概要:
基本的な物理量を測定することで、物理、応用物理Ⅰ・Ⅱの講義で学んだ物理法則の理解を深める。
また実験データのまとめ方、評価方法について学び、報告書の形式や作成方法も習得する。
今後の実験研究で必要な一連の基本作業を体験し、それらを修得する。
授業の進め方・方法:
実験書の類は配布しないので、説明をよく聞き、事故が起こらないように注意して実験を行う。
実験は3~4名の班単位で行うが、報告書は各自で作成し提出する。
実験方法・報告書の内容等は、実験開始前に説明する。
指示された報告書は全て提出しなければならない。
実験を休んだ場合、公欠であっても、補講を受けて実験しなければならない。
注意点:
以下に示す授業計画は書式に従って週単位で授業内容や到達目標を示しているが、授業は実験の状況を見ながら進めるので、あくまでも目安であり、半年間でどのような事を学ぶかの目安と理解して欲しい。
指示されたレポートを提出しなければ合格とならない。例え報告書を提出しても、基準に到達していない報告書が多い場合は合格とはならないことがある。例年問題となる事例には以下のようなものがある。
・データを整理し解析するために必要な表やグラフを書いていない。
・測定データを整理して書いていない。
・実験目的を達成するために必要な解析をしていない。
・解析結果の考察をしていない。
・他学生のレポートを真似したかのようなそっくりのレポートになっている。
など
提出されたレポートをそれぞれ評価し、それらの平均を「報告書」の点数とし、実験中の態度や取り組む姿勢を評価して「その他」の点数とする。以上の点数を元に総合的に評価して各学生の得点とする。得点が60点以上の学生に単位を与える。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
本講義を行う上での基本的な事柄の説明と安全に関する必要な基礎知識の習得 |
レポートの書き方、グラフ用紙の使い方、最小二乗法などの基本的な解析方法を理解する。
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2週 |
振り子1:振り子の等時性の実確認 |
装置を組み立てて実験し、得られたデータを評価できる。
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3週 |
振り子2:ボルタの振り子による重力加速度の測定 |
得られたデータから等時性を確認できる。
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4週 |
振り子3:ボルタの振り子による重力加速度の測定 |
測定した値から、重力加速度を求めることができ、糸の長さと周期の関係を確認する。
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5週 |
弦の共鳴1:メルデの装置を使った弦の定常波の実験 |
装置を組み立てて実験し、得られたデータを評価できる。
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6週 |
弦の共鳴2:メルデの装置を使った弦の定常波の実験 |
弦を伝わる波の速さを (1)固有振動数と波長から (2)弦の線密度と張力から の2通りから求め、同じ値になることを確認する。
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7週 |
弦の共鳴3:メルデの装置を使った弦の定常波の実験 |
異なる測定方法で得られたの違いを理解し、それぞれに合った解析ができる。
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8週 |
コンデンサー1:コンデンサーの充放電特性の測定 |
測定用の回路を組み、コンデンサーの電圧が時間経過とともにどのように変化するか測定し、得られたデータを評価できる。
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2ndQ |
9週 |
コンデンサー2:コンデンサーの電気容量測定 |
得られた電圧のデータからコンデンサーに蓄えられた電気量を見積もることができる。
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10週 |
コンデンサー3:コンデンサーの電気容量測定 |
充電した電圧と蓄えられる電気量の関係からコンデンサーの電気容量(静電容量)を求めることができる。
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11週 |
ヤング率1:ユーイングの装置によるヤング率の測定 |
装置を組み立てて実験し、得られたデータを評価できる。
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12週 |
ヤング率2:ユーイングの装置によるヤング率の測定 |
得られた値から試料のヤング率を求めることができる。
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13週 |
光の干渉:光の干渉を使った光学測定 |
装置を組み立てて実験し、得られたデータを評価できる。 レーザー光の波長を求めることができる。
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14週 |
半減期:サイコロを使った半減期の実験 |
装置を組み立てて実験し、得られたデータを評価できる。 半減期を求めることができる。
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15週 |
データ処理方法、誤差論、演習など |
データを整理し目的の値を求めることができる。
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 物理実験 | 物理実験 | 測定機器などの取り扱い方を理解し、基本的な操作を行うことができる。 | 3 | |
安全を確保して、実験を行うことができる。 | 3 | |
実験報告書を決められた形式で作成できる。 | 3 | |
有効数字を考慮して、データを集計することができる。 | 3 | |
力学に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。 | 3 | |
熱に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。 | 3 | |
波に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。 | 3 | |
光に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。 | 3 | |
電磁気に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。 | 3 | |
電子・原子に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。 | 3 | |
工学基礎 | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。 | 3 | |
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。 | 3 | |
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。 | 3 | |
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。 | 3 | |
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。 | 3 | |
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。 | 3 | |
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。 | 3 | |
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。 | 3 | |
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。 | 3 | |
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。 | 3 | |
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。 | 3 | |