材料組織学

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 平成28年度 (2016年度)
授業科目 材料組織学
科目番号 0145 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 材料工学科(2016年度以前入学生) 対象学年 3
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:横山亨、図解 合金状態図読本、オーム社  その他プリント
担当教員 川上 雄士

到達目標

1.基礎となる4種の基本二元系合金平衡状態図を理解し説明できる。
2.てこの関係を理解し計算できる。
3.状態図と自由エネルギーの関係を説明できる。
4.実用合金(Fe-C系、Al-Cu系)の状態図を理解できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1基礎となる4種類の基本二元系合金平衡状態図を理解し正しく説明できる。基礎となる4種の基本二元系合金平衡状態図を理解できる。基礎となる4種の基本二元系合金平衡状態図を理解できない。
評価項目2基本二元系合金平衡状態図において、てこの関係を理解し計算できる。さらに応用した状態図においても計算ができる。基本二元系合金平衡状態図において、てこの関係を理解し計算できる。基本二元系合金平衡状態図において、てこの関係を理解し計算できない。
評価項目3状態図と自由エネルギーの関係を理解し、説明できる。状態図と自由エネルギーの関係を理解できる。状態図と自由エネルギーの関係を理解できない。
評価項目4実用合金(Fe-C系、Al-Cu系)の状態図を理解し、説明できる。実用合金(Fe-C系、Al-Cu系)の状態図を理解できる。実用合金(Fe-C系、Al-Cu系)の状態図を理解できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
実用されている金属材料は、ほとんどが数種の金属の合金である。これらの合金の特性を知るためには、その成分と温度における金属の状態をあらわす平衡状態図の理解が不可欠である。本講義では、二元系合金平衡状態図を中心にその基礎および応用について解説する。
授業の進め方・方法:
教科書とプリントを用いて講義を行う。状態図では、金属および合金を溶融、加熱、冷却した時に変化する材料組織を知る事が出来る。合金の特性を理解するため、またその利用を研究するために必須の技術であり、状態図を自由に操れるように習得する必要がある。さらに、計算で算出できない経験則の部分が多く、材料組織に対する感性を磨く事が求められる。 
  関連科目:金属物理学、金属材料学
注意点:

