材料工学演習

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 材料工学演習
科目番号 1420 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 材料工学科(2016年度以前入学生) 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 材料工学分野:3年生で使用した教科書「合金状態図読本」、その他のプリントを使用する。物理化学分野:3、4年生で使用中の教科書「化学熱力学(物理化学入門シリーズ)」、演習用のプリントを使用する。
担当教員 馬越 幹男,川上 雄士

到達目標

材料工学分野:基本的な4タイプの合金平衡状態図を理解し説明出来る。代表的な実用合金平衡状態図を理解し説明できる。
物理化学分野:1.熱力学の第一法則を理解し、エネルギー、仕事、熱、反応熱に関する具体的な計算問題を解くことができる。
2.熱力学の第二法則を理解し、エントロピーおよび自由エネルギーに関する具体的な計算問題を解くことができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1基本的な4タイプの合金平衡状態図を説明できる基本的な4タイプの合金平衡状態図を理解できる基本的な4タイプの合金平衡状態図を理解できない
評価項目2代表的な実用合金平衡状態図を説明できる代表的な実用合金平衡状態図を理解できる代表的な実用合金平衡状態図を理解できない
評価項目3熱力学の法則を説明でき、内部エネルギー、エンタルピピー、エントロピーおよび自由エネルギーに関する具体的な計算問題を解くことができる熱力学の法則を理解でき、簡単な計算問題を解くことができる。熱力学の法則を理解できない
評価項目4逆反応が無視できる化学反応速度式を導出でき、計算問題を解くことができる。逆反応が無視できる化学反応速度式を理解でき、簡単な計算問題を解くことができる。逆反応が無視できる化学反応速度式を理解できない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
材料工学分野と物理科学分野の理解をさらに深めるため講義と演習を行う。 
 材料工学分野:3年生の前期に学んだ材料組織学の演習を行う。特に実用合金状態図の理解を深めて応用力を身につける。金属物理学との関連性を理解する。
 物理化学分野:3年及び4年途中までに学んだ物理化学に関する基礎知識を身につけるため、主として計算問題の演習を行い、専門科目に通じる基礎を養成する。
授業の進め方・方法:
この科目は学修単位であり、通常の科目と異なり自学自習が求められることに注意すること。
材料工学分野:各自演習問題を解き授業で解説する。基礎問題及び応用問題を解くことによって基礎力をしっかりと身に付け更に応用力を育てる。関連科目:材材料組織学、金属材料学、金属物理学物理化学分野:各自演習問題を解き,授業で解説する。特に基礎的な関数による数値の正確な計算と物理化学的な現象に関する論理的な思考を養うことが大事である。関連科目:物理化学Ⅰ・Ⅱ、材料化学Ⅰ
注意点:
材料工学分野:中間試験80%、小テスト・課題20%として100点満点
物理化学分野:期末試験80%,課題レポート20%として、100点満点
両分野ともにそれぞれ60点以上を合格とする。
必要に応じて、各分野の再試験を原則1回のみ実施する。
到達目標に記載した項目の内容を主な評価基準とする。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 凝固核の発生と成長 凝固核の発生と成長について理解できる
2週 基本型状態図の理解―1(全率固溶型、共晶反応型) 全率固溶型、共晶反応型の演習問題を解くことができる
3週 基本型状態図の理解-2(包晶反応型) 包晶反応型の演習問題を解くことができる
4週 基本型状態図の理解-3(偏晶反応型) 偏晶反応型の演習問題を解くことができる
5週 自由エネルギーと状態図の関係 自由エネルギーと状態図の関係を理解できる
6週 凝固過程における溶質の分配とミクロ組織の形成 凝固過程における溶質の分配とミクロ組織の形成について理解できる
7週 実用合金状態図の理解-1(Fe-C系) Fe-C系状態図を理解できる
8週 実用合金状態図の理解-2(Al-Cu系,溶体化、析出) Al-Cu系状態図を理解できる
2ndQ
9週 熱力学の第一法則と内部エネルギー、仕事、熱および反応熱 熱力学の第一法則を理解し、内部エネルギー、仕事、熱および反応熱を説明できる
