1. 4つの基本的な2成分系合金平衡状態図を理解し説明できる。
2. てこの関係を理解し計算できる。
3. 状態図と自由エネルギーの関係を説明できる。
4. 実用合金(Fe-C系,Al-Cu系)の状態図を理解する。
概要:
金属材料のほとんどは,複数の元素が混ざり合った合金として存在する。この合金の組織や性質を知るためには,その成分と温度の関係を表した「平衡状態図」の理解が不可欠となる。本科目では,2元系合金の平衡状態図を中心にその基礎と応用について述べる。
授業の進め方・方法:
授業は教科書に沿って進める。必要に応じてプリントも配付する。
状態図を見れば,加熱・冷却した時に変化する合金の組織を知ることができる。このため,状態図は材料開発に欠かせない,必須のツールである。本科目は「金属物理学」や「金属材料学」にも関連するので,確実な理解が必要である。
注意点:
中間試験40%,期末試験40%,小テスト・レポート提出20%で評価し,合計点が100点満点中60点以上を合格とする。必要に応じて再試験を実施するが,評点は60点とする。
評価基準:到達目標に記載した内容を主な評価基準とする。
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 材料系分野 | 材料物性 | 代表的な結晶構造の原子配置について説明でき、充填率の計算ができる。 | 2 | 前1,前2,前3 |
結晶構造の特徴の観点から、純金属、合金や化合物の性質を説明できる。 | 2 | 前1,前2,前3 |
化学結合の種類および結合力や物質の例などを説明できる。 | 1 | 前1,前2 |
結晶系の種類、14種のブラベー格子について説明できる。 | 2 | 前2,前3 |
代表的な結晶構造の原子配置を描き、充填率の計算ができる。 | 2 | 前2,前3 |
金属材料 | 純鉄の組織と変態について、結晶構造を含めて説明できる。 | 3 | 前3 |
炭素鋼の状態図を用いて標準組織および機械的性質を説明できる。 | 3 | 前14 |
炭素鋼の焼なましと焼ならしについて冷却速度の違いに依存した機械的性質の変化を説明できる。 | 1 | 前14 |
炭素鋼の連続冷却変態(C.C.T.)曲線の読み方が説明できる。 | 1 | 前14 |
炭素鋼の焼きならしの目的と焼きならしによる機械的性質の変化を説明できる。 | 1 | 前14 |
炭素鋼の恒温変態(T.T.T.)曲線と連続冷却変態(C.C.T.)曲線の読み方とこれらの相違を説明できる。 | 1 | 前14 |
炭素鋼の焼入れの目的と得られる組織、焼入れによる機械的性質の変化を説明できる。 | 1 | 前14 |
焼入れた炭素鋼の焼戻しの目的とその過程に関する知識を活用し、焼入れ焼き戻しによる機械的性質の変化を説明できる。 | 1 | 前14 |
合金鋼の状態図の読み方を利用して炭化物の種類や析出挙動を説明できる。 | 1 | 前14 |
合金鋼のT.T.T.図、C.C.T.図の読み方が理解でき、目的に応じた適切な熱処理法を説明できる。 | 1 | 前14 |
合金鋼の添加元素と機械的性質に関する知識を利用して、合金鋼の用途を選択できる。 | 1 | 前14 |
状態図を用いて、鋳鉄の性質および組織について説明できる。 | 2 | 前14 |
純銅の強度的特徴、物理的、化学的性質について説明できる。 | 1 | 前6 |
黄銅や青銅について、その成分および特徴を理解し、適切な合金を応用できる。 | 1 | 前6 |
アルミニウムの強度的特徴、物理的・化学的性質について説明できる。 | 1 | 前6,前15 |
鋳造用・展伸用アルミニウムについて、その成分や熱処理による組織学的変化の観点から適切な合金を応用できる。 | 1 | 前6,前15 |
チタンの強度的特徴、物理的・化学的性質について説明できる。 | 1 | 前6 |
実用チタン合金の成分および特徴を理解し応用できる。 | 1 | 前6 |
無機材料 | 金属結合の形成について理解できる。 | 1 | 前6 |
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比などの基本的な計算ができる。 | 1 | 前1 |
材料組織 | 物質系の平衡状態について、安定状態、準安定状態、不安定状態を説明できる。 | 3 | 前4 |
ギブスの相律から自由度を求めて系の自由度を説明できる。 | 3 | 前4 |
熱分析の原理について説明できる。 | 3 | 前5 |
純金属の凝固過程での過冷却状態、核生成、結晶粒成長の各段階について説明できる。 | 3 | 前6 |
2元系平衡状態図上で、てこの原理を用いて、各相の割合を計算できる。 | 3 | 前7,前9,前11,前12,前13 |
相分離型の状態図を、自由エネルギー曲線と関連させて説明できる。 | 2 | 前6,前8 |
全率固溶体型の状態図を、自由エネルギー曲線と関連させて説明できる。 | 2 | 前7,前8,前9 |
共晶型反応の状態図を用いて、一般的な共晶組織の形成過程について説明できる。 | 3 | 前10,前11 |
包晶型反応の状態図を用いて、一般的な包晶組織の形成過程について説明できる。 | 3 | 前12 |
偏晶型の反応と状態図を説明できる。 | 3 | 前13 |
中間相生成型の反応と状態図を説明できる。 | 3 | 前13 |
固溶体の自由エネルギー曲線から求められる合金の安定状態について理解できる。 | 1 | 前6 |
自由エネルギー曲線と状態図の関係を系統的にまとめ、説明することができる。 | 1 | 前6 |
自由エネルギーの変化を利用して、相変態について説明できる。 | 2 | 前8 |
凝固過程での状態変化や特徴を説明できる。 | 3 | 前6 |
析出過程での状態変化や特徴を説明できる。 | 3 | 前14,前15 |
共析変態で生じる組織を描き、相変態過程を説明できる。 | 3 | 前14 |
マルテンサイト変態について結晶学的観点からの相変態の特徴を説明できる。 | 1 | 前14 |