材料化学1

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 材料化学1
科目番号 3M12 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 材料システム工学科(2017年度以降入学生、但し、令和4年度は材料工学科を含む) 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:J.Mcmurry,R.C.Fay著(萩野博,山本学,大野公一訳)マクマリー一般化学(上・下、演習編),東京化学同人
担当教員 清長 友和

到達目標

1. 化学平衡ならびに水溶液内の平衡について説明できる。
2. 有機化合物を命名でき、かつその性質について説明できる。
3. 原子の電子構造や各化学結合、ならびに配位化合物とその異性体について説明できる。
4. 化学反応速度論について説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1化学平衡ならびに水溶液内の平衡について詳細を説明できる。化学平衡ならびに水溶液内の平衡について説明できる。化学平衡ならびに水溶液内の平衡について説明できない。
評価項目2有機化合物を命名でき、かつその性質について説明することができる。有機化合物を命名できる。有機化合物を命名できない。
評価項目3原子の電子構造や各化学結合、ならびに配位化合物とその異性体についてその詳細を説明できる。原子の電子構造や各化学結合、ならびに配位化合物とその異性体について説明できる。原子の電子構造や各化学結合、ならびに配位化合物とその異性体について説明できない。
評価項目4化学反応速度論について詳細に説明できる。化学反応速度論について説明できる。化学反応速度論について説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
本科目では、一般科目の「化学1」「化学2」、ならびに「基礎材料化学」で学習した内容の理解を深め定着させるとともに、その発展的内容について学習する。今後、付加価値の高い工業製品を製造していく上での基礎となる項目に重きを置いた科目であり、図や数式を用いた適切かつ、明瞭な記述の仕方を学ぶ。
授業の進め方・方法:
教科書ならびに配布資料に沿って講義を行う。
物理化学やセラミックス材料学などの科目とも深く関連しているので、予習復習を十分行うことを強く勧める。また、1、2年生で学んだ化学1、化学2、および基礎材料化学とも深く関連しているので、分からない点がある場合は、必要に応じて再度見直しすることを望む。また実務経験上、製品開発には必ず各種計算を実施する必要があり、授業ではより実践的な応用問題を取り入れるとともに、学生が解くための時間を設け、自分の力でこれを解く練習を行う。
注意点:
(1)点数配分:試験80%(前期中間、前期末試験、後期中間試験ならびに後期末試験)、課題20%
(2)評価基準:60点以上を合格とする
(3)再試験は年度末に一度のみ実施する
(4)到達目標に記載した項目の内容を主な評価基準とする
(5)事前学習として、指定した教科書のページを事前に読んでおくこと

