安全工学

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 安全工学
科目番号 4C24 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 生物応用化学科 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 「工業安全」内藤道夫/監修 実教出版
担当教員 濱田 悦郎,西尾 浩昭

到達目標

1.火災危険の知識習得(危険物取扱主任者乙種4類レベル)
2.高圧ガスの安全知識習得(高圧ガス取扱主任者・乙化レベル)
3.工場の安全衛生活動(衛生管理者入門レベル)
4.公害・環境汚染の知識(公害防止管理者入門レベル)の習得

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
火災危険の知識習得(危険物取扱主任者乙種4類レベル)火災危険の知識を習得し,危険物取扱主任者甲種レベルレベルで解説できる火災危険の知識を習得し,危険物取扱主任者乙種4類レベルレベルで解説できる火災危険の知識を習得していない
高圧ガスの安全知識習得(高圧ガス取扱主任者・乙化レベル)高圧ガスの安全知識を習得し,高圧ガス取扱主任者・甲化レベルで解説できる高圧ガスの安全知識を習得し,高圧ガス取扱主任者・乙化レベルで解説できる高圧ガスの安全知識を習得していない
工場の安全衛生活動(衛生管理者入門レベル)工場の安全衛生活動の知識を習得し,衛生管理者レベルで実践できる工場の安全衛生活動の知識を習得し,衛生管理者入門レベルで解説できる工場の安全衛生活動の知識を習得していない
公害・環境汚染の知識(公害防止管理者入門レベル)の習得公害・環境汚染の知識を習得し,公害防止管理者レベルで解説できる公害・環境汚染の知識を習得し,公害防止管理者入門レベルで解説できる公害・環境汚染の知識を習得していない

学科の到達目標項目との関係

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教育方法等

概要:
産業革命以後に人類は工業と関わることになり,自然災害に加えて労働災害と向き合うことになった。18世紀に出現した労働災害は先人の努力にもかかわらず毎年80万件が報告されており,最近の技術革新に伴う労働の様態変化により,化学産業では20年前に比べ事故が倍増している。本授業は,化学系の技術者として化学災害を中心とした暗黙知および事故に対する感性を養い,いわゆる安全リテラシーを身に付けることを目的とする。
授業の進め方・方法:
①教科書を中心とし,実例をパワーポイントで示しながら座学の講義を行う
②実際の化学工場に出向き,危険体感(回転体巻き込まれ,感電,転倒,滑り,爆発,静電気体感)を通じ安全防災リテラシーを養成する
③出来るだけ多くの事故事例,災害史から学ぶ
注意点:
「工業安全」内藤道夫/監修 実教出版

定期試験:定期試験は実施せず、講義当日の最後に小テストを行い、この内容を評価する。
     ただし、KYTと危険体感教育時は実施レポートの内容にて効果を判断する。
評価基準:60点以上を合格とする。
小テストを基準とするため原則として再試験は実施しない。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 安全の必要性
【講義内容】とある労災死亡事故での遺族の弁「会社は1/10000を失ったが,私は全てを失った」の言葉の重さを解説。
「化学工場にとって、会社にとってなぜ安全第一なのか」を説明できる。
2週 産業災害とその防止
【講義内容】厚労省発表の最新の労災事故統計,傾向を解説。特に化学関係の事故がこの10年で倍増している事を啓発。
最近の労働災害(特に化学業界)の実態を説明できる。
3週 危険体感A(回転体による挟まれ・巻き込まれ体感,燃焼・爆発体感)
【実習内容】災害の多い回転体による挟まれ・巻き込まれを体感する。燃焼・爆発実験を見学する。
化学工場の作業における注意事項や爆発の恐ろしさを体感する。
4週 危険体感B(感電体感,転倒・滑り体感,圧力安全体感,被液体感)
【実習内容】化学工場で多い災害を体感する。
化学工場の設備の維持や作業の基本の大切さを習得する。
5週 KYT実習1
【実習内容】4RKYを実習する。
KYの手法を使用して,危険予知活動が実施できる。
6週 KYT実習2
【実習内容】4RKYを実習する。
KYの手法を使用して,危険予知活動が実施できる。
7週 燃焼と爆発
【講義内容】燃焼・爆発実験における燃焼の3要素とその防火対策を講義。
燃焼の3要素と爆発限界を知り,防火に応用できる。
8週 有害物質
【講義内容】中毒事故事例解説及び化学物質RAを中心に解説。
化学物質リスクアセスメントの重要性を知る。
4thQ
9週 化学工業と環境保全
【講義内容】廃液・排ガス・産業廃棄物などの処理技術や騒音・悪臭などの防止技術を解説する。
化学工業の環境保全のための技術を述べることができる。
10週 化学工場の作業環境
【講義内容】作業環境が人に及ぼす影響やふさわしい作業環境をつくるにはどのような対策があるかなどについて学ぶ。
作業環境の影響とその防護対策について述べることができる。
11週 化学プラントの安全
【講義内容】コンビナート設備の防火,除害の機器,設備解説。
コンビナート設備の防災の設備・システムについて概説することが出来る。
12週 化学工業の関連法令と資格
【講義内容】化学工業に関係する法令や規制や必要と思われる各種の技能・資格と取得方法を学ぶ。
化学工業に有用な資格について述べることが出来る。
13週 消防法(危険物)
【講義内容】消防法(危険物)を学ぶ。
危険物取扱主任者入門レベル。
14週 高圧ガス保安法
【講義内容】高圧ガス保安法を学ぶ。
高圧ガス保安責任者入門レベル。
15週 労働安全衛生法
【講義内容】労働安全衛生法関連法令を学ぶ。
安全管理者及び衛生管理者入門レベル。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。3
技術者の社会的責任、社会規範や法令を守ること、企業内の法令順守(コンプライアンス)の重要性について説明できる。3
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能他者の意見を聞き合意形成することができる。3
合意形成のために会話を成立させることができる。3
グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。3
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。3
グループワーク、ワークショップ等による課題解決への論理的・合理的な思考方法としてブレインストーミングやKJ法、PCM法等の発想法、計画立案手法など任意の方法を用いることができる。3
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。3
適切な範囲やレベルで解決策を提案できる。3
事実をもとに論理や考察を展開できる。3
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。3
態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。3
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力500000050
専門的能力300000030
分野横断的能力200000020