材料物性学Ⅰ

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 材料物性学Ⅰ
科目番号 0417 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 材料工学科(2016年度以前入学生) 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 参考書 : 物性科学 坂田 著 (培風館)。配布プリント
担当教員 奥山 哲也

到達目標

1.並進ベクトルを使って実格子と逆格子の関係について説明できる。
2.X線回折を使って結晶構造解析ができる。
3.エネルギー準位とスペクトル特性について説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1並進ベクトルを使って実格子と逆格子の関係について説明ならびに計算ができる。並進ベクトルを使って実格子と逆格子の関係について説明ができる。並進ベクトルを使って実格子と逆格子の関係について説明ができない。
評価項目2X線回折を使って結晶構造解析ならびに説明ができる。X線回折を使って結晶構造解析ができる。X線回折を使って結晶構造解析ができない。
評価項目3エネルギー準位とスペクトル特性について計算ならびに説明ができる。エネルギー準位とスペクトル特性について説明ができる。エネルギー準位とスペクトル特性について説明ができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
現代のエレクトロニクス産業の基盤をなす機能性材料の電気的・光学的特性を理解するためには、マクロ的組織の特徴を学習するだけでなく、原子・分子配列や電子・フォノン等の結晶中における挙動についての専門的知識を養わなければならない。本講義では、原子構造ならびに結晶格子を基礎とした固体物性について学習する。
授業の進め方・方法:
プリントを適宜配布しながら講義を実施する。
途中レポート提出を課す場合がある。他の学生に迷惑がかかるような学習態度が見られる場合は途中退席を命じる。講義において不明な点は授業の妨げにならない程度でその都度質問に応じる。
講義内容は物理を基本とするため、受講以前に物理の復習を推奨する。この科目は、5年通年科目の材料物性学Ⅱへ継続される。課題遂行状況に応じて中間試験実施の有無を決定する。
関連科目 材料物性学Ⅱ オフィスアワー:電子メール等によって事前に日時を打ち合わせること。
注意点:
到達目標に記載した項目の基礎的な内容と理解度とその活用度を評価基準とする。
成績評価は中間試験50%、期末試験50%とし、中間試験を実施しなかった場合は期末試験100%とし、60点以上を合格とする。
不合格者については再試験を実施する。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 結晶学の基礎 代表的な結晶構造の原子配置について説明でき、充填率の計算や結晶系の種類,ミラー指数について説明できる。
2週 X線(放射線)の安全教育 X線回折原理を理解し、実験を行う際の安全な取扱いについて理解できる。
3週 X線回折の基礎(Bragg条件) 格子面とミラー指数の導出方法について説明することができ、格子方位と格子面を記述できる。
4週 結晶構造因子と消滅則 X線回折の原理を理解し、結晶構造の解析に応用することができる。
5週 原子構造 パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。
6週 エネルギー準位と電子配置 水素原子中の電子のエネルギー状態が離散的な値を取ることを説明できる。
7週 確認試験(中間試験) 中間試験にて到達能力を確認することができる。
8週 電磁放射と軌道間遷移 量子条件から電子のエネルギー状態および軌道半径を導出し、説明できる。
4thQ
9週 イオン化エネルギー イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。
10週 遮蔽効果 遮蔽効果について説明できる。
11週 量子力学の基礎 殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できる。電子が持つ粒子性と波動性について、現象を例に挙げ、式を用いて説明できる。主量子数、方位量子数、磁気量子数について説明できる。
12週 物質波 電子が持つ粒子性と波動性について、現象を例に挙げ、式を用いて説明できる。
13週 Laue条件と逆格子 Laue条件と逆格子について説明ができる。
14週 ブリルアンゾーン ブリルアンゾーンについて説明ができる。
15週 波数空間 エネルギーの波数空間表示について説明ができる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学材料系分野材料物性原子の結合の種類および結合力や物質の例など特徴について説明できる。3後9
代表的な結晶構造の原子配置について説明でき、充填率の計算ができる。3
結晶構造の特徴の観点から、純金属、合金や化合物の性質を説明できる。3後9
陽子・中性子・電子からなる原子の構造について説明できる。3後9
ボーアの水素原子模型を用いて、エネルギー準位を説明できる。3後11
水素原子中の電子のエネルギー状態が離散的な値を取ることを説明できる。3後11
量子条件から電子のエネルギー状態および軌道半径を導出し、説明できる。3後7
4つの量子数を用いて量子状態を記述して、電子殻や占有する電子数などを説明できる。3後9
周期表の元素配列に対して、電子配置や各族および周期毎の物性の特徴を関連付けられる。3後9
化学結合の種類および結合力や物質の例などを説明できる。3
結晶系の種類、14種のブラベー格子について説明できる。3
ミラー指数を用いて格子方位と格子面を記述できる。3後2
代表的な結晶構造の原子配置を描き、充填率の計算ができる。3後3
X線回折法を用いて結晶構造の解析に応用することができる。3後2
電子が持つ粒子性と波動性について、現象を例に挙げ、式を用いて説明できる。3後10
無機材料Bohrの原子模型について説明できる。3
主量子数、方位量子数、磁気量子数について説明できる。3後12
殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できる。3後9
パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。3
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。3
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比などの基本的な計算ができる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力500000050
専門的能力400000040
分野横断的能力100000010