金属物理学Ⅰ

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 平成28年度 (2016年度)
授業科目 金属物理学Ⅰ
科目番号 0143 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 材料工学科(2016年度以前入学生) 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 金属用語辞典編集委員会 編著、金属用語辞典、アグネ技術センター
担当教員 周 致霆

到達目標

1.金属の結晶構造を説明できる。
2.金属の塑性変形を転位の動きとして理解し、説明できる。
3.金属の強化法を原子の動きとして理解し、説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1結晶の構造について8割説明することができる。結晶の構造について7割説明することができる。結晶の構造について6割説明することができない。
評価項目2材料の強化方法・評価方法・軟化過程について8割説明することができる。材料の強化方法・評価方法・軟化過程について7割説明することができる。材料の強化方法・評価方法・軟化過程について6割説明することができない。
評価項目3材料の変形について8割理解することができ、計算できる。材料の変形について7割理解することができ、計算できる。材料の変形について6割理解することができ、計算できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
金属は純金属および合金として、機能材料や構造材料に使用されている。新材料の開発を行ったり、さまざまな加工を施すには、金属の基礎的な物理特性を理解しておく必要がある。本講義では、材料物性の基礎として、金属原子の構造、結晶構造および高強度機構などについて解説する。
授業の進め方・方法:
参考図書を用いて講義を行う。金属の諸特性は結晶構造によって特長付けられる事、塑性変形や拡散挙動は転位の移動や点欠陥などによって起こるなど、金属の基礎的特性を理解し、塑性変形のメカニズム、時効硬化のメカニズムに応用できることが重要。
注意点:

