基礎材料化学

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 基礎材料化学
科目番号 2M14 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 材料システム工学科(2017年度以降入学生、但し、令和4年度は材料工学科を含む) 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:マクマリー 一般化学(上)(東京化学同人)、マクマリー 一般化学(下)(東京化学同人)/参考書:視覚でとらえるフォトサイエンス化学図録(数研出版)
担当教員 岩田 憲幸

到達目標

1. 原子の構造と安定性について説明できる。
2. 化学量論を説明でき、物質収支を計算できる。
3. 物質の三態と状態変化について説明できる。
4. 化学結合の種類と特徴を説明できる。
5. 化学反応速度について説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1原子の構造と安定性について詳細に説明できる。原子の構造と安定性について説明できる。原子の構造と安定性について説明できない。
評価項目2化学反応と化学量論を説明でき、物質収支を計算できる。化学量論を説明でき、物質収支を計算できる。化学量論を説明できず、物質収支を計算できない。
評価項目3物質の三態と状態変化について詳細に説明できる。物質の三態の特徴と化学結合について説明できる。物質の三態の特徴と化学結合について説明できない。
評価項目4化学結合の種類と特徴を具体的に説明できる。化学結合の種類と特徴を説明できる。化学結合の種類と特徴を説明できない。
評価項目5化学反応速度について詳細に説明できる。化学反応速度について説明できる。化学反応速度について説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
材料化学は、周期表に記載されている元素すべてを対象としており、これらの元素を用いて地球環境に配慮しながら、我々の生活に役立つ工業製品を作り出すための重要な担い手となっている学問である。本科目では、基礎化学の発展的内容について学習することを通して、環境への負荷が少なく、持続的な発展が可能となる社会の構築に貢献し、付加価値の高い工業製品を製造するために必要不可欠な「材料化学」の基礎的な知識を習得することを目標とする。
授業の進め方・方法:
教科書を用いた講義を行うが、演習問題を適宜実施し、それに関する解説をしながら授業を進める。
必要に応じて、補助教材としてeLearningを用いる場合がある。
1, 2年生で学んだ化学Ⅰ、化学Ⅱとも深く関連しているため、当該授業科目で理解が不十分な内容を再度復習しておくことが望ましい。
本科目は、3年通年「材料化学Ⅰ」の授業科目に継続される。
注意点:
毎回、授業終了時に次回の授業内容を知らせるので、教科書の対応する範囲を事前に予習しておくこと。
4回の定期試験(中間試験:50%、期末試験:50%)を100%として総合評価し、100点満点で60点以上を合格とする。
再試験は、授業内容のすべてを試験範囲として年度末に実施する。
到達目標に記載した項目の基礎的な内容の理解度を主な評価基準とする。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 物質と測定 SI基本単位、誘導単位および有効数字の取り扱い方を理解する。
2週 原子の構造と安定性Ⅰ:原子の構造 原子の構造と原子質量単位について理解する。
3週 原子の構造と安定性Ⅱ:核化学 放射線および放射性同位体について理解する。
4週 化学反応における質量の関係Ⅰ:化学反応の収率 化学量論および化学反応の収率の計算方法について理解する。
5週 化学反応における質量の関係Ⅱ:パーセント組成と実験式 パーセント組成と実験式の計算方法について理解する。
6週 前期1~5週学習内容の復習 前期1~5週で学習した内容の理解度を高める。
7週 前期中間試験 理解が不十分な内容を復習し、理解度の向上を図る。
8週 水溶液内の反応Ⅰ:沈殿反応と溶解度の判断基準 沈殿反応と溶解度の判断基準について理解する。
2ndQ
9週 水溶液内の反応Ⅱ:酸、塩基および中和反応 酸、塩基および中和反応について理解する。
10週 水溶液内の反応Ⅲ:酸化還元反応 酸化還元反応について理解する。
11週 化学平衡Ⅰ:平衡状態と不均一平衡 平衡状態と不均一平衡について理解する。
