金属物理学Ⅱ

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 金属物理学Ⅱ
科目番号 0416 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 材料工学科(2016年度以前入学生) 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:「図でよくわかる機械材料学」渡辺義見、三浦博己、三浦誠司、渡邊千尋、コロナ社。およびその他プリント。参考書:「金属材料概論」小原嗣郎、朝倉書店「初級金属学」北田正弘、アグネ承風社「金属物理学序論」幸田成康
担当教員 川上 雄士

到達目標

1.金属の結晶構造と材料特性の関係を理解し説明できる。
2.塑性変形と転位の関係を理解し説明できる。
3.金属の強化機構(固溶、微細粒、加工、析出)を理解し説明できる。
4.Fickの法則を理解し、拡散係数の物理的意味について説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1金属の結晶構造と材料特性の関係を理解し説明できる。金属の結晶構造と材料特性の関係を理解できる。金属の結晶構造と材料特性の関係を理解できない
評価項目2金属の強化機構(固溶、微細粒、加工、析出)を理解し説明できる金属の強化機構(固溶、微細粒、加工、析出)を理解できる金属の強化機構(固溶、微細粒、加工、析出)を理解できない
評価項目3Fickの法則を理解し、拡散係数の物理的意味について説明できる。Fickの法則を理解し、拡散係数の物理的意味について理解できる。Fickの法則を理解し、拡散係数の物理的意味について理解できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
材料としての金属及び合金は、それらを構成する元素の原子の集合体であり、これらのミクロの原子の振舞いと集合体として外に現れるマクロな性質との関連を明確にすれば、金属材料の性質やその変化について正確に理解することができる。
 金属材料の機械的性質をミクロレベルから理解し、現実社会での工業的技術開発に活かすことができるようになることが本科目の目的である。
授業の進め方・方法:
教科書およびプリントを用いて講義を行う。3年で学習した金属物理学Ⅰをさらに深く学習すると共に、今までに学んだ材料組織学など、他科目の学習結果を組み合わせて金属の特性を理解する。実用金属材料に学習内容をどのように適用するか、応用力として理解することが重要。  関連科目:金属物理学Ⅰ、材料組織学、金属材料学Ⅰ
注意点:
 
定期試験(中間試験40%+期末試験40%)80%、小テスト・課題等20%として評価する。
到達目標に記載した内容を主な評価基準とする試験を実施し、60点以上を合格とする。
必要に応じて再試験を実施するが、評価は60点とする。
        
      

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 金属の結晶構造、立方晶のミラー指数 正方晶のミラー指数の説明ができる
2週 六方晶のミラー指数 六方晶のミラー指数の説明ができる
3週 格子欠陥 格子欠陥の種類について説明ができる
4週 拡散、Fickの第一、第二法則 Fickの法則について説明ができる。
5週 相互拡散とカーケンドール効果 拡散の問題を解ける。
6週 熱力学と相変化 相変化と熱力学の関係を説明できる
7週 自由エネルギー・組成図 自由エネルギー組成図を説明できる
8週 すべり変形・双晶変形 塑性変形の機構を説明できる
2ndQ
9週 転位における原子配列 転位の種類と特長について説明できる
10週 転位密度、バーガーズベクトル 転位密度、バーガースベクトルの説明ができる
11週 転位に働く力 転位を動かすために必要な応力を計算できる
12週 加工硬化と回復・再結晶 回復再結晶の説明ができる
加工硬化の説明ができる
13週 結晶粒微細化による強化 ホールペッチの関係を説明できる
14週 固溶強化 固溶強化の説明ができる
15週 析出強化 析出強化の説明ができる
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学材料系分野材料物性金属の一般的な性質について説明できる。3前1
原子の結合の種類および結合力や物質の例など特徴について説明できる。3前1,前12
代表的な結晶構造の原子配置について説明でき、充填率の計算ができる。3前1
結晶構造の特徴の観点から、純金属、合金や化合物の性質を説明できる。3前1
陽子・中性子・電子からなる原子の構造について説明できる。1前1
ボーアの水素原子模型を用いて、エネルギー準位を説明できる。1前1
水素原子中の電子のエネルギー状態が離散的な値を取ることを説明できる。1前1
化学結合の種類および結合力や物質の例などを説明できる。1前1
結晶系の種類、14種のブラベー格子について説明できる。3前1
ミラー指数を用いて格子方位と格子面を記述できる。3前1,前2
14種のブラベー格子について説明でき、描くことができる。3前1,前2
代表的な結晶構造の原子配置を描き、充填率の計算ができる。3前2
X線回折法を用いて結晶構造の解析に応用することができる。1前2
無機材料金属結合の形成について理解できる。3前3
複合材料複合材料の発展や分類について説明できる。1
金属基複合材料の分類や特徴を説明できる。2
複合材料の機械的強度や複合則について説明できる。1
強さの複合則、比強度、比剛性の観点から、複合化するメリットを説明できる。2
直交異方性の複合材料の弾性定数について理解できる。2
強化材を分類でき、強化機構について説明できる。1前12
ガラス繊維、炭素繊維の製造法を説明できる。1前12
材料組織点欠陥である空孔、格子間原子、置換原子などを区別して説明できる。3前3
線欠陥である刃状転位とらせん転位を理解し、変形機構と関連して説明できる。3前9
面欠陥である積層欠陥について説明できる。3前9
弾性変形の変形様式の特徴、フックの法則について説明できる。3前8
塑性変形におけるすべり変形と双晶変形の特徴について説明できる。3前8,前12,前13,前14,前15
刃状転位とらせん転位ならびに塑性変形における転位の働きを説明できる。3前8,前12,前13,前14,前15
降伏現象ならびに応力-歪み曲線から降伏点を求めることができる。3前10
加工硬化、固溶硬化、析出硬化、分散硬化の原理を説明できる。3前10,前13,前14,前15
格子間原子型および原子空孔型の拡散機構を説明できる。3前4,前6
拡散第1法則および拡散第2法則の基本式を導出できる。3前4,前7
拡散係数の物理的意味を説明できる。3前4
相互拡散係数の意味を理解し、固有拡散係数との違いを説明できる。3前5
カーケンドール効果を説明できる。3前5
活性化エネルギーの物理的意味を理解し、拡散係数と温度の関係を説明できる。3前5
回復機構および回復に伴う諸特性の変化を説明できる。3前12
1次再結晶過程ならびに再結晶温度に影響を与える因子を説明できる。3前12
硬さ、電気抵抗、熱量等の変化から再結晶温度を求めることができる。2前12
再結晶粒の核生成機構および優先核生成場所を説明できる。2前12
再結晶粒の成長機構を説明できる。2前12
力学荷重と応力、変形とひずみの関係について理解できる。2前12
応力-ひずみ曲線について説明できる。2前12
フックの法則を用いて、縦弾性係数(ヤング率)、応力およびひずみを計算できる。2前12

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80000020100
基礎的能力4000001050
専門的能力3000001040
分野横断的能力100000010