生物化学実験

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 生物化学実験
科目番号 3C20 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 生物応用化学科 対象学年 3
開設期 前期 週時間数 6
教科書/教材 作成した実験テキストを配付する。
担当教員 中嶌 裕之,笈木 宏和,萩原 義徳,中島 めぐみ

到達目標

1.生物関連の講義を実践することにより内容理解をさらに深める
2.食品や生体物質を扱う企業等への入社時に必要な基本的技術の習得
3.生物化学実験進行を行うための操作法,レポート整理能力の習得

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1生物化学に関する定性・定量実験を正確に行い,結果を基に結論を導くことができる。生物化学に関する定性・定量実験を正確に行うことができる。生物化学に関する定性・定量実験を正確に行うことができない。
評価項目2生物工学系実験の基本操作を習得し,形式に沿ったレポート作成ができ,ロジックの通った考察ができる生物工学系実験の基本操作を習得し,形式に沿ったレポート作成ができる生物工学系実験の基本操作を習得できておらず,形式に沿ったレポート作成ができない
評価項目3細菌を用いた実験について,その技術を習得すると共に,得られた結果からの解析及び考察能力を有する。細菌を扱う際の無菌操作技術,細菌の観察・同定方法を習得できている。細菌を扱う際の無菌操作に不安が残る。細菌の観察及び同定法の手順を理解していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
微生物を中心とした生物の観察やこれらを用いた実験を通して将来のバイオ工業・工学技術者として必要な知識を体験的に学習させ,レポートの整理,実験結果からの考察により技術の素養を身に付けさせる
授業の進め方・方法:
3班に分かれて,テーマを同時進行するため,シラバスの順序と異なる学生が生じることに留意すること。(DNA解析のテーマ等一部の実験については,未学習のため実験前に解説を加える。)これにより,実験中に各操作の意味を理解していけます。実験中は,積極的に手を動かして,実験のスキルを身に付けてください。
関連科目:生物学Ⅰ・Ⅱ,微生物学,酵素構造工学
作成した実験テキストを配布する。
注意点:
実験中は積極的に手を動かして,実験のスキルを身につけてください。レポート作成には真剣に取り組み,実験内容を深く理解すると共に,実験データの処理方法とレポート作成の方法とを習得してください。次回使用する試薬の使用量・モル数等を計算しておくこと。実験操作の内容を確認しておくこと。
60点以上を合格とする。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 実験説明及び実験準備 生物化学実験に必要な器具のキット(道具箱)を整備する
2週 DNAの解析:DNAの抽出 DNAの特性と試薬の取扱い方法について学び、細胞内からDNAを抽出することができる。
3週 DNAの解析:PCR法によるDNAの増幅 PCRの原理について理解し、DNAの増幅反応を実行できる。
4週 DNAの解析:制限酵素によるDNAの切断 制限酵素の種類や特性について理解し、DNAを配列特異的に切断することができる。
5週 DNAの解析:電気泳動法によるDNAの解析 DNAの特性を理解し、電気泳動することによってDNAのサイズを純度を見極めることができる。
6週 タンパク質の解析:カラムクロマトグラフィーⅠ(イオン交換クロマトグラフィー) TLCでLysとLeuを分離同定でき,イオン交換カラムにより分離回収することができる
7週 タンパク質の解析:カラムクロマトグラフィーⅡ(ゲルろ過クロマトグラフィー) ゲルろ過によって,分子量の異なるタンパク質を分離でき,選択性曲線を描くことができる
8週 タンパク質の解析:タンパク質の定量 Lowry法とBradford法によりタンパク定量ができる
2ndQ
9週 タンパク質の解析:酵素の活性測定 ジャガイモに含まれる酸性フォスファターゼ酵素の最適pHと最適温度を決定できる
10週 細菌の観察及び解析:空中浮遊細菌・土壌細菌の採取及び培養 空中浮遊細菌及び土壌細菌の採取,無菌操作及び細菌の培養方法を習得する。
11週 細菌の観察及び解析:グラム染色法による細菌の観察 グラム染色法及び細菌の顕微鏡観察法を習得する。
12週 細菌の観察及び解析:簡易同定法を用いた細菌の同定 オキシダーゼテスト及び簡易同定法による細菌の同定技術を習得する。
13週 細菌の観察及び解析:大腸菌の増殖測定 大腸菌数の種々測定方法を習得すると共に,同菌の増殖状況を理解する。
14週 実験レポート提出,器具整理
15週 実験総括
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学実験化学実験実験の基礎知識(安全防具の使用法、薬品、火気の取り扱い、整理整頓)を持っている。3前1,前2,前3,前4,前10,前13
事故への対処の方法(薬品の付着、引火、火傷、切り傷)を理解し、対応ができる。3前1,前2,前3,前4,前10,前13
測定と測定値の取り扱いができる。3前2,前3,前4
有効数字の概念・測定器具の精度が説明できる。3前2,前3,前4
レポート作成の手順を理解し、レポートを作成できる。3前2,前3,前4,前12,前13,前14
