生物学Ⅱ

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 平成27年度 (2015年度)
授業科目 生物学Ⅱ
科目番号 0023 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 生物応用化学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書・教材:レッツトライノート 生物Ⅰ 東京書籍。レッツトライノート 4単位生物 代謝・遺伝子,発生編 東京書籍。レッツトライノート 4単位生物 環境応答・生態・進化と系統 東京書籍。スクエア 最新図説生物neo 第一学習社
担当教員 中嶌 裕之,萩原 義徳

到達目標

1.バイオサイエンスの基礎知識を習得する
2.代謝・生物の機能に関する基礎知識を習得する
3.環境中の生態系を理解できる

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1生体内の代謝について,エネルギー獲得,酵素反応,代謝経路等多角的に理解できる。生体内の代謝について,ATPの働き,酵素の性質,代謝経路について理解できる。生体内の代謝について理解できていない。
評価項目2動物の内部環境調節機構について,神経伝達系,内分泌系,抗体反応について総合的に理解できる。神経系,内分泌系,抗体反応についてそれぞれ理解できる。動物の内部環境調節について理解できていない。
評価項目3生物の個体群内外での相互作用,さらに生態系への影響について総合的に理解できる。また,環境問題についてもその原因及び対策について考察できる。生物の個体群内外での相互作用及び生態系について理解できる。生物同士の相互関係について理解できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
近年,生物の機能を応用した遺伝子工学,細胞工学,生物情報工学の実用化が重要視されている。そこで本講義では,生物応用化学科の専門に必要なバイオサイエンスの基礎を習得させる。
授業の進め方・方法:
教科書及び図説を併用した講義を行う。生物学の基礎科目であり,動植物,真菌類及び細菌類全てについて基本的な内容を理解する。1年生の生物学Ⅰに継続する内容であり,化学で学ぶ有機物質の内容とも結びつけながら生物を理解する能力を身に付ける。
関連科目 生物学Ⅰ
教科書・教材:エクセル生物Ⅰ+Ⅱ 実教出版
       サイエンスビュー 生物総合資料 実教出版
注意点:
最低限の基礎用語及びその意味を覚えるように努力する。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 生物の系統と分類 生物の分類方法、分類の段階、種の定義について理解する。
2週 生物界の変遷 生物界の認識、生命の起源、進化について理解する。
3週 物質の代謝とエネルギー代謝 代謝、エネルギーの変換、ATPについて理解する。
4週 酵素の特徴 タンパク質や酵素の種類、構造について理解する。
5週 酵素反応と種類 酵素反応、補助因子、アロステリック酵素、反応阻害について理解する。
6週 嫌気呼吸 異化、アルコール発酵、乳酸発酵について理解する。
7週 好気呼吸 解糖系、クエン酸回路、電子伝達系について理解する。
8週 炭酸同化(光合成と葉緑体) 同化、炭酸同化、光合成の場、光合成色素について理解する。
2ndQ
9週 炭酸同化(光合成の仕組み) 光合成反応の概略・流れについて理解する。
10週 窒素同化 窒素同化、窒素固定について理解する。
11週 環境と植物の反応 植物にとっての水の役割、水分の出入り、生育に必要な元素について理解する。
12週 光合成と環境要因 光合成への温度・光強度・二酸化炭素濃度の影響を理解する。
13週 植物の反応と調節(植物ホルモン) 植物ホルモンの種類、性質、働きについて理解する。
14週 植物の反応と調節(発芽・開花の調節) 植物の発芽、開花の仕組みについて理解する。
15週 前期まとめ
16週
後期
3rdQ
1週 刺激の受容と動物の反応 受容器(眼及び耳),神経系,効果器それぞれの構造と機能について理解する。
2週 動物の行動 動物の行動について,遺伝的に固定された行動,経験に基づいて成立する行動それぞれで整理して理解する。
3週 動物の内部環境 動物の内部環境について,血液の機能を中心に理解する。
4週 自律神経とホルモンの働き 自律神経系,ホルモンの働きによる体内環境調節の仕組みについて理解する。
5週 動物の浸透圧調節 体液の浸透圧調節について,無脊椎動物,魚類,哺乳類別にその仕組みを理解する。
6週 筋収縮 骨格筋の構造及び筋収縮の仕組みについて理解する。
7週 抗体分子と生体制御 生体防御の仕組みについて,体液性免疫及び細胞性免疫それぞれで理解する。また,抗体の構造について理解する。
8週 細胞間の情報伝達 細胞間の物質輸送及び神経伝達物質等による情報伝達機構を理解する。
4thQ
9週 生物の進化 原始地球からの生物の進化について理解する。
10週 個体群と生物群集 個体群内及び個体群間の相互作用について理解する。
11週 植物の物質生産 植物による物質生産について,光合成速度,生産構造等の観点から理解する。
12週 生物集団の変動 個体群間の相互作用について事例を基に理解する。
13週 植物群落の遷移・分布 植物群落の組成や相観に関する基礎内容,群落の遷移パターンについて理解する。また,世界における植物群系と気候との関係について理解する。
14週 生態系とその保全 水界及び陸上の生態系の構造及びその保全方法について理解する。
15週 後期まとめ
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。2
基礎生物代謝、異化、同化という語を理解しており、生命活動のエネルギーの通貨としてのATPの役割について説明できる。3
酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。3
光合成及び呼吸の大まかな過程を説明でき、2つの過程の関係を説明できる。3
DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。3
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。3
染色体の構造と遺伝情報の分配について説明できる。3
細胞周期について説明できる。3
分化について説明できる。3
ゲノムと遺伝子の関係について説明できる。3
細胞膜を通しての物質輸送による細胞の恒常性について説明できる。3
フィードバック制御による体内の恒常性の仕組みを説明できる。3
情報伝達物質とその受容体の働きを説明できる。3
免疫系による生体防御のしくみを説明できる。3
生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。3
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。3
単糖と多糖の生物機能を説明できる。2
単糖の化学構造を説明でき、各種の異性体について説明できる。2
グリコシド結合を説明できる。2
多糖の例を説明できる。2
脂質の機能を複数あげることができる。1
トリアシルグリセロールの構造を説明できる。脂肪酸の構造を説明できる。1
リン脂質が作るミセル、脂質二重層について説明でき、生体膜の化学的性質を説明できる。3
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。2
ヌクレオチドの構造を説明できる。3
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。3
DNAの半保存的複製を説明できる。3
RNAの種類と働きを列記できる。3
コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。3
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。3
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。3
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる。3
解糖系の概要を説明できる。3
クエン酸回路の概要を説明できる。3
酸化的リン酸化過程におけるATPの合成を説明できる。3
嫌気呼吸(アルコール発酵・乳酸発酵)の過程を説明できる。3
各種の光合成色素の働きを説明できる。3
光化学反応の仕組みを理解し、その概要を説明できる。3
炭酸固定の過程を説明できる。3
生物工学原核微生物の種類と特徴について説明できる。2
真核微生物(カビ、酵母)の種類と特徴について説明できる。2
アルコール発酵について説明でき、その醸造への利用について説明できる。2
遺伝子組換え技術の原理について理解している。2
バイオテクノロジーの応用例(遺伝子組換え作物、医薬品、遺伝子治療など)について説明できる。2
バイオテクノロジーが従来の技術に対して優れている点について説明できる。2
遺伝子組み換え技術のリスクと安全策について説明できる。1

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力500000050
専門的能力400000040
分野横断的能力100000010