生物学Ⅰ

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 生物学Ⅰ
科目番号 1100 科目区分 一般 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 生物応用化学科 対象学年 1
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書・教材:理解しやすい生物〔生物基礎収録版〕 文英堂。見つめる生物ファーブルEYE(2012版) とうほう。レッツトライノート4単位生物 代謝・遺伝子・発生編 東京書籍。レッツトライノート4単位生物 環境応答・生態・進化と系統 東京書籍
担当教員 中嶌 裕之,萩原 義徳

到達目標

1.バイオサイエンスの基礎知識を習得する。
2.生物同士の繋がりの理解と生物の分類の把握とができる。
3.顕微鏡観察の実技を習得する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1プレパラートを作成し,顕微鏡を使って最適画像の観察ができ,記録することができるプレパラートを作成し,ピントを合わせて観察できる顕微鏡観察操作ができない
評価項目2生物の構造及び生殖方法について正確に理解できる。受精後の発生段階について理解できる。細胞の構造体を言える。生殖方法の違いは理解できる。発生の概要を説明できる。細胞構造,生殖方法,発生について理解できていない。
評価項目3メンデル遺伝,その他の遺伝についてその方法を理解できる。また,遺伝子の本体がDNAであることの証明実験についてその結果から導き出される結論を理解できる。二遺伝子雑種,伴性遺伝等について理解できる。遺伝の仕組みについて理解できていない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
21世紀はバイオの時代であり,遺伝子工学,細胞工学,生物情報工学分野での産業化がすでに始まっている。将来,バイオ分野で活躍するためには,生物の基礎知識が不可欠となる。この授業は,生物応用化学科のバイオ関連科目(特に生物コース)を学ぶときに必要となる基礎知識・技術の習得を目的とする。
授業の進め方・方法:
教科書及び図説を併用した講義を行う。生物学の基礎項目(細胞,分類学,生活環,遺伝,代謝,光合成など)の基本的な内容を理解することを目指すため,それぞれの項目を深く掘り下げない。しかし,もっと深く学びたい学生には,質問に答えることはもちろん,さらに高度な専門書を紹介する。また,顕微鏡観察やその他の生物実験を随時取り入れて,理解の助けとする(実験は,主に前期に取り組む)。この科目は,2年生の生物学Ⅱに継続する。
関連科目 生物学Ⅱ
教科書・教材:理解しやすい生物(生物基礎収録版) 文英堂
       見つめる生物ファーブルEYE(2012版) とうほう
       レッツトライノート4単位生物 代謝・遺伝子・発生編 東京書籍
       レッツトライノート4単位生物 環境応答・生態・進化と系統 東京書籍
注意点:
実験には真摯に取り組み,毎回レポートとしてまとめること。講義では,各単元ごとに生物用語及びその意味をきちんと理解すること。
(1)点数配分:中間試験50%、期末試験50%
(2)評価基準:60点以上を合格とする。  
(3)必要に応じて再試を行う。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 顕微鏡各部の名称と観察の操作手順(タマネギの細胞) 双眼顕微鏡の取扱いを修得し,タマネギ細胞を染色して観察できる
2週 生物のスケッチの方法(アオミドロ) 顕微鏡で観察しスケッチを描くことができる
3週 ミクロメーターの使用法(赤血球) ミクロメーターを使って,赤血球の大きさを測定できる
4週 細胞の染色方法(タマネギの細胞) 酢酸オルセイン,アセトカルミンの染色液を用いて,試料を染色したプレパラートが作成できる
5週 顕微鏡の種類(SEM,TEM,原子間力顕微鏡)と細胞の構造(核の構造とDNA) 写真によりSEM,TEM,光学顕微鏡が区別できる
6週 原形質流動と原形質分離(オオカナダモの観察) 原形質流動を観察してその速度を測定する
7週 体細胞分裂の観察(タマネギの根端) 根端細胞を酢酸で固定化し分裂過程の細胞を観察できる
8週 個体のなりたち(細胞の研究) 細胞説発展の歴史を概説できる
2ndQ
9週 個体のなりたち(細胞の構造) 細胞の細胞内小器官の概形と働きを述べることができる
10週 生殖と発生(体細胞分裂と減数分裂) 体細胞分裂と減数分裂のDNA量のプロファイルを述べることができる
11週 遺伝物質(DNAとRNA) DNA,染色体,ヌクレオチド,遺伝子の区別ができる
12週 同化と異化(同化色素の分離(TLC)) 同化色素をTLCにより分離同定できる
13週 同化と異化(光合成) 葉緑体色素の吸収波長spectrumを測定する