12週 化学平衡Ⅱ:平衡混合物の組成の変化 平衡混合物の組成の変化とルシャトリエの原理について理解する。
13週 水溶液内平衡Ⅰ:酸と塩基の概念 酸と塩基の概念と弱酸の溶液中の平衡について理解する。
14週 水溶液内平衡Ⅱ:酸と塩基の性質 酸と塩基の性質と弱塩基の溶液中の平衡について理解する。
15週 前期8~14週学習内容の復習 前期8~14週で学習した内容の理解度を高める。
16週
後期
3rdQ
1週 気体の性質と振舞いⅠ:気体および理想気体の法則 ボイルの法則、シャルルの法則および理想気体の法則を理解する。
2週 気体の性質と振舞いⅡ:気体の化学量論関係 気体の化学量論関係とドルトンの分圧の法則について理解する。
3週 溶液の平衡とその応用Ⅰ:中和反応と滴定曲線 中和反応と滴定曲線について理解する。
4週 溶液の平衡とその応用Ⅱ:溶解平衡と溶解度支配因子 溶解平衡と溶解度支配因子について理解する。
5週 液体、固体と相変化Ⅰ:液体の性質と相変化 液体の性質と相変化について理解する。
6週 後期1~5週学習内容の復習 後期1~5週で学習した内容の理解度を高める。
7週 後期中間試験 理解が不十分な内容を復習し、理解度の向上を図る。
8週 液体、固体と相変化Ⅱ:固体の種類 結晶と非晶質および結晶の種類と特徴について理解する。
4thQ
9週 液体、固体と相変化Ⅲ:結晶の単位格子と空間充填モデル 結晶の単位格子と空間充填モデルについて理解する。
10週 液体、固体と相変化Ⅳ:イオン結晶の構造 イオン結晶の構造について理解する。
11週 液体、固体と相変化Ⅴ:共有結合結晶の構造 共有結合結晶の構造について理解する。
12週 溶液とその性質Ⅰ:エネルギー変化と溶解過程 溶液のエネルギー変化と溶解過程について理解する。
13週 溶液とその性質Ⅱ:濃度の単位 溶液のモル濃度、モル分率、質量%、質量モル濃度について理解する。
14週 溶液とその性質Ⅲ:溶解度に関係する因子 溶解度の温度変化および圧力変化について理解する。
15週 後期8~14週学習内容の復習 後期8~14週で学習した内容の理解度を高める。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学(一般)化学(一般)物質が原子からできていることを説明できる。4前1,前6,前7,後16
単体と化合物がどのようなものか具体例を挙げて説明できる。4前1,前6,前7
同素体がどのようなものか具体例を挙げて説明できる。4前1,前6,前7
純物質と混合物の区別が説明できる。4前1,前6,前7
混合物の分離法について理解でき、分離操作を行う場合、適切な分離法を選択できる。4前1,前6,前7
物質を構成する分子・原子が常に運動していることが説明できる。4前1,前2,前6,前7
水の状態変化が説明できる。4前1,前6,前7,後5,後6,後7
物質の三態とその状態変化を説明できる。4前1,前6,前7
ボイルの法則、シャルルの法則、ボイル-シャルルの法則を説明でき、必要な計算ができる。4後1,後2,後6,後7
気体の状態方程式を説明でき、気体の状態方程式を使った計算ができる。4後1,後2,後6,後7
原子の構造(原子核・陽子・中性子・電子)や原子番号、質量数を説明できる。4前2,前3,前6,前7
同位体について説明できる。4前2,前3,前6,前7
放射性同位体とその代表的な用途について説明できる。4前3,前6,前7
原子のイオン化について説明できる。4
代表的なイオンを化学式で表すことができる。4
イオン式とイオンの名称を説明できる。4前7,後8,後10,後15
イオン結合について説明できる。4前7,後8,後10,後15
イオン結合性物質の性質を説明できる。4後8,後10,後15
イオン性結晶がどのようなものか説明できる。4後8,後10,後15
共有結合について説明できる。4後8,後11,後15
構造式や電子式により分子を書き表すことができる。4後8,後11,後15
自由電子と金属結合がどのようなものか説明できる。3後8,後15
金属の性質を説明できる。3後8,後15
原子の相対質量が説明できる。4前3,前6,前7
天然に存在する原子が同位体の混合物であり、その相対質量の平均値として原子量を用いることを説明できる。4前3,前6,前7
アボガドロ定数を理解し、物質量(mol)を用い物質の量を表すことができる。4前3,前6,前7
分子量・式量がどのような意味をもつか説明できる。4前3,前6,前7
気体の体積と物質量の関係を説明できる。4前3,前6,前7
