク質の二次構造
αヘリックス,βシート,逆βシート,ランダムコイル,ヘアピン
タンパク質の二次構造
αヘリックス,βシート,逆βシートの水素結合を描くことができる。
10週 タンパク質の三次構造
ジスルフィド結合,配位結合,クーロン力,水素結合,疎水性相互作用,ファンデアワールス力
タンパク質の三次構造を形成する結合と相対的結合力が言える。
11週 タンパク質の四次構造
PCソフトによるヘモグロビンの構造の表示と観察
タンパク質の四次構造を形成する結合をあげることができる。
12週 タンパクの高次構造とエネルギー
PCソフトによる鎌状赤血球のヘモグロビンの構造の表示と観察
鎌状赤血球の原因を解説できる。
13週 酵素の活性点と作用機序 誘導適合モデルを解説できる。
14週 DNAの翻訳とタンパク質のフォールディング フォールディングとリフォールディングを説明できる。
15週 まとめ これまでの総まとめを行い,到達目標に挙げた能力・スキルを修得している。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野分析化学イオン交換による分離方法についての概略を説明できる。1後1
クロマトグラフィーの理論と代表的な分析方法を理解している。1後1
生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。4後1,後2
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。4後1,後2
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。4後7
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。4後1,後4
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。4後1,後3,後6
タンパク質の高次構造について説明できる。4後5,後6,後8,後9,後10,後11,後12,後14
ヌクレオチドの構造を説明できる。1後14
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。1後14
RNAの種類と働きを列記できる。1後14
コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。2後14
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。4後13
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。4後13
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる。4後13

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力250000025
専門的能力500000050
分野横断的能力250000025