工業倫理

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 平成29年度 (2017年度)
授業科目 工業倫理
科目番号 0293 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 生物応用化学科 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 斎藤了文・坂下浩司:はじめての工学倫理(第3版)、昭和堂、2014年その他、必要な資料は、授業中に配付する。
担当教員 辻井 洋行

到達目標

1) 問題解決のための倫理理論を理解し、意識的に議論へ応用することができる。
2) 技術者倫理に関わる問題の特徴を的確に把握し、説明することができる。
3) エンジニアに期待される社会的・倫理的態度について、与えられた資料を元に履修者間で意見交換を行い、自身の考えを表明することができる。
4) 与えられた事例についてグループで検討し、技術者倫理の問題を指摘した上で、可能な解決案を複数示し、議論した上で優先順位を付け、妥当な解を選び採ることができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1与えられた事例について、技術者の仕事に関わり倫理問題の背景と原因を的確に把握し、解決策を多面的に検討した上で、議論の余地を残しつつ、妥当な解を選び採ることができている。与えられた事例について、技術者の仕事に関わり倫理問題の背景と原因をおおよそ把握し、解決策を検討した上で、解を選び採ることができている。与えられた事例について、技術者の仕事に関わり倫理問題の背景と原因を把握できず、解決策も検討できていない。
評価項目2問題解決のための倫理理論を理解し、的確に応用することができる。問題解決のための倫理理論を理解し、ある程度、応用することができる。問題解決のための倫理理論を理解できず、応用することもできない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
この授業では、エンジニアとして必要な倫理的問題の解決のための基礎的な能力を築く練習を行います。工業倫理(工学倫理)の目的は、倫理理論の理解に留まるものではなく、また、特定の倫理についての考え方を押しつけることではありません。むしろ、皆さんが、エンジニアとして、倫理的問題の解決に取り組む過程を擬似的に体験する中で、倫理的問題に触れ、その背景や理由を理解し、必要な条件を設定して、具体的な解決策を自らの言葉で考案できるようになることを目的とします。
授業の進め方・方法:
エンジニアとして必要な倫理問題を扱う能力を高めるために、まずは、日常的な課題解決について取り上げ、徐々に技術者特有の課題へと応用範囲を拡げていきます。このプロセスを経ることにより、技術者倫理の問題に対する心理的な距離観を縮め、「自分ごと」として取り組むことのできるマインドを育みます。授業の前半では、内容の解説と練習問題から取り組みはじめ、後半では、グループによる事例研究と発表を行います。
注意点:
評価基準:「60点以上を合格とする。」 
成績評価は、提出物(30%)、発表(30%)、定期試験(40%)による。
定期試験は、再試験を行う。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 導入 授業の目的と内容
ビデオ教材「ソーラーブラインド」(1回目)
授業の目的を理解し、学習する動機が得られる。
2週 日常生活における問題解決と倫理問題 問題解決のプロセスで生じる葛藤状態に対して、様々な視点から継続的に検討することの必要性について記述できる。
3週 倫理問題①;正直と損得、囚人のジレンマ、民主主義の意味と限界 様々な倫理問題の存在を区分できるようなる。
4週 倫理問題②;予防倫理、学習プロセス、情報交換・議論能力の必要性 問題解決のための予防倫理や議論の意義について、記述できる。
5週 倫理問題③;倫理的判断とウソ 倫理的判断における様々な「ウソ」の扱い方について記述できる。
6週 ユーザーから技術者へ①;技術者の成り立ち、技術者のモラル・倫理 現代社会における専門職としての技術者に期待されるモラル、学協会による倫理規定について把握し、自身の考えを表明できる。
7週 ユーザーから技術者へ②;技術者倫理の特質と必要性 専門職としての技術者が、世の中において、どのような役割を持ち、倫理を実施することが期待されているのかを記述できる。
8週 安全性と責任①;技術に関わる倫理問題、事例:チャレンジャー号事故 事例の検討を通じて、実務の現場における安全性と責任に関わる技術者の葛藤について把握し、自身の意見を述べられる。
4thQ
9週 安全性と責任②;コストと安全、安全・危険の捉え方、情報開示と信頼関係 安全性と責任について、組織における自身の態度について考えを表明できる。
10週 事例研究①;事例の紹介と分析の方法 与えられた事例の内容について、グループ内で把握し、発表スライド作成の準備ができている。
11週 事例研究②;グループ発表資料の作成と提出 発表スライドを各グループで作成し、発表できる状態で教員へ提出する。
12週 事例研究③;グループ発表1-5 事例の倫理問題が整理され、問題解決に向けたグループとしての意見が示される。
13週 事例研究④;グループ発表6-10 事例の倫理問題が整理され、問題解決に向けたグループとしての意見が示される。
14週 事例研究⑤;グループ発表11-15 事例の倫理問題が整理され、問題解決に向けたグループとしての意見が示される。
15週 まとめ
ビデオ教材「ソーラーブラインド」(2回目)
倫理問題の解決に関する自身の能力の変化を把握し、説明することができる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を理解し、社会における技術者の役割と責任を説明できる。3
説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。2
技術者を目指す者として、社会での行動規範としての技術者倫理を理解し、問題への適切な対応力(どうのように問題を捉え、考え、行動するか)を身に付けて、課題解決のプロセスを実践できる。3
環境問題の現状についての基本的な事項について把握し、科学技術が地球環境や社会に及ぼす影響を説明できる。2
国際社会における技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。2
知的財産の社会的意義や重要性の観点から、知的財産に関する基本的な事項を説明できる。2
社会性、社会的責任、コンプライアンスが強く求められている時代の変化の中で、技術者として信用失墜の禁止と公益の確保が考慮することができる。2
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。3
技術者を目指す者として、平和の構築、異文化理解の推進、自然資源の維持、災害の防止などの課題に力を合わせて取り組んでいくことの重要性を認識している。3
情報リテラシー情報リテラシー情報を適切に収集・処理・発信するための基礎的な知識を活用できる。3
論理演算と進数変換の仕組みを用いて基本的な演算ができる。3
コンピュータのハードウェアに関する基礎的な知識を活用できる。3
情報伝達システムやインターネットの基本的な仕組みを把握している。2
インターネットの仕組みを理解し、実践的に使用できる。3
情報セキュリティの必要性、様々な脅威の実態とその対策について理解できる。2
個人情報とプライバシー保護の考え方について理解し、正しく実践できる。3
インターネットを用いた犯罪例などを知り、それに対する正しい対処法を実践できる。4
数値計算の基礎が理解できる2
コンピュータにおける初歩的な演算の仕組みを理解できる。2
データの型とデータ構造が理解できる2

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合403000300100
基礎的能力30100010050
専門的能力10200020050
分野横断的能力0000000