概要:
この授業では、エンジニアとして必要な倫理的問題の解決のための基礎的な能力を築く練習を行います。工業倫理(工学倫理)の目的は、倫理理論の理解に留まるものではなく、また、特定の倫理についての考え方を押しつけることではありません。むしろ、皆さんが、エンジニアとして、倫理的問題の解決に取り組む過程を擬似的に体験する中で、倫理的問題に触れ、その背景や理由を理解し、必要な条件を設定して、具体的な解決策を自らの言葉で考案できるようになることを目的とします。
授業の進め方・方法:
エンジニアとして必要な倫理問題を扱う能力を高めるために、まずは、日常的な課題解決について取り上げ、徐々に技術者特有の課題へと応用範囲を拡げていきます。このプロセスを経ることにより、技術者倫理の問題に対する心理的な距離観を縮め、「自分ごと」として取り組むことのできるマインドを育みます。授業の前半では、内容の解説と練習問題から取り組みはじめ、後半では、グループによる事例研究と発表を行います。
注意点:
評価基準:「60点以上を合格とする。」
成績評価は、提出物(30%)、発表(30%)、定期試験(40%)による。
定期試験は、再試験を行う。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
導入 授業の目的と内容 ビデオ教材「ソーラーブラインド」(1回目) |
授業の目的を理解し、学習する動機が得られる。
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2週 |
日常生活における問題解決と倫理問題 |
問題解決のプロセスで生じる葛藤状態に対して、様々な視点から継続的に検討することの必要性について記述できる。
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3週 |
倫理問題①;正直と損得、囚人のジレンマ、民主主義の意味と限界 |
様々な倫理問題の存在を区分できるようなる。
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4週 |
倫理問題②;予防倫理、学習プロセス、情報交換・議論能力の必要性 |
問題解決のための予防倫理や議論の意義について、記述できる。
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5週 |
倫理問題③;倫理的判断とウソ |
倫理的判断における様々な「ウソ」の扱い方について記述できる。
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6週 |
ユーザーから技術者へ①;技術者の成り立ち、技術者のモラル・倫理 |
現代社会における専門職としての技術者に期待されるモラル、学協会による倫理規定について把握し、自身の考えを表明できる。
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7週 |
ユーザーから技術者へ②;技術者倫理の特質と必要性 |
専門職としての技術者が、世の中において、どのような役割を持ち、倫理を実施することが期待されているのかを記述できる。
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8週 |
安全性と責任①;技術に関わる倫理問題、事例:チャレンジャー号事故 |
事例の検討を通じて、実務の現場における安全性と責任に関わる技術者の葛藤について把握し、自身の意見を述べられる。
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4thQ |
9週 |
安全性と責任②;コストと安全、安全・危険の捉え方、情報開示と信頼関係 |
安全性と責任について、組織における自身の態度について考えを表明できる。
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10週 |
事例研究①;事例の紹介と分析の方法 |
与えられた事例の内容について、グループ内で把握し、発表スライド作成の準備ができている。
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11週 |
事例研究②;グループ発表資料の作成と提出 |
発表スライドを各グループで作成し、発表できる状態で教員へ提出する。
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12週 |
事例研究③;グループ発表1-5 |
事例の倫理問題が整理され、問題解決に向けたグループとしての意見が示される。
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13週 |
事例研究④;グループ発表6-10 |
事例の倫理問題が整理され、問題解決に向けたグループとしての意見が示される。
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14週 |
事例研究⑤;グループ発表11-15 |
事例の倫理問題が整理され、問題解決に向けたグループとしての意見が示される。
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15週 |
まとめ ビデオ教材「ソーラーブラインド」(2回目) |
倫理問題の解決に関する自身の能力の変化を把握し、説明することができる。
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 工学基礎 | 技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史 | 技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史 | 技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を理解し、社会における技術者の役割と責任を説明できる。 | 3 | |
説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。 | 2 | |
技術者を目指す者として、社会での行動規範としての技術者倫理を理解し、問題への適切な対応力(どうのように問題を捉え、考え、行動するか)を身に付けて、課題解決のプロセスを実践できる。 | 3 | |
環境問題の現状についての基本的な事項について把握し、科学技術が地球環境や社会に及ぼす影響を説明できる。 | 2 | |
国際社会における技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。 | 2 | |
知的財産の社会的意義や重要性の観点から、知的財産に関する基本的な事項を説明できる。 | 2 | |
社会性、社会的責任、コンプライアンスが強く求められている時代の変化の中で、技術者として信用失墜の禁止と公益の確保が考慮することができる。 | 2 | |
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。 | 3 | |
技術者を目指す者として、平和の構築、異文化理解の推進、自然資源の維持、災害の防止などの課題に力を合わせて取り組んでいくことの重要性を認識している。 | 3 | |
情報リテラシー | 情報リテラシー | 情報を適切に収集・処理・発信するための基礎的な知識を活用できる。 | 3 | |
論理演算と進数変換の仕組みを用いて基本的な演算ができる。 | 3 | |
コンピュータのハードウェアに関する基礎的な知識を活用できる。 | 3 | |
情報伝達システムやインターネットの基本的な仕組みを把握している。 | 2 | |
インターネットの仕組みを理解し、実践的に使用できる。 | 3 | |
情報セキュリティの必要性、様々な脅威の実態とその対策について理解できる。 | 2 | |
個人情報とプライバシー保護の考え方について理解し、正しく実践できる。 | 3 | |
インターネットを用いた犯罪例などを知り、それに対する正しい対処法を実践できる。 | 4 | |
数値計算の基礎が理解できる | 2 | |
コンピュータにおける初歩的な演算の仕組みを理解できる。 | 2 | |
データの型とデータ構造が理解できる | 2 | |