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 平衡状態図の概念(平衡、相律、合金) 平衡、相律、相、合金などの専門用語が理解できる。
2週 水の状態図 水の状態図を理解できる。
3週 一成分における相変化 同素変態について理解できる。
4週 相律と状態図の関係 自由度の概念を理解し、ギブスの相律を理解できる。
5週 熱分析と状態図の作成方法 熱分析について説明でき、状態図との関係を理解できる。
6週 金属の凝固(純金属・合金)と自由エネルギー 金属の凝固(純金属・合金)過程と自由エネルギーの関係を理解できる。
7週 溶解度曲線・てこの関係 2元系平衡状態図上で、てこの原理を用いて、各相の割合を計算できる。
8週 自由エネルギー・組成図 状態図を、自由エネルギー曲線と関連させて説明できる。
2ndQ
9週 全率固溶型平衡状態図 全率固溶型平衡状態図を理解できる。各相の割合をてこの原理を用いて計算できる。
10週 共晶反応型平衡状態図-1 共晶型の反応と状態図を理解し、一般的な共晶組織について説明できる。
11週 共晶反応型平衡状態図-2 共晶型の反応と状態図を理解し、一般的な共晶組織について説明できる。各相の割合をてこの原理を用いて計算できる。
12週 包晶反応型平衡状態図 包晶型の反応と状態図を理解し、一般的な包晶組織について説明できる。各相の割合をてこの原理を用いて計算できる。
13週 偏晶反応型平衡状態図 偏晶型の反応と状態図を説明できる。各相の割合をてこの原理を用いて計算できる。
14週 実用合金の平衡状態図-1(Fe-C系) 炭素鋼の状態図を理解し、標準組織および機械的性質が説明できる。
15週 実用合金の平衡状態図-2(Al-Cu系) Al-Cu系平衡状態図を理解し、析出について説明できる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学材料系分野材料物性代表的な結晶構造の原子配置について説明でき、充填率の計算ができる。2前1,前2,前3
結晶構造の特徴の観点から、純金属、合金や化合物の性質を説明できる。2前1,前2,前3
化学結合の種類および結合力や物質の例などを説明できる。1前1,前2
結晶系の種類、14種のブラベー格子について説明できる。2前2,前3
代表的な結晶構造の原子配置を描き、充填率の計算ができる。2前2,前3
金属材料純鉄の組織と変態について、結晶構造を含めて説明できる。3前3
炭素鋼の状態図を用いて標準組織および機械的性質を説明できる。3前14
炭素鋼の焼なましと焼ならしについて冷却速度の違いに依存した機械的性質の変化を説明できる。1前14
炭素鋼の連続冷却変態(C.C.T.)曲線の読み方が説明できる。1前14
炭素鋼の焼きならしの目的と焼きならしによる機械的性質の変化を説明できる。1前14
炭素鋼の恒温変態(T.T.T.)曲線と連続冷却変態(C.C.T.)曲線の読み方とこれらの相違を説明できる。1前14
炭素鋼の焼入れの目的と得られる組織、焼入れによる機械的性質の変化を説明できる。1前14
焼入れた炭素鋼の焼戻しの目的とその過程に関する知識を活用し、焼入れ焼き戻しによる機械的性質の変化を説明できる。1前14
合金鋼の状態図の読み方を利用して炭化物の種類や析出挙動を説明できる。1前14
合金鋼のT.T.T.図、C.C.T.図の読み方が理解でき、目的に応じた適切な熱処理法を説明できる。1前14
合金鋼の添加元素と機械的性質に関する知識を利用して、合金鋼の用途を選択できる。1前14
状態図を用いて、鋳鉄の性質および組織について説明できる。2前14
純銅の強度的特徴、物理的、化学的性質について説明できる。1前6
黄銅や青銅について、その成分および特徴を理解し、適切な合金を応用できる。1前6
アルミニウムの強度的特徴、物理的・化学的性質について説明できる。1前6,前15
鋳造用・展伸用アルミニウムについて、その成分や熱処理による組織学的変化の観点から適切な合金を応用できる。1前6,前15
チタンの強度的特徴、物理的・化学的性質について説明できる。1前6
実用チタン合金の成分および特徴を理解し応用できる。1前6
無機材料金属結合の形成について理解できる。1前6
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比などの基本的な計算ができる。1前1
材料組織物質系の平衡状態について、安定状態、準安定状態、不安定状態を説明できる。3前4
ギブスの相律から自由度を求めて系の自由度を説明できる。3前4
熱分析の原理について説明できる。3前5
純金属の凝固過程での過冷却状態、核生成、結晶粒成長の各段階について説明できる。3前6
2元系平衡状態図上で、てこの原理を用いて、各相の割合を計算できる。3前7,前9,前11,前12,前13
相分離型の状態図を、自由エネルギー曲線と関連させて説明できる。2前6,前8
全率固溶体型の状態図を、自由エネルギー曲線と関連させて説明できる。2前7,前8,前9
共晶型反応の状態図を用いて、一般的な共晶組織の形成過程について説明できる。3前10,前11
包晶型反応の状態図を用いて、一般的な包晶組織の形成過程について説明できる。3前12
偏晶型の反応と状態図を説明できる。3前13
中間相生成型の反応と状態図を説明できる。3前13
固溶体の自由エネルギー曲線から求められる合金の安定状態について理解できる。1前6
自由エネルギー曲線と状態図の関係を系統的にまとめ、説明することができる。1前6
自由エネルギーの変化を利用して、相変態について説明できる。2前8
凝固過程での状態変化や特徴を説明できる。3前6
析出過程での状態変化や特徴を説明できる。3前14,前15
共析変態で生じる組織を描き、相変態過程を説明できる。3前14
マルテンサイト変態について結晶学的観点からの相変態の特徴を説明できる。1前14

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80000020100
基礎的能力3000002050
専門的能力400000040
分野横断的能力100000010