概要:
材料としての金属及び合金は、それらを構成する元素の原子の集合体であり、これらのミクロの原子の振舞いと集合体として外に現れるマクロな性質との関連を明確にすれば、金属材料の性質やその変化について正確に理解することができる。
金属材料の機械的性質をミクロレベルから理解し、現実社会での工業的技術開発に活かすことができるようになることが本科目の目的である。
授業の進め方・方法:
教科書およびプリントを用いて講義を行う。3年で学習した金属物理学Ⅰをさらに深く学習すると共に、今までに学んだ材料組織学など、他科目の学習結果を組み合わせて金属の特性を理解する。実用金属材料に学習内容をどのように適用するか、応用力として理解することが重要。 関連科目:金属物理学Ⅰ、材料組織学、金属材料学Ⅰ
注意点:
定期試験(中間試験40%+期末試験40%)80%、小テスト・課題等20%として評価する。
到達目標に記載した内容を主な評価基準とする試験を実施し、60点以上を合格とする。
必要に応じて再試験を実施するが、評価は60点とする。
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 材料系分野 | 材料物性 | 金属の一般的な性質について説明できる。 | 3 | 前1 |
原子の結合の種類および結合力や物質の例など特徴について説明できる。 | 3 | 前1,前12 |
代表的な結晶構造の原子配置について説明でき、充填率の計算ができる。 | 3 | 前1 |
結晶構造の特徴の観点から、純金属、合金や化合物の性質を説明できる。 | 3 | 前1 |
陽子・中性子・電子からなる原子の構造について説明できる。 | 1 | 前1 |
ボーアの水素原子模型を用いて、エネルギー準位を説明できる。 | 1 | 前1 |
水素原子中の電子のエネルギー状態が離散的な値を取ることを説明できる。 | 1 | 前1 |
化学結合の種類および結合力や物質の例などを説明できる。 | 1 | 前1 |
結晶系の種類、14種のブラベー格子について説明できる。 | 3 | 前1 |
ミラー指数を用いて格子方位と格子面を記述できる。 | 3 | 前1,前2 |
14種のブラベー格子について説明でき、描くことができる。 | 3 | 前1,前2 |
代表的な結晶構造の原子配置を描き、充填率の計算ができる。 | 3 | 前2 |
X線回折法を用いて結晶構造の解析に応用することができる。 | 1 | 前2 |
無機材料 | 金属結合の形成について理解できる。 | 3 | 前3 |
複合材料 | 複合材料の発展や分類について説明できる。 | 1 | |
金属基複合材料の分類や特徴を説明できる。 | 2 | |
複合材料の機械的強度や複合則について説明できる。 | 1 | |
強さの複合則、比強度、比剛性の観点から、複合化するメリットを説明できる。 | 2 | |
直交異方性の複合材料の弾性定数について理解できる。 | 2 | |
強化材を分類でき、強化機構について説明できる。 | 1 | 前12 |
ガラス繊維、炭素繊維の製造法を説明できる。 | 1 | 前12 |
材料組織 | 点欠陥である空孔、格子間原子、置換原子などを区別して説明できる。 | 3 | 前3 |
線欠陥である刃状転位とらせん転位を理解し、変形機構と関連して説明できる。 | 3 | 前9 |
面欠陥である積層欠陥について説明できる。 | 3 | 前9 |
弾性変形の変形様式の特徴、フックの法則について説明できる。 | 3 | 前8 |
塑性変形におけるすべり変形と双晶変形の特徴について説明できる。 | 3 | 前8,前12,前13,前14,前15 |
刃状転位とらせん転位ならびに塑性変形における転位の働きを説明できる。 | 3 | 前8,前12,前13,前14,前15 |
降伏現象ならびに応力-歪み曲線から降伏点を求めることができる。 | 3 | 前10 |
加工硬化、固溶硬化、析出硬化、分散硬化の原理を説明できる。 | 3 | 前10,前13,前14,前15 |
格子間原子型および原子空孔型の拡散機構を説明できる。 | 3 | 前4,前6 |
拡散第1法則および拡散第2法則の基本式を導出できる。 | 3 | 前4,前7 |
拡散係数の物理的意味を説明できる。 | 3 | 前4 |
相互拡散係数の意味を理解し、固有拡散係数との違いを説明できる。 | 3 | 前5 |
カーケンドール効果を説明できる。 | 3 | 前5 |
活性化エネルギーの物理的意味を理解し、拡散係数と温度の関係を説明できる。 | 3 | 前5 |
回復機構および回復に伴う諸特性の変化を説明できる。 | 3 | 前12 |
1次再結晶過程ならびに再結晶温度に影響を与える因子を説明できる。 | 3 | 前12 |
硬さ、電気抵抗、熱量等の変化から再結晶温度を求めることができる。 | 2 | 前12 |
再結晶粒の核生成機構および優先核生成場所を説明できる。 | 2 | 前12 |
再結晶粒の成長機構を説明できる。 | 2 | 前12 |
力学 | 荷重と応力、変形とひずみの関係について理解できる。 | 2 | 前12 |
応力-ひずみ曲線について説明できる。 | 2 | 前12 |
フックの法則を用いて、縦弾性係数(ヤング率)、応力およびひずみを計算できる。 | 2 | 前12 |