化学工学1

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 化学工学1
科目番号 4C18 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 生物応用化学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:橋本健治編、ベーシック化学工学(化学同人)。参考図書:化学工学会監修、化学工学(改訂第3版)―解説と演習―(朝倉書店)。
担当教員 我部 篤

到達目標

1. 化学工学の基礎として単位、次元および物質・熱収支の考え方が理解できる。
2. 流動、熱移動現象に関する基礎理論を理解し、流動・熱移動の基礎計算から装置設計までを行うことができる。
3. 気液平衡および蒸留に関する基礎理論を理解し、回分・連続蒸留塔および精留塔の装置設計を行うことができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1単位、次元および物質・熱収支の考え方を活用できる。単位、次元および物質・熱収支の考え方を有している。単位、次元および物質・熱収支の考え方を有していない。
評価項目2流動、熱移動現象に関する基礎理論を理解し、流動・熱移動の基礎計算から装置設計までを行うことができる。流動、熱移動現象に関する基礎理論を理解し、流動・熱移動の基礎計算から装置設計に関する知識を有している。流動、熱移動現象に関する基礎理論を理解し、流動・熱移動の基礎計算から装置設計に関する知識を有していない。
評価項目3気液平衡および蒸留に関する基礎理論を理解し、回分・連続蒸留塔および精留塔の 装置設計を行うことができる。気液平衡および蒸留に関する基礎理論を理解し、回分・連続蒸留塔および精留塔の 装置設計に関する知識を有している。気液平衡および蒸留に関する基礎理論を理解し、回分・連続蒸留塔および精留塔の 装置設計に関する知識を有していない。

学科の到達目標項目との関係

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教育方法等

概要:
合理的な化学工場の生産プロセスの設計、運転に必要な物質収支、エネルギー収支の基本的な考え、及び分子運動論に基づいた運動量、熱、物質の移動を統一的に取り扱う移動現象を、摩擦係数、伝熱係数、物質移動係数、気液平衡など化学工学で広く使用される概念を学び、流動、伝熱、蒸発、蒸留、吸収等の単位操作について習得する。
実務経験のある教員による授業科目:この科目は企業で製造・開発等を担当していた教員が、その経験を活かし、工場における化学製品生産の基本となる化学工学について講義形式で授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
教科書およびプリントを用いて授業を進める。理解度を向上させるため、適宜演習問題や小テストを課し、レポートを提出させる。
注意点:
計算に必要な関数電卓を持参すること。前期、後期それぞれに中間試験40%、定期試験40%、レポート20%として評価する。総合評価は前期成績50%、後期成績50%として評価する。なお各試験について、成績が60点未満の者を対象に再試験を行う。総合評価で60点以上を合格とする。次回の授業範囲を予習し、専門用語の意味等を理解しておくこと。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 非定常状態の物質収支の基礎
非定常操作における物質収支式をたてることができる
2週 非定常状態の物質収支の計算 非定常操作における物質収支の計算ができる
3週 エネルギー収支の基礎
化学反応をともなう場合のエネルギー収支の計算ができる
4週 非定常状態のエネルギー収支
非定常操作におけるエネルギーを収支の計算を行うことができる
5週 管を流れる流体の物質収支
ベルヌーイの式や連続の式を用いて、管内を流れるの流体の物質収支を計算できる
6週 層流と乱流
レイノルズ数の計算ができ、乱流および層流の判断ができる
7週 流体の速度分布
円管内を流れる流体の速度分布を理解できる
8週 中間まとめ
中間試験として与えた計算問題を解くことができる
2ndQ
9週 摩擦などによる流れのエネルギー損失の基礎
流体の摩擦損失によるエネルギー損失を理解できる
10週 摩擦などによる流れのエネルギー損失の計算
ハーゲンポアズイユ、ファニングの式を用いて流れのエネルギー損失を計算できる
11週 流体輸送の動力計算
流体輸送の動力(ポンプの必要動力)の計算ができる
12週 運動方程式による流体解析
運動方程式により流体の流れを解析できる
13週 粒子充填層の流れ 粉体の固定層および流動層などの流動特性について理解できる
14週 流体からの粒子の分離の基礎 粉体の粉砕、集塵、沈降特性について理解し、必要な計算ができる
15週 流体からの粒子の分離の計算 ろ過を用いた固液分離法について、Ruthの式を用いて計算ができる
16週
後期
3rdQ
1週 伝熱の三形態(伝導、対流、放射伝熱) 伝導伝熱、対流伝熱、放射伝熱について説明できる
2週 伝導伝熱の基礎と計算 伝導伝熱における伝熱計算ができる
3週 対流伝熱の基礎と計算 対流伝熱における伝熱計算ができる
4週 熱交換器の設計の基礎 熱交換器の構造を理解し、簡単な熱量計算ができる
5週 熱交換器の設計の計算 熱交換器に関する設計問題を解くことができる
6週 蒸発缶の物質収支と熱収支 蒸発装置の原理について理解し、簡単な蒸発缶の熱収支が計算できる
7週 多重効用蒸発缶 多重効用蒸発缶の原理を説明することができる
8週 中間まとめ 中間試験として与えた計算問題を解くことができる
4thQ
9週 分離の原理と分離装置 蒸留などの平衡分離について概要を説明することができる
10週 気液平衡の基本法則と平衡関係 ダルトン・ラウール則を理解し、気液系における平衡組成が計算で求められる
11週 単蒸留 単蒸留の原理を理解でき、物質収支をたてて留出・缶出組成などを計算で求めることができる
12週 フラッシュ蒸留 フラッシュ蒸留の原理を理解でき、物質収支を立てて平衡組成などを求めることができる
13週 連続蒸留の考え方 連続蒸留の原理について理解し、濃縮部・回収部における物質収支からそれぞれの操作線を導出し、意味を理解できる
14週 精留塔の物質収支 マッケーブシール法による理論段数の計算ができる
15週 精留塔の装置設計 与えられた2液混合物に関して,X-Y線図の作成から理論段数の計算、最小還流比まで一貫して設計問題を解くことができる
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野化学工学SI単位への単位換算ができる。4前1,前2
物質の流れと物質収支についての計算ができる。4前2,前3
化学反応を伴う場合と伴わない場合のプロセスの物質収支の計算ができる。4前5
管径と流速・流量・レイノルズ数の計算ができ、流れの状態(層流・乱流)の判断ができる。4前6
流れの物質収支の計算ができる。4前4
流れのエネルギー収支やエネルギー損失の計算ができる。4前5,前7,前9
流体輸送の動力の計算ができる。4前10,前11
蒸留の原理について理解できる。4後9,後10
単蒸留、精留・蒸留装置について理解できる。4後11,後12,後13,後14
蒸留についての計算ができる(ラウールの法則、マッケーブシール法等)。4後10,後14,後15
分野横断的能力総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力工学的な課題を論理的・合理的な方法で明確化できる。3前11
要求に適合したシステム、構成要素、工程等の設計に取り組むことができる。3後13
課題や要求に対する設計解を提示するための一連のプロセス(課題認識・構想・設計・製作・評価など)を実践できる。3後15
提案する設計解が要求を満たすものであるか評価しなければならないことを把握している。3後15
経済的、環境的、社会的、倫理的、健康と安全、製造可能性、持続可能性等に配慮して解決策を提案できる。3後15

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80000020100
基礎的能力300000030
専門的能力5000002070
分野横断的能力0000000