10週 内部エネルギー、仕事、熱および反応熱 内部エネルギー、仕事、熱および反応熱の演習問題を解くことができる
11週 熱力学の第二法則とエントロピー 熱力学の第二法則と理解し、エントロピーの演習問題を解くことができる
12週 純物質の状態変化に伴う自由エネルギー変化 純物質の状態変化に伴う自由エネルギー変化を理解できる
13週 化学反応の自由エネルギー変化と酸化物の標準自由エネルギー変化-温度図 化学反応の自由エネルギー変化と酸化物の標準自由エネルギー変化-温度図を理解できる
14週 化学反応速度および化学反応速度に対するアレニウスの式 化学反応速度および化学反応速度に対するアレニウスの式の演習問題を解くことができる
15週 化学反応速度に関する演習 化学反応速度に関する演習問題を解くことができる
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学材料系分野材料物性金属の一般的な性質について説明できる。2前1,前9,前10,前11,前12
原子の結合の種類および結合力や物質の例など特徴について説明できる。2前1,前9,前10,前11,前12
代表的な結晶構造の原子配置について説明でき、充填率の計算ができる。2前1,前9,前10,前11,前12
結晶構造の特徴の観点から、純金属、合金や化合物の性質を説明できる。2前1,前9,前10,前11,前12
結晶系の種類、14種のブラベー格子について説明できる。2前1
ミラー指数を用いて格子方位と格子面を記述できる。2前1
14種のブラベー格子について説明でき、描くことができる。2前1
代表的な結晶構造の原子配置を描き、充填率の計算ができる。2前1
X線回折法を用いて結晶構造の解析に応用することができる。1前1
金属材料炭素鋼の状態図を用いて標準組織および機械的性質を説明できる。3前2,前3,前5,前7
合金鋼の状態図の読み方を利用して炭化物の種類や析出挙動を説明できる。3前2,前3,前5,前7
状態図を用いて、鋳鉄の性質および組織について説明できる。3前2,前3,前5,前7
材料組織物質系の平衡状態について、安定状態、準安定状態、不安定状態を説明できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6
ギブスの相律から自由度を求めて系の自由度を説明できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6
熱分析の原理について説明できる。3前1,前5,前6
純金属の凝固過程での過冷却状態、核生成、結晶粒成長の各段階について説明できる。3前1,前5,前6
2元系平衡状態図上で、てこの原理を用いて、各相の割合を計算できる。3前2,前3,前4,前8
相分離型の状態図を、自由エネルギー曲線と関連させて説明できる。3前2,前3,前4,前5,前8
全率固溶体型の状態図を、自由エネルギー曲線と関連させて説明できる。3前2,前5,前8
共晶型反応の状態図を用いて、一般的な共晶組織の形成過程について説明できる。3前2,前8
包晶型反応の状態図を用いて、一般的な包晶組織の形成過程について説明できる。3前3,前8
偏晶型の反応と状態図を説明できる。3前4,前8
中間相生成型の反応と状態図を説明できる。3前4,前8
固溶体の自由エネルギー曲線から求められる合金の安定状態について理解できる。3前2,前3,前4,前5,前6,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
自由エネルギー曲線と状態図の関係を系統的にまとめ、説明することができる。3前2,前3,前4,前5,前6,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
カーケンドール効果を説明できる。3前5,前6
自由エネルギーの変化を利用して、相変態について説明できる。3前2,前3,前4,前5,前6,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
凝固過程での状態変化や特徴を説明できる。3前1,前2,前6,前13
析出過程での状態変化や特徴を説明できる。3前3,前4,前6
共析変態で生じる組織を描き、相変態過程を説明できる。3前2,前6
物理化学仕事、熱、エネルギーの概念について説明できる。3前3,前4,前5,前6,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80000200100
基礎的能力4000010050
専門的能力4000010050
分野横断的能力0000000