基礎生物化学実験

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 基礎生物化学実験
科目番号 1198 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 生物応用化学科 対象学年 2
開設期 後期 週時間数 4
教科書/教材 実験テキストを配布する
担当教員 中嶌 裕之,笈木 宏和,萩原 義徳

到達目標

1.滴定による当量計算ができる
2.ピペットマンが操作できる
3.決められたpHの緩衝液が調製できる
4.酵母菌を使って個液系で反応操作ができる
5.糸状菌の顕微鏡観察ができる
6.酵素反応ができる
7.実験の結果を図表化して考察を加えることができる

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1実験書に指示されたモル濃度の溶液,緩衝液を正確に調製できる実験書に指示されたモル濃度の溶液,緩衝液を教員の助言により調製することができる実験書に指示されたモル濃度の試薬量を計算できない
評価項目2実験書に従って酵素反応の測定を正確に行うことができ,結果を基に考察できる。実験書に従い,酵素反応の測定を行うことができる。酵素反応実験について理解できていない。
評価項目3実験書を基に,無菌操作を忠実に理解した上で糸状菌の採取・培養ができ,結果を基に考察できる。実験書を基に糸状菌を中心とした採取・培養ができる。無菌操作及び糸状菌の培養がうまくできない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
生物化学,生物工学の基礎的実験技術と実験データ解析方法,報告書作成能力を習得することを目的とする。
授業の進め方・方法:
各週に行う実験に関してよく予習を行い,実験に臨んでください。レポートを提出して実験が終わったことになります。きちんと期限内にレポートを提出してください。
実験テキストを配布する。
注意点:
評価の観点は,◇実験遂行(実験に真面目に取り組み,レポートを遅延無く提出したか,◇実験目的をよく理解しているか,◇原理をよく理解しているか,◇結果(データが正確に処理されているか,生データのみが添付されていないか,効果的にグラフ化されているか),◇考察(実験中の観察結果とデータに基づき考察が加えられているか,論理的に考察されているか,よく調査されているか),◇課題は全て解かれているか。
60点以上を合格とする。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 実験ガイダンス(実験を安全に行うために),備品準備,器具洗浄 実験を安全に行うための基礎知識を習得するとともに,半期の実験の備品を準備する。
2週 ピペットマンの使い方 ピペットマンの使い方を習得する。
3週 ピペットマンの使い方とデータ処理 ピペットマンお使い方に習熟し,R2>0.9より精度良く検量線を作ることができる。
4週 溶液調製,pHメーターの使い方,緩衝液の作製 緩衝液を調整することができ,酸または塩基を添加しても,pH変化が緩やかにしか変化しないことを実験により確認する。
5週 コウボ菌のアルコール発酵 糖の種類により資化性が異なることを理解する。
6週 糸状菌の観察Ⅰ 糸状菌を寒天培地に捕集することができる。
7週 糸状菌の観察Ⅱ 顕微鏡観察をおこない,カビの属を同定することができる。
8週 糖分の測定 酵素法により,清涼飲料水の糖を定量することが出来る。
4thQ
9週 固まる食品の仕組みを探ろう 2価陽イオンの架橋により高分子が凝集してゲル化することを理解する。
10週 生地発酵力試験 生地発酵試験を用いて,高糖,低糖,無糖条件でイーストの発酵力を測定することができる。
11週 水の硬度測定 滴定により,カルシウム硬度,全硬度を測定することができる。
12週 ビタミンCの定量 滴定により,ビタミンCの含有量を決定できる。
13週 酵素(アスコルビナーゼ)の働き 野菜から抽出したアスコルビナーゼの定量ができる。
14週 レポートの書き方 レポートの構成要素を知り,通し番号を振って,図,グラフを挿入することができる。
15週 実験のまとめ
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学実験化学実験実験の基礎知識(安全防具の使用法、薬品、火気の取り扱い、整理整頓)を持っている。2
事故への対処の方法(薬品の付着、引火、火傷、切り傷)を理解し、対応ができる。2
測定と測定値の取り扱いができる。3
有効数字の概念・測定器具の精度が説明できる。2
レポート作成の手順を理解し、レポートを作成できる。2
ガラス器具の取り扱いができる。3
基本的な実験器具に関して、目的に応じて選択し正しく使うことができる。3
試薬の調製ができる。3
工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学についての基礎的原理や現象を、実験を通じて理解できる。2
物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。2
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。3
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。3
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。3
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。3
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野基礎生物原核生物と真核生物の違いについて説明できる。3
核、ミトコンドリア、葉緑体、細胞膜、細胞壁、液胞の構造と働きについて説明できる。3
葉緑体とミトコンドリアの進化の説について説明できる。3
代謝、異化、同化という語を理解しており、生命活動のエネルギーの通貨としてのATPの役割について説明できる。2
酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。2
光合成及び呼吸の大まかな過程を説明でき、2つの過程の関係を説明できる。1
DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。2
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。2
染色体の構造と遺伝情報の分配について説明できる。2
細胞周期について説明できる。2
ゲノムと遺伝子の関係について説明できる。2
細胞膜を通しての物質輸送による細胞の恒常性について説明できる。1
生物化学単糖と多糖の生物機能を説明できる。1
ヌクレオチドの構造を説明できる。1
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。1
DNAの半保存的複製を説明できる。1
RNAの種類と働きを列記できる。1
コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。1
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。1
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。1
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる。1
生物工学遺伝子組換え技術の原理について理解している。1
分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】分析化学実験代表的な定性・定量分析装置としてクロマト分析(特にガスクロ、液クロ)や、物質の構造決定を目的とした機器(吸光光度法、X線回折、NMR等)、形態観察装置としての電子顕微鏡の中の代表的ないずれかについて、その原理を理解し、測定からデータ解析までの基本的なプロセスを行うことができる。2
生物工学実験光学顕微鏡を取り扱うことができ、生物試料を顕微鏡下で観察することができる。2
滅菌・無菌操作をして、微生物を培養することができる。2
酵素の活性を定量的または定性的に調べることができる。2

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合00000100100
基礎的能力000004040
専門的能力000003030
分野横断的能力000003030