材料組織学

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 材料組織学
科目番号 0311 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 材料工学科(2016年度以前入学生) 対象学年 3
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 図解 合金状態図読本(横山亨著,オーム社)/プリント
担当教員 森園 靖浩

到達目標

1. 4つの基本的な2成分系合金平衡状態図を理解し説明できる。
2. てこの関係を理解し計算できる。
3. 状態図と自由エネルギーの関係を説明できる。
4. 実用合金(Fe-C系,Al-Cu系)の状態図を理解する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目12成分系合金平衡状態図を説明できる。4つの基本的な2成分系合金平衡状態図を説明できる。4つの基本的な2成分系合金平衡状態図を説明できない。
評価項目2てこの関係を理解し計算できる。2成分系合金平衡状態図において,てこの関係を理解し計算できる。てこの関係を理解できない。
評価項目3状態図と自由エネルギーの関係を説明できる。状態図と自由エネルギーの関係を説明できる。状態図と自由エネルギーの関係を説明できない。
評価項目4実用合金の状態図を理解できる。実用合金(Fe-C系,Al-Cu系)の状態図を理解できる。Fe-C系やAl-Cu系の状態図を理解できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
金属材料のほとんどは,複数の元素が混ざり合った合金として存在する。この合金の組織や性質を知るためには,その成分と温度の関係を表した「平衡状態図」の理解が不可欠となる。本科目では,2元系合金の平衡状態図を中心にその基礎と応用について述べる。
授業の進め方・方法:
授業は教科書に沿って進める。必要に応じてプリントも配付する。
状態図を見れば,加熱・冷却した時に変化する合金の組織を知ることができる。このため,状態図は材料開発に欠かせない,必須のツールである。本科目は「金属物理学」や「金属材料学」にも関連するので,確実な理解が必要である。
注意点:
中間試験40%,期末試験40%,小テスト・レポート提出20%で評価し,合計点が100点満点中60点以上を合格とする。必要に応じて再試験を実施するが,評点は60点とする。
評価基準:到達目標に記載した内容を主な評価基準とする。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 はじめに 授業の全体像を理解する。
2週 平衡状態図の概念 平衡・相律・合金について理解する。
3週 1成分系における相変化 水や純金属の場合について理解する。
4週 相律と状態図の関係 相律と状態図の関係について理解する。
5週 状態図の作成方法 熱分析について理解する。
6週 溶解度曲線・てこの関係 てこの関係について理解する。
7週 中間試験
8週 平衡状態図1 全率固溶型について理解する。
2ndQ
9週 平衡状態図2 共晶反応型(固溶しない場合)について理解する。
10週 平衡状態図3 共晶反応型(固溶限がある場合)について理解する。
11週 平衡状態図4 包晶反応型について理解する。
12週 平衡状態図5 偏晶反応型について理解する。
13週 自由エネルギー-組成図1 自由エネルギーと状態図の関係を理解する。
14週 自由エネルギー-組成図2 自由エネルギーと状態図の関係を理解する。
15週 実用合金の平衡状態図 Fe-C系,Al-Cu系の状態図について理解する。
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学材料系分野材料物性代表的な結晶構造の原子配置について説明でき、充填率の計算ができる。2前1,前2,前3
結晶構造の特徴の観点から、純金属、合金や化合物の性質を説明できる。2前1,前2,前3
化学結合の種類および結合力や物質の例などを説明できる。1前1,前2
結晶系の種類、14種のブラベー格子について説明できる。2前2,前3
代表的な結晶構造の原子配置を描き、充填率の計算ができる。2前2,前3
金属材料純鉄の組織と変態について、結晶構造を含めて説明できる。3前3
炭素鋼の状態図を用いて標準組織および機械的性質を説明できる。3前14
炭素鋼の焼なましと焼ならしについて冷却速度の違いに依存した機械的性質の変化を説明できる。1前14
炭素鋼の連続冷却変態(C.C.T.)曲線の読み方が説明できる。1前14
炭素鋼の焼きならしの目的と焼きならしによる機械的性質の変化を説明できる。1前14
炭素鋼の恒温変態(T.T.T.)曲線と連続冷却変態(C.C.T.)曲線の読み方とこれらの相違を説明できる。1前14
炭素鋼の焼入れの目的と得られる組織、焼入れによる機械的性質の変化を説明できる。1前14
焼入れた炭素鋼の焼戻しの目的とその過程に関する知識を活用し、焼入れ焼き戻しによる機械的性質の変化を説明できる。1前14
合金鋼の状態図の読み方を利用して炭化物の種類や析出挙動を説明できる。1前14
合金鋼のT.T.T.図、C.C.T.図の読み方が理解でき、目的に応じた適切な熱処理法を説明できる。1前14
合金鋼の添加元素と機械的性質に関する知識を利用して、合金鋼の用途を選択できる。1前14
状態図を用いて、鋳鉄の性質および組織について説明できる。2前14
純銅の強度的特徴、物理的、化学的性質について説明できる。1前6
黄銅や青銅について、その成分および特徴を理解し、適切な合金を応用できる。1前6
アルミニウムの強度的特徴、物理的・化学的性質について説明できる。1前6,前15
鋳造用・展伸用アルミニウムについて、その成分や熱処理による組織学的変化の観点から適切な合金を応用できる。1前6,前15
チタンの強度的特徴、物理的・化学的性質について説明できる。1前6
実用チタン合金の成分および特徴を理解し応用できる。1前6
無機材料金属結合の形成について理解できる。1前6
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比などの基本的な計算ができる。1前1
材料組織物質系の平衡状態について、安定状態、準安定状態、不安定状態を説明できる。3前4
ギブスの相律から自由度を求めて系の自由度を説明できる。3前4
熱分析の原理について説明できる。3前5
純金属の凝固過程での過冷却状態、核生成、結晶粒成長の各段階について説明できる。3前6
2元系平衡状態図上で、てこの原理を用いて、各相の割合を計算できる。3前7,前9,前11,前12,前13
相分離型の状態図を、自由エネルギー曲線と関連させて説明できる。2前6,前8
全率固溶体型の状態図を、自由エネルギー曲線と関連させて説明できる。2前7,前8,前9
共晶型反応の状態図を用いて、一般的な共晶組織の形成過程について説明できる。3前10,前11
包晶型反応の状態図を用いて、一般的な包晶組織の形成過程について説明できる。3前12
偏晶型の反応と状態図を説明できる。3前13
中間相生成型の反応と状態図を説明できる。3前13
固溶体の自由エネルギー曲線から求められる合金の安定状態について理解できる。1前6
自由エネルギー曲線と状態図の関係を系統的にまとめ、説明することができる。1前6
自由エネルギーの変化を利用して、相変態について説明できる。2前8
凝固過程での状態変化や特徴を説明できる。3前6
析出過程での状態変化や特徴を説明できる。3前14,前15
共析変態で生じる組織を描き、相変態過程を説明できる。3前14
マルテンサイト変態について結晶学的観点からの相変態の特徴を説明できる。1前14

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80000020100
基礎的能力4000002060
専門的能力400000040
分野横断的能力0000000