応用物理Ⅰ

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 応用物理Ⅰ
科目番号 0287 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 生物応用化学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教 科 書:総合物理1(数研出版検定教科書)、総合物理2(数研出版検定教科書) 参考図書:リードα物理基礎・物理(数研出版問題集) ※その他参考図書は、必要に応じて授業で紹介する。
担当教員 山﨑 有司

到達目標

1.波の基本性質を理解し、波(音や光)の干渉によって起こる諸現象が説明できる。
2.レンズ・鏡によって光がどのように進むか作図し説明できる。
3.光電効果・コンプトン散乱を理解し、波の粒子性を説明できる。
4.量子仮説を理解し、水素原子のエネルギー準位を求めることができる。
5.放射線や原子・原子核の諸現象が説明できる。
6.微分・積分やベクトル解析の意味を理解し、諸現象の理解や色々な物理量の計算に使うことができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
波の基本性質を理解する。波の基本性質を理解し、波(音や光)の干渉によって起こる諸現象が定性的・定量的に説明できる。波の基本性質を理解し、波(音や光)の干渉によって起こる諸現象が定性的に説明できる。波の基本性質を理解できない。
レンズ・鏡によって光がどのように進むか理解する。レンズ・鏡によって光がどのように進むか作図し、定性的・定量的に説明できる。レンズ・鏡によって光がどのように進むか定性的に説明できる。レンズ・鏡によって光がどのように進むか理解できない。
光電効果・コンプトン散乱を理解し、波の粒子性を理解する。光電効果・コンプトン散乱を理解し、波の粒子性を定性的・定量的に説明できる。光電効果・コンプトン散乱を理解し、波の粒子性を定性的に説明できる。光電効果・コンプトン散乱が理解できない。
量子仮説を理解し、水素原子のエネルギー準位を理解する。量子仮説を理解し、水素原子のエネルギー準位を定性的・定量的に求めることができる。量子仮説を理解し、水素原子のエネルギー準位を定性的に求めることができる。量子仮説や水素原子のエネルギー準位を理解できない。
放射線や原子・原子核の諸現象を理解する。放射線や原子・原子核の諸現象が説明できる。放射性崩壊を理解し、α線・β線・γ線について説明できる。放射線や原子・原子核の諸現象を理解できない。
微分・積分やベクトル解析の意味を理解し、諸現象の理解や色々な物理量の計算への応用する。微分・積分やベクトル解析の意味を理解し、諸現象の理解や色々な物理量の計算に使うことができる。これまでに学んだ物理法則で、微分・積分・ベクトル解析が使われていることを知っている。微分・積分やベクトル解析の意味を理解できず、諸現象の理解や色々な物理量の計算ができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
本授業を通して、様々な現象の物理的な理解の仕方・考え方を学び、専門科目を学ぶ上で必要な基礎知識・基礎学力・思考力を身につける。結果を丸暗記するのではなく、導く過程を理解することで、教科書等に出てくる数式と現象を結びつけて、法則や現象を深く理解する。
授業の進め方・方法:
 教科書を指定しているが、これは自主学習のためであり、授業中に教科書を開いて読むようなことはほとんどない。たまに教科書を開いて写真や図を見る程度である。授業の進行は教科書によらず、基本的には本シラバスの「学習内容」の順に従う。
 物理学関連科目全体で学ぶ内容を考慮し、物理法則を体系的に理解できるよう進める。授業内容が教科書のどこに当たるか、次に何を学習するかは、その都度、授業において指示する。従って、留年等の事情で指定教科書がなくても、同等の教科書または参考書があれば、履修上不都合はない。
注意点:
 以下に示す授業計画は書式に従って週単位で授業内容や到達目標を示しているが、授業は学生の状況を見ながら進めるので、あくまでも目安であり、1年間でどのような事を学ぶかの目安と理解して欲しい。
 1年間の講義を前期中間・前期期末・後期中間・後期期末の4期間に分け、各期間末に定期試験(前期中間試験・前期後期試験・後期中間試験・後期期末試験)を実施し、必要と判断した場合、小テストや後期期末試験以外は定期試験後に再試を行い「試験」の評価とする。
 必要と判断した場合、課題を課すこともある。課題や学ぶ姿勢(授業態度や質疑など)で「その他」の評価とする。
後期末試験終了後、以上の「試験」と「その他」の評価を元に総合的に評価・点数化して各学生の「総合評価」とする。
「総合評価」が60点未満の学生に対して、必要と判断した場合、最終再試を行うこともある。
「総合評価」と最終再試の結果から評価・点数化して各学生の「最終成績」とする。
「最終成績」が60点以上の学生を合格とする。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 波動(波)(1) ~波の基本1~ 波の要素、分散関係、波の伝搬、正弦波の式 等 波動に関する語句を理解し、色々な物理量を計算し、正弦波を式で表すことができる。
2週 波動(波)(2) ~波の基本2~ 反射・屈折・回折、干渉、定常波、縦波と横波 等 波動の現象を理解し、計算・説明できる。
3週 波動(波)(3) ~弦を伝わる波~ 定常波、固有振動、弦を伝わる波の速さ 等 弦にできる定常波について、計算・説明できる。
