有機化学実験

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 有機化学実験
科目番号 3C19 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 生物応用化学科 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 6
教科書/教材 教科書: 配布プリントを使用。参考書: 工業有機化学実験、永井芳男著、丸善; 新有機化学実験、福留博監修、技報堂出版;実験化学講座、日本化学会編、丸善;  化学便覧、日本化学会編、丸善
担当教員 石井 努,辻 豊,松田 貴暁,渡邊 勝宏

到達目標

1.有機合成実験に必要な単位操作(ろ過、加熱還流、蒸留、再結晶など)を修得する。
2.各実験を通して、試薬や生成物の性質、またその反応を理解する。
3.各実験のレポート作成能力を修得する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1自主的に実験を遂行できる単位操作能力を修得している単位操作能力を修得している単位操作能力を修得していない
評価項目2試薬や生成物の性質、またその反応及び周辺知識を理解している試薬や生成物の性質、またその反応を理解している試薬や生成物の性質、またその反応を理解していない
評価項目3レポート作成能力を修得し、理論的な考察ができるレポート作成能力を修得しているレポート作成能力を修得していない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
有機化学薬品と実験器具の正しい取り扱い方を修得し、有機合成化学実験の基本的な操作である混合、溶解、加熱、冷却、蒸留、再結晶、抽出などの方法を学ぶ。有機化学の講義で学んだ有機反応を実際に薬品と器具用いて合成反応を行い、実験経過を注意深く観察し、レポートにまとめる。
授業の進め方・方法:
実験は3-4人1組のローテーションで行う。実験前日までに予備調査を行う。実験毎に各自レポー
トを提出する。
注意点:
次回反応に使用する試薬の物性(分子量・融点・沸点・密度)を調べると共に、使用量・モル数等を計算しておくこと。
実験操作の内容を確認し、一連の流れをフローチャートにまとめておくこと。
基礎実験操作技術を修得していること。
実験レポート(80%)、テスト(20%)。再レポート・再試験は必要に応じて行う。評価基準:60点以上を修得とする。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 イントロダクション 有機化学実験に必要な実験装置・操作等を知る
2週 実験説明 各実験内容を把握する
3週 実験単位操作 基礎的な単位操作技術を修得する
4週 ガラス細工 沸石、キャピラリー作成技術を修得する
5週 アミド化反応:アセトアニリドの合成 本実験を通して、実験技術(加熱、ろ過等)を修得すると共に、レポート作成能力を身に着ける
6週 ジアゾ化とジアゾカップリング反応:オレンジIIの合成 本実験を通して、実験技術を修得本実験を通して、実験技術(吸引ろ過等)を修得すると共に、レポート作成能力を身に着ける
7週 ラジカル乳化共重合:スチレン-アクリロニトリル樹脂の合成 本実験を通して、実験技術(不活性学ガス条件下の操作等)を修得すると共に、レポート作成能力を身に着ける
8週 エステル化反応:酢酸エチルの合成 本実験を通して、実験技術(加熱、蒸留、分液操作等)を修得すると共に、レポート作成能力を身に着ける
4thQ
9週 有機化合物の構造式作成 本実験を通して、有機化合物の構造作成能力 (Chem Draw) を修得すると共に、レポート作成能力を身に着ける
10週 Wittig 反応:アルデヒドからオレフィンの合成 本実験を通して、実験技術(抽出、TLC、エバポレーター等)を修得すると共に、レポート作成能力を身に着ける
11週 水素化ホウ素ナトリウムを用いた還元反応:ケトンからアルコールの合成 本実験を通して、実験技術(再結晶、TLC等)を修得すると共に、レポート作成能力を身に着ける
12週 カラムクロマトグラフィーによる分離及び吸収と蛍光スペクトル測定 カラムクロマトグラフィーによる分離技術と吸収・蛍光スペクトル測定技術を修得すると共に、レポート作成能力を身に着ける
13週 機器分析:赤外分光法・核磁気共鳴分光法・融点測定 機器分析の測定操作を修得すると共に、レポート作成能力を身に着ける
14週 施設見学 有機合成に関する近郊企業・大学を見学し、有機合成化学の見聞を広げる
15週 全体まとめ 単位操作能力、実験反応の理解度、レポート作成能力を確認する
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学実験化学実験ガラス器具の取り扱いができる。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後11,後12,後13,後15
基本的な実験器具に関して、目的に応じて選択し正しく使うことができる。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後11,後12,後13,後15
試薬の調製ができる。3後1,後2,後3,後5,後6,後7,後8,後11,後12,後13,後15
工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。3後1,後2,後3,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後15
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。3後1,後2,後3,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後15
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。3後1,後2,後3,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後15
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。3後1,後2,後3,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。3後1,後2,後3,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後15
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。3後1,後2,後3,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後15
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。3後1,後2,後3,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後15
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
専門的能力分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】有機化学実験加熱還流による反応ができる。4後7,後8
蒸留による精製ができる。4後8
吸引ろ過ができる。4後5,後6,後11
再結晶による精製ができる。4後5,後6,後11
分液漏斗による抽出ができる。4後8,後10
薄層クロマトグラフィによる反応の追跡ができる。4後10,後11
融点または沸点から生成物の確認と純度の検討ができる。4後13
収率の計算ができる。4後5,後6,後7,後8,後10,後11,後12,後13
分析化学実験代表的な定性・定量分析装置としてクロマト分析(特にガスクロ、液クロ)や、物質の構造決定を目的とした機器(吸光光度法、X線回折、NMR等)、形態観察装置としての電子顕微鏡の中の代表的ないずれかについて、その原理を理解し、測定からデータ解析までの基本的なプロセスを行うことができる。4後12,後13
固体、液体、気体の定性・定量・構造解析・組成分析等に関して必要な特定の分析装置に関して測定条件を選定し、得られたデータから考察をすることができる。4後13
物理化学実験温度、圧力、容積、質量等を例にとり、測定誤差(個人差・器差)、実験精度、再現性、信頼性、有効数字の概念を説明できる。3後1,後2,後3,後15

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合20000800100
基礎的能力1000040050
専門的能力1000040050
分野横断的能力0000000