14週 同化と異化(嫌気呼吸,好気呼吸) 嫌気呼吸と好気呼吸の生産ATP量を答えることができる
15週 前期まとめ 上記のテスト問題を60%以上正解することができる
16週
後期
3rdQ
1週 生物の進化と分類(生物の分類と系統) ホイッタカーの五界説を中心とした系統分類及び各界に属する生物を理解する。
2週 個体のなりたち(細胞の働きと酵素) 細胞内小器官の名称及び各器官の働きを理解する。
3週 個体のなりたち(生物体のなりたち) 細胞の集合体である組織,器官の名称,例及び働きを理解する。
4週 生殖と発生(動物の発生過程) 動物の受精後の発生過程を,ウニ及びカエルを例に理解する。
5週 生殖と発生(動物の発生のしくみ) 動物の胚を用いた各種実験の内容およびその結果から導き出される結論を理解する。
6週 生殖と発生(植物の生活環) 植物の生活環について,藻類,コケ植物,シダ植物,種子植物それぞれで理解する。
7週 生殖と発生(動物の生活環) 動物の生殖方法及び生活環について理解する。
8週 生殖と発生(真菌類の生活環) 真菌類の生活環について,コウボ菌等の事例を基に理解する。
4thQ
9週 遺伝の規則性(遺伝の法則) エンドウマメを用いたメンデル遺伝について解析方法を理解する。
10週 遺伝の規則性(いろいろな遺伝) メンデル遺伝を基本とし,その変異型である様々な遺伝について理解する。
11週 遺伝の規則性(遺伝子と染色体) 一染色体上の遺伝について理解する。また,モーガンの遺伝子地図について理解する。
12週 遺伝の規則性(性染色体と遺伝) 性染色体(X染色体)上の二遺伝子雑種における遺伝方法を理解する。
13週 遺伝の規則性(遺伝子の本体) 遺伝子の本体がDNAであることを示したグリフィスらの実験を基に理解できる。
14週 遺伝の規則性(特殊な遺伝) キセニア,細胞質遺伝,母性遺伝等特殊な遺伝について理解する。
15週 後期まとめ
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学についての基礎的原理や現象を、実験を通じて理解できる。2
物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。2
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。3
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。3
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。3
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。3
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野基礎生物原核生物と真核生物の違いについて説明できる。3
核、ミトコンドリア、葉緑体、細胞膜、細胞壁、液胞の構造と働きについて説明できる。3
葉緑体とミトコンドリアの進化の説について説明できる。3
代謝、異化、同化という語を理解しており、生命活動のエネルギーの通貨としてのATPの役割について説明できる。2
酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。2
光合成及び呼吸の大まかな過程を説明でき、2つの過程の関係を説明できる。1
DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。2
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。2
染色体の構造と遺伝情報の分配について説明できる。2
細胞周期について説明できる。2
ゲノムと遺伝子の関係について説明できる。2
細胞膜を通しての物質輸送による細胞の恒常性について説明できる。1
生物化学単糖と多糖の生物機能を説明できる。1
ヌクレオチドの構造を説明できる。1
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。1
DNAの半保存的複製を説明できる。1
RNAの種類と働きを列記できる。1
コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。1
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。1
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。1
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる。1
生物工学遺伝子組換え技術の原理について理解している。1

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力500000050
専門的能力400000040
分野横断的能力100000010