化学反応を反応物、生成物、係数を理解して組み立てることができる。4前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前15
化学反応を用いて化学量論的な計算ができる。4前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前15
電離について説明でき、電解質と非電解質の区別ができる。4前8,前9,前13,前14,前15,後3,後4,後6,後7
質量パーセント濃度の説明ができ、質量パーセント濃度の計算ができる。4前4,前5,前6,前7,前8,前9,前11,前12,前15,後3,後4,後5,後6,後7,後12,後13,後14,後15
モル濃度の説明ができ、モル濃度の計算ができる。4前4,前5,前6,前7,前8,前9,前11,前12,前15,後3,後4,後5,後6,後7,後12,後13,後14,後15
酸・塩基の定義(ブレンステッドまで)を説明できる。4前9,前13,前14,前15
酸・塩基の化学式から酸・塩基の価数をつけることができる。4前9,前13,前14,前15
電離度から酸・塩基の強弱を説明できる。4前9,前13,前14,前15
pHを説明でき、pHから水素イオン濃度を計算できる。また、水素イオン濃度をpHに変換できる。4前13,前14,前15,後4,後6,後7
中和反応がどのような反応であるか説明できる。4前9,後3,後4,後6,後7
中和滴定の計算ができる。4後3,後4,後6,後7
酸化還元反応について説明できる。4前10,前15
イオン化傾向について説明できる。4
金属の反応性についてイオン化傾向に基づき説明できる。4
専門的能力分野別の専門工学材料系分野材料物性原子の結合の種類および結合力や物質の例など特徴について説明できる。2前8,前9,前10,前11,前12,前15
陽子・中性子・電子からなる原子の構造について説明できる。3前2,前3,前6,前7
ボーアの水素原子模型を用いて、エネルギー準位を説明できる。2前4,前6,前7
4つの量子数を用いて量子状態を記述して、電子殻や占有する電子数などを説明できる。3前5,前6,前7
周期表の元素配列に対して、電子配置や各族および周期毎の物性の特徴を関連付けられる。2前5,前6,前7
電子が持つ粒子性と波動性について、現象を例に挙げ、式を用いて説明できる。3前5,前6,前7
無機材料原子の構成粒子を理解し、原子番号、質量数、同位体について説明できる。4前1,前2,前3,前6,前7
価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。4前8,前9,前15
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質について説明できる。4前8,前9,前12,前15
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。4前8,前9,前15
原子価結合法により、共有結合を説明できる。4前12,前15,後8,後11,後15
イオン結合の形成と特徴について理解できる。4後8,後10,後15
金属結合の形成と特徴について理解できる。4後8,後15
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比などの基本的な計算ができる。4後9,後15
酸化還元の知識を用いて酸化還元の反応式から酸化剤、還元剤の濃度等の計算ができる。4前10,前15,後3,後6,後7
イオン化傾向と電池の電極および代表的な電池について説明できる。3前10,前15,後3,後6,後7
物理化学熱力学第一法則と内部エネルギーの概念を説明できる。3後4,後6,後7
内部エネルギー、熱、仕事の符号の規則を説明でき、膨張の仕事を計算できる。3後4,後5,後6,後7
エンタルピーの定義およびエンタルピーが状態量であることを説明できる。3後5,後6,後7
標準生成エンタルピーの物理的意味を理解し、反応エンタルピーを計算できる。3後8,後15
エントロピーの定義を理解し、不可逆過程におけるエントロピー生成について説明できる。1後9,後15
標準モルギブズエネルギーの定義に基づいて標準反応ギブズエネルギーを計算できる。2後9,後15

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力400000040
専門的能力300000030
分野横断的能力300000030