材料化学Ⅰ

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 材料化学Ⅰ
科目番号 0307 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 材料工学科(2016年度以前入学生) 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:J.Mcmurry,R.C.Fay著(萩野博,山本学,大野公一訳)一般化学(下),東京化学同人
担当教員 清長 友和

到達目標

1. 有機化合物の性質について説明できる。
2. 水溶液内の反応と平衡について説明でき、計算できる。
3. 電気化学反応が説明できる。
4. 配位化合物ならびにその異性体について説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1有機化合物を命名でき、かつその性質ならびに反応性について説明することができる。有機化合物の性質を説明することができる。有機化合物の性質を説明できない。
評価項目2水溶液中の反応の平衡定数について計算でき、説明することができる。水溶液中の反応の平衡定数について計算することができる。水溶液中の反応の平衡定数を計算できない。
評価項目3電気化学反応が説明でき、計算により平衡定数等を計算することができる。電気化学反応を説明することができる。電気化学反応を説明できない。
評価項目4配位化合物を命名でき、かつその異性体について説明することができる。配位化合物ならびにその異性体について説明することができる。配位化合物ならびにその異性体について説明することができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
一般化学系科目、および基礎材料化学で学んだ学習内容野の発展的内容について学習する。また、付加価値の高い工業製品を製造していく上で必要な関連科目に通じる基礎的な内容について学習する。
授業の進め方・方法:
教科書に沿ってパワーポイントなどを併用しながら講義を行う。
物理化学、セラミックス材料学、および機器分析化学などの科目とも深く関連しているので、予習復習を十分行うことを強く勧める。また、1、2年生で学んだ化学Ⅰ、化学Ⅱ、および基礎材料化学とも深く関連しているので、分からない点がある場合は、必要に応じて再度見直しすることを望む。
注意点:
到達目標に記載した項目の基礎的な内容と理解度、およびその活用度を評価基準とする。
定期試験(中間試験40%+期末試験40%) 80%、課題レポートを20%として評価し、60点以上を合格とする。
再試験は全範囲で一度のみ実施する。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 有機化合物の分類と分析 有機化合物を分類することができ、分析方法について説明できる。
2週 飽和炭化水素 アルカンを命名することができる。
3週 不飽和炭化水素 アルケンおよびアルキンを命名することができる。
4週 アルコールと関連化合物 アルコール・エーテル・アルデヒド・ケトンを命名することができ、その性質について説明することができる。
5週 芳香族化合物 芳香族化合物の種類ならびにその性質について説明できる。
6週 天然有機化合物 糖類およびアミノ酸の性質について説明することができる。
7週 演習問題1 1~6週において学んだ知識を用いて、有機化合物の命名および性質について説明することができる。
8週 中間試験 有機化合物の命名および性質について説明できる。
2ndQ
9週 天然高分子化合物 高分子化合物について理解し、天然に存在する高分子化合物を説明することができる。
10週 合成高分子化合物 合成高分子化合物について、その種類および性質を説明することができる。
11週 化学平衡と平衡定数(1) 濃度平衡定数および圧平衡定数について説明でき、計算することができる。
12週 化学平衡と平衡定数(2) 各種濃度変化・圧力変化・温度変化による平衡定数の変化を計算することができる。
13週 水溶液内平衡 酸と塩基(1) 弱酸の溶液中の平衡濃度を計算することができる。
14週 水溶液内平衡 酸と塩基(2) 酸解離定数と塩基解離定数の関係を説明でき、計算に用いることができる。
15週 演習問題2 9~14週において学んだ知識を用いて、高分子化合物の性質について説明でき、かつ各種水溶液内の平衡濃度等を計算できる。
16週
後期
3rdQ
1週 溶液の平衡とその応用(1) 共通イオン効果について説明することができる。
2週 溶液の平衡とその応用(2) ヘンダーソン・ハッセルバルヒ式を理解するとともに、これを用いて緩衝液のpHを計算することができる。
3週 溶液の平衡とその応用(3) 強酸と弱塩基の滴定における中和点を計算することができる。
4週 熱力学 エントロピー エントロピーと熱力学第二法則を説明することができる。
5週 熱力学 自由エネルギー 反応の自由エネルギー変化を計算することができる。
6週 熱力学 自由エネルギー変化と反応混合物の組成 自由エネルギー変化を計算し、平衡定数を計算することができる。
7週 演習問題3 1~6週において学んだ知識を用いて、緩衝液のpH計算や各種化学反応の平衡定数を計算することができる。
8週 中間試験 緩衝液のpH計算、化学反応のギブスエネルギー変化、ならびに平衡定数の計算ができる。
4thQ
9週 電気化学 電池 電池ならびに電解槽における電極の名称の違いを説明することができる。
10週 電気化学 標準電極電位  標準電極電位について説明することができる。
11週 電気化学 電気分解 電解によって生じる生成物の量を計算することができる。
12週 主要族元素  アルミノケイ酸塩について説明することができる。
13週 遷移金属と配位化学:電子配置とその性質 遷移金属の電子配置から遷移金属の性質を説明することができる。
14週 遷移金属と配位化学:配位化合物 配位化合物ならびにその異性体について説明することができる。
15週 演習問題4 9~14週において学んだ知識を用いて、標準電極電位の計算、電解によって生じる生成物の量の計算、アルミノケイ酸塩や配位化合物、およびその異性体の性質を説明することができる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学(一般)化学(一般)代表的な金属やプラスチックなど有機材料について、その性質、用途、また、その再利用など生活とのかかわりについて説明できる。1前9,前10
専門的能力分野別の専門工学材料系分野有機材料高分子の定義と分子間力による集合の仕方、性質について説明できる。1前9,前10
低分子と高分子の違いを理解し説明できる。3前9,前10
分子量を計算し、官能基や構造から分子の性質を予測できる。2前9,前10
高分子材料に求められる機能について理解し、基本的な骨格と官能基の機能性について説明できる。3前9,前10
多糖について種類、構造、性質を説明できる。3前9
無機材料酸化還元の知識を用いて酸化還元の反応式から酸化剤、還元剤の濃度等の計算ができる。3後9,後10
イオン化傾向について理解できる。3後9,後10
イオン化傾向と電池の電極および代表的な電池について説明できる。3後9,後10
酸化還元電位と代表的な電極系について理解できる。3後9,後10
電気分解に関する知識を用いてファラデーの法則の計算ができる。3後11
中心原子、配位子、キレート、配位数などの用語を説明できる。3後14,後15
錯体の命名法の基本を説明できる。3後14,後15
配位数と構造について説明できる。3後14,後15
物理化学エントロピーの定義を理解し、不可逆過程におけるエントロピー生成について説明できる。2後4
ヘルムホルツエネルギーとギブズエネルギーの定義および自発的変化の方向性との関連について説明できる。2後5
標準モルギブズエネルギーの定義に基づいて標準反応ギブズエネルギーを計算できる。3後5,後6
理想溶液と実在溶液の違いを説明できる。3後6,後10

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80000200100
基礎的能力4000010050
専門的能力300005035
分野横断的能力100005015