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス 金属物理学Ⅰの位置づけについて理解する
2週 原子の構造と結合 原子の構造と結合について理解する
3週 結晶の構造 立方晶・六方晶の構造について理解する
4週 合金の構造 合金の構造について理解する
5週 結晶構造の欠陥 結晶構造の欠陥について理解する
6週 材料の機械的性質 材料の機械的性質の種類について理解する
7週 状態図 状態図の基礎を理解する
8週 金属材料の評価方法 金属材料の評価方法について説明できる
2ndQ
9週 金属材料の強化方法 金属材料の強化方法について説明できる
10週 材料の軟化過程 材料の軟化過程について理解する
11週 破壊Ⅰ 破壊について知る
12週 拡散 拡散について知る
13週 塑性加工 塑性加工について知る
14週 鉄鋼材料 鉄鋼材料について知る
15週 非鉄材料 非鉄材料について知る
16週
後期
3rdQ
1週 空孔濃度 空孔濃度の導出ができる
2週 体心立方格子のすべり系 体心立方格子のすべり系について理解する
3週 面心立方格子のすべり系 面心立方格子のすべり系について理解する
4週 シュミット因子 シュミット因子の導出ができる
5週 臨界せん断応力Ⅰ 臨界せん断応力の導出ができる
6週 臨界せん断応力Ⅱ 臨界せん断応力を用いた種々の計算ができる
7週 結晶系とブラベー格子 結晶系とブラベー格子について理解する
8週 析出機構 析出機構について理解する
4thQ
9週 破壊Ⅱ 破壊形態を理解する
10週 熱処理Ⅰ 熱処理の基礎を知る
11週 熱処理Ⅱ 熱処理について理解する
12週 集合組織 集合組織について知る
13週 双晶 双晶について知る
14週 まとめⅠ 学習内容の復習を行う
15週 まとめⅡ 学習内容の理解度の確認を行う
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学材料系分野材料物性金属の一般的な性質について説明できる。3
原子の結合の種類および結合力や物質の例など特徴について説明できる。3
代表的な結晶構造の原子配置について説明でき、充填率の計算ができる。3
結晶構造の特徴の観点から、純金属、合金や化合物の性質を説明できる。3
陽子・中性子・電子からなる原子の構造について説明できる。3
化学結合の種類および結合力や物質の例などを説明できる。3
結晶系の種類、14種のブラベー格子について説明できる。3
ミラー指数を用いて格子方位と格子面を記述できる。3
14種のブラベー格子について説明でき、描くことができる。3
代表的な結晶構造の原子配置を描き、充填率の計算ができる。3
金属材料純鉄の組織と変態について、結晶構造を含めて説明できる。2
炭素鋼の状態図を用いて標準組織および機械的性質を説明できる。2
炭素鋼の焼なましと焼ならしについて冷却速度の違いに依存した機械的性質の変化を説明できる。2
炭素鋼の連続冷却変態(C.C.T.)曲線の読み方が説明できる。2
炭素鋼の焼きならしの目的と焼きならしによる機械的性質の変化を説明できる。2
炭素鋼の恒温変態(T.T.T.)曲線と連続冷却変態(C.C.T.)曲線の読み方とこれらの相違を説明できる。2
炭素鋼の焼入れの目的と得られる組織、焼入れによる機械的性質の変化を説明できる。2
焼入れた炭素鋼の焼戻しの目的とその過程に関する知識を活用し、焼入れ焼き戻しによる機械的性質の変化を説明できる。2
純銅の強度的特徴、物理的、化学的性質について説明できる。2
黄銅や青銅について、その成分および特徴を理解し、適切な合金を応用できる。2
アルミニウムの強度的特徴、物理的・化学的性質について説明できる。2
鋳造用・展伸用アルミニウムについて、その成分や熱処理による組織学的変化の観点から適切な合金を応用できる。1
チタンの強度的特徴、物理的・化学的性質について説明できる。2
実用チタン合金の成分および特徴を理解し応用できる。1
無機材料原子価結合法により、共有結合を説明できる。2
イオン結合の形成について理解できる。2
金属結合の形成について理解できる。2
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比などの基本的な計算ができる。2
材料組織点欠陥である空孔、格子間原子、置換原子などを区別して説明できる。3
線欠陥である刃状転位とらせん転位を理解し、変形機構と関連して説明できる。3
面欠陥である積層欠陥について説明できる。3
ギブスの相律から自由度を求めて系の自由度を説明できる。2
相分離型の状態図を、自由エネルギー曲線と関連させて説明できる。2
自由エネルギー曲線と状態図の関係を系統的にまとめ、説明することができる。1
弾性変形の変形様式の特徴、フックの法則について説明できる。2
塑性変形におけるすべり変形と双晶変形の特徴について説明できる。3
刃状転位とらせん転位ならびに塑性変形における転位の働きを説明できる。3
降伏現象ならびに応力-歪み曲線から降伏点を求めることができる。3
加工硬化、固溶硬化、析出硬化、分散硬化の原理を説明できる。3
格子間原子型および原子空孔型の拡散機構を説明できる。2
拡散第1法則および拡散第2法則の基本式を導出できる。2
拡散係数の物理的意味を説明できる。2
相互拡散係数の意味を理解し、固有拡散係数との違いを説明できる。2
カーケンドール効果を説明できる。3
活性化エネルギーの物理的意味を理解し、拡散係数と温度の関係を説明できる。1
回復機構および回復に伴う諸特性の変化を説明できる。3
1次再結晶過程ならびに再結晶温度に影響を与える因子を説明できる。3
硬さ、電気抵抗、熱量等の変化から再結晶温度を求めることができる。2
再結晶粒の核生成機構および優先核生成場所を説明できる。2
再結晶粒の成長機構を説明できる。2
マルテンサイト変態について結晶学的観点からの相変態の特徴を説明できる。1
力学荷重と応力、変形とひずみの関係について理解できる。2
応力-ひずみ曲線について説明できる。2
フックの法則を用いて、縦弾性係数(ヤング率)、応力およびひずみを計算できる。2
引張、圧縮応力(垂直応力)とひずみ、物体の変形量を計算できる。3
引張、圧縮を受けた物体の変形量を計算できる。2
縦ひずみと横ひずみを理解し、ポアソン比およびポアソン数を説明できる。2
せん断応力(接面応力)とせん断ひずみ(せん断角)を計算できる。2
せん断応力、せん断ひずみ、横弾性係数の関係を理解できる。2
工作塑性加工法の種類を説明できる。2
鍛造とその特徴を説明できる。2
プレス加工とその特徴を説明できる。2
転造、押出し、圧延、引抜きなどの加工法を説明できる。2

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力700000070
専門的能力300000030
分野横断的能力0000000