4週 波動(波)(4) ~気柱を伝わる波~ 開管・閉管、定常波、気柱の固有振動 等 気柱にできる定常波について、計算・説明できる。
5週 波動(波)(5) ~音波の基本~ 音の速さ、干渉、疎密波 等 音の基本的な現象について、計算・説明できる。
6週 波動(波)(6) ~音の現象~ うなり、ドップラー効果 等 うなりやドップラー現象が起こる現象を理解し、計算・説明できる。
7週 波動(波)(7) ~光波の基本~ 屈折の法則、屈折率、レンズ、鏡、写像公式 等 光の基本的な現象について、計算・説明できる。
8週 波動(波)(8) ~光の現象~ 強め合い・弱め合いの条件、固定端・自由端反射、干渉縞 等 波の干渉について理解し光の現象を定性的・定量的に説明できる。
2ndQ
9週 波動(波)(9) ~数学的解釈~ 正弦波モデルでの解釈 等 波動の諸現象を正弦波の式を用いて説明できる。
10週 物理の復習(1) ~電気~ 電場、荷電粒子の運動 等 電場の基本と荷電粒子が電場から受ける力を理解し、荷電粒子が電場の中でどのような運動をするか定性的・定量的に説明できる。
11週 物理の復習(2) ~電気~ 磁場、荷電粒子の運動 等 磁場の基本と荷電粒子が磁場から受ける力を理解し、荷電粒子が磁場の中でどのような運動をするか定性的・定量的に説明できる。
12週 原子物理(1) ~電子~ 陰極線、電子の比電荷、電気素量 等 電子の発見と電子の比電荷・電気量を求める実験を理解し、値を求めることができる。
13週 原子物理(2) ~二重性~ 光電効果、コンプトン散乱、光子、粒子性と波動性 等 光電効果・コンプトン散乱を理解し、粒子性と波動性について定性的・定量的に説明できる。
14週 原子物理(3) ~原子構造~ 量子仮説、水素原子のスペクトルとエネルギー準位 等 ボーアの原子モデル・量子仮説を理解し、水素原子のスペクトルとエネルギー準位を定性的・定量的に説明できる。
15週 原子物理(4) ~放射線~ 放射線・放射性崩壊、半減期、X線 等 放射性崩壊を理解し、α線・β線・γ線、その他(X線等)の放射線等を定性的・定量的に説明できる。
16週
後期
3rdQ
1週 原子物理(5) ~原子核~ 原子核の構造、核子、核分裂・核融合 等
原子の古典的なモデルについて理解し、核分裂・核融合等を定性的・定量的に説明できる。
2週 原子物理(6) ~核反応~ 質量欠損とエネルギー、核反応式、核エネルギー 等 核反応・質量欠損とエネルギーについて理解し、核反応式を表したり諸エネルギーを定性的・定量的に説明できる。
3週 物理の復習(3) ~力学1~ 質点にはたらく力、運動方程式、運動量、エネルギー 等 質点とみなせる物体について、運動方程式を立て加速度等を求めたり、運動量やエネルギーを求めることができる。
4週 剛体の運動(1) ~剛体にはたらく力1~ 力の合成、力のモーメント 等 剛体にはたらく力を作図し、力の分解・合成・力のモーメントの計算ができる。
5週 剛体の運動(2) ~剛体にはたらく力2~ 剛体が静止するための条件、重心 等 剛体にはたらく力や力のモーメントがつり合うための条件を作図と式から求めることができる。
連続体の重心を求めることができる。
6週 剛体の運動(3) ~剛体の運動方程式~ 慣性モーメント、剛体の運動方程式 等 剛体にはたらく力を作図し、力の分解・合成・力のモーメントの計算から剛体の運動方程式を立てることができる。
7週 剛体の運動(4) ~剛体のエネルギー~ 回転運動エネルギー、力学的エネルギー、角運動量 等 剛体の回転運動のエネルギーや角運動量を計算できる。
8週 剛体の運動(5) ~剛体の運動~ 剛体にはたらく力と剛体の運動 等 剛体の運動方程式やエネルギーの計算から剛体の運動が定量的・定性的に説明できる。
4thQ
9週 物理総合(1) ~数学の復習1~ 微分の意味・計算、積分の意味・計算 等 微分・積分の物理的な意味を理解し、物理の中でどのように使われているか理解する。
10週 物理総合(2) ~数学の復習2~ ベクトル量とスカラー量、ベクトルの内積・外積 等 物理量をベクトルで表したり、ベクトルの計算ができる。
11週 物理総合(3) ~物体の運動I~ 微分・積分と加速度・速度・座標、等加速度直線運動 等 質点の等加速度直線運動を微分・積分を用いて理解する。
12週 物理総合(4) ~物体の運動II~ 等速円運動、単振動、減衰振動 等 質点の等速円運動や単振動を微分・積分を用いて理解する。
13週 物理総合(5) ~熱~ メイヤーの関係式、ポアソンの関係式、気体の仕事 等 熱の現象を、微分・積分を用いて理解する。
14週 物理総合(6) ~電磁気~ コンデンサー・コイルを含む直流回路・交流回路(時間変化) 等 電気の現象を、微分・積分を用いて理解する。
15週 物理総合(7) ~剛体~ 平行軸の定理、直交軸の定理 等 「剛体の運動」で学んだ法則をベクトル解析を用いて理解する。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。2
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。2
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。2
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。2
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。2
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。2
鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。2
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。2
物体に作用する力を図示することができる。2
力の合成と分解をすることができる。2
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。2
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。2
慣性の法則について説明できる。2
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。2
運動方程式を用いた計算ができる。2
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。2
静止摩擦力がはたらいている場合の力のつりあいについて説明できる。2
最大摩擦力に関する計算ができる。2
動摩擦力に関する計算ができる。2
仕事と仕事率に関する計算ができる。2
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。2
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。2
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。2
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。2
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。2
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。2
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。2
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。2
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。2
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。2
万有引力の法則から物体間にはたらく万有引力を求めることができる.2
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。2
力のモーメントを求めることができる。2
角運動量を求めることができる。2
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。2
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。2
重心に関する計算ができる。2
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。2
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。2
原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。2
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。1
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。2
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。2
動摩擦力がする仕事は、一般に熱となることを説明できる。2
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。2
気体の内部エネルギーについて説明できる。2
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。2
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。2
不可逆変化について理解し、具体例を挙げることができる。2
熱機関の熱効率に関する計算ができる。2
波動波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。2
横波と縦波の違いについて説明できる。2
波の重ね合わせの原理について説明できる。2
波の独立性について説明できる。2
2つの波が干渉するとき、互いに強めあう条件と弱めあう条件について計算できる。2
定常波の特徴(節、腹の振動のようすなど)を説明できる。2
ホイヘンスの原理について説明できる。2
波の反射の法則、屈折の法則、および回折について説明できる。2
弦の長さと弦を伝わる波の速さから、弦の固有振動数を求めることができる。2
気柱の長さと音速から、開管、閉管の固有振動数を求めることができる(開口端補正は考えない)。2
共振、共鳴現象について具体例を挙げることができる。2
一直線上の運動において、ドップラー効果による音の振動数変化を求めることができる。2
自然光と偏光の違いについて説明できる。2
光の反射角、屈折角に関する計算ができる。2
波長の違いによる分散現象によってスペクトルが生じることを説明できる。2
電気クーロンの法則を説明し、点電荷の間にはたらく静電気力を求めることができる。2

評価割合

試験その他合計
総合評価割合7030100
基礎的能力552075
専門的能力151025
分野横断的能力000