ガラス器具の取り扱いができる。3前2,前3,前4,前10,前13,前14
基本的な実験器具に関して、目的に応じて選択し正しく使うことができる。3前2,前3,前4,前10,前13
試薬の調製ができる。3前2,前3,前4,前10,前13
工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。3前2,前3,前4,前5
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。3前2,前3,前4,前5
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。3前2,前3,前4,前5
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。3前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前14
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。3前2,前3,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前14
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。3前2,前3,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前14
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。3前2,前3,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前14
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。2前2,前3,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。2前2,前3,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。2前2,前3,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。2前2,前3,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野無機化学錯体化学で使用される用語(中心原子、配位子、キレート、配位数など)を説明できる。2前2,前3
配位数と構造について説明できる。2前2,前3
分析化学溶解度・溶解度積について理解し必要な計算ができる。3前2,前3
沈殿による物質の分離方法について理解し、化学量論から沈殿量の計算ができる。3前2,前3
緩衝溶液とpHの関係について説明できる。3前2,前3,前5
錯体の生成について説明できる。3前2,前3
分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】分析化学実験代表的な定性・定量分析装置としてクロマト分析(特にガスクロ、液クロ)や、物質の構造決定を目的とした機器(吸光光度法、X線回折、NMR等)、形態観察装置としての電子顕微鏡の中の代表的ないずれかについて、その原理を理解し、測定からデータ解析までの基本的なプロセスを行うことができる。3前2,前3,前5
生物工学実験光学顕微鏡を取り扱うことができ、生物試料を顕微鏡下で観察することができる。4前2,前3,前10,前11,前12,前13
滅菌・無菌操作をして、微生物を培養することができる。4前2,前3,前10,前11,前12,前13
適切な方法や溶媒を用いて、生物試料から目的の生体物質を抽出し、ろ過や遠心分離等の簡単な精製ができる。3前2,前3,前6,前7
分光分析法を用いて、生体物質を定量することができる。3前2,前3,前8,前9
クロマトグラフィー法または電気泳動法によって生体物質を分離することができる。4前2,前3,前6,前7
酵素の活性を定量的または定性的に調べることができる。4前2,前3,前9
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能他者の意見を聞き合意形成することができる。2前2,前3
合意形成のために会話を成立させることができる。2前2,前3
グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。2前2,前3
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。2前2,前3
グループワーク、ワークショップ等による課題解決への論理的・合理的な思考方法としてブレインストーミングやKJ法、PCM法等の発想法、計画立案手法など任意の方法を用いることができる。2前2,前3
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。2前2,前3
適切な範囲やレベルで解決策を提案できる。2前2,前3
事実をもとに論理や考察を展開できる。2前2,前3
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。2前2,前3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合00000100100
基礎的能力000004040
専門的能力000003030
分野横断的能力000003030