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 化学平衡 各種反応の化学平衡について計算できる。
2週 水溶液内平衡(酸と塩基) 水溶液内平衡(酸と塩基)の計算ができる。
3週 溶液の平衡とその応用 溶液の平衡を利用した各分野における計算を行うことができる。
4週 炭化水素の分類とその化合物の例 炭化水素を分類することができ、その化合物の構造を書くことができる。
5週 官能基による有機化合物の分類とその化合物の例 官能基による有機化合物の分類を行うことができ、その化合物の構造を書くことができる。
6週 有機化合物の命名 その他、様々な有機化合物を命名することができる。
7週 演習問題1 1~6週において学んだ知識を用いて、各種化学平衡や水溶液内平衡の計算や、有機化合物の構造を書くことができ、またそれらの性質について説明することができる。
8週 演習問題2 1~6週において学んだ知識を用いて、各種化学平衡や水溶液内平衡の計算や、有機化合物の構造を書くことができ、またそれらの性質について説明することができる。
2ndQ
9週 原子の周期性と電子構造(1)原子の線スペクトル バルマーの公式を用いて、水素の線スペクトルの波長を計算できる。
10週 原子の周期性と電子構造(2)電磁波のエネルギーの粒子性 光のエネルギーと波長の関係を用いて、各種計算を行うことができる。
11週 原子の周期性と電子構造(3)有効核電荷 有効核電荷を計算することができる。
12週 原子の周期性と電子構造(4)波動関数と量子数 主量子数、方位量子数ならびに磁気量子数について説明できる。
13週 原子の周期性と電子構造(5)軌道のエネルギー準位 リュードベリの公式を用いて、軌道間のエネルギー差を計算することができる。
14週 原子の周期性と電子構造(6)多電子原子の電子配置 スピン磁気量子数、パウリの排他原理ならびにフントの規則を用いて、多電子原子の電子配置を決めることができる。
15週 演習問題3 9~15週において学んだ内容について説明することができ、各種計算等を行うことができる。
16週
後期
3rdQ
1週 イオン結合と主要族元素の化学(1)イオンの電子配置 イオンの電子配置やイオン半径について説明できる。
2週 イオン結合と主要族元素の化学(2)イオン化エネルギーと電子親和力 イオン化エネルギーや電子親和力、イオン化合物の種類等について説明できる。
3週 共有結合と分子構造(1)共有結合と点電子構造 共有結合と点電子構造について説明することができる。
4週 共有結合と分子構造(2)共鳴、形式電荷、分子の形 共鳴ならびに形式電荷について説明でき、原子価結合理論等を用いて分子の形を説明できる。
5週 主要族元素 13族、14族(1)ダイヤモンド、グラファイト、アルミノケイ酸塩 ダイヤモンドとグラファイトの違い、ならびにアルミノケイ酸塩等について説明することができる。
6週 主要族元素 13族、14族(2)アルミノケイ酸塩等のIRスペクトル アルミノケイ酸塩等のIRスペクトルについて説明できる。
7週 演習問題4 1~7週において学んだ内容について説明することができる。
8週 中間試験 点電子構造や共鳴、形式電荷、分子の形について説明することができ、アルミノケイ酸塩等のIRスペクトルについて説明することができる。
4thQ
9週 遷移元素と配位化学:電子配置 遷移元素の電子配置を説明することができ、かつ銅やコバルトをガラスに添加した場合の色変化の原因について説明できる。
10週 遷移元素と配位化学:配位化合物 配位化合物の名称と化学式の関係を説明することができる。
11週 遷移元素と配位化学:異性体 配位化合物の異性体について説明することができる。
12週 化学反応速度論(1)反応速度式 反応速度式について説明できる。
13週 化学反応速度論(2)反応速度式の積分形 反応速度式の積分形について説明できる。
14週 化学反応速度論(3)素反応、全反応、アレニウスの式 素反応を用いて全反応を構築でき、アレニウスの式を用いて活性化エネルギーや各種温度下における反応速度を計算できる。
15週 演習問題5 9~15週において学んだ内容について説明することができる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学(一般)化学(一般)原子の構造(原子核・陽子・中性子・電子)や原子番号、質量数を説明できる。4後1,後7,後8
原子の電子配置について電子殻を用い書き表すことができる。4前15,後1,後7,後8
価電子の働きについて説明できる。4後1,後7,後8
原子のイオン化について説明できる。4後1,後7,後8
代表的なイオンを化学式で表すことができる。4後1,後7,後8
原子番号から価電子の数を見積もることができ、価電子から原子の性質について考えることができる。4後1,後7,後8
元素の性質を周期表(周期と族)と周期律から考えることができる。4後1,後7,後8
イオン式とイオンの名称を説明できる。4後1,後2,後7,後8
イオン結合について説明できる。4後1,後2,後7,後8
イオン結合性物質の性質を説明できる。4後1,後2,後7,後8
イオン性結晶がどのようなものか説明できる。4後1,後2,後7,後8
共有結合について説明できる。4後3,後7,後8
構造式や電子式により分子を書き表すことができる。4後3,後7,後8
分子量・式量がどのような意味をもつか説明できる。4前1,前2,前3
化学反応を反応物、生成物、係数を理解して組み立てることができる。4前1,前7,前8
化学反応を用いて化学量論的な計算ができる。4前1,前7,前8
電離について説明でき、電解質と非電解質の区別ができる。3前2,前3,前7,前8
モル濃度の説明ができ、モル濃度の計算ができる。3前2,前3,前7,前8
酸・塩基の定義(ブレンステッドまで)を説明できる。3前2,前7,前8
酸・塩基の化学式から酸・塩基の価数をつけることができる。3前2,前7,前8
電離度から酸・塩基の強弱を説明できる。3前2,前7,前8
pHを説明でき、pHから水素イオン濃度を計算できる。また、水素イオン濃度をpHに変換できる。3前2,前7,前8
中和反応がどのような反応であるか説明できる。3前2,前7,前8
中和滴定の計算ができる。3前2,前7,前8
イオン化傾向について説明できる。4後1,後7,後8
金属の反応性についてイオン化傾向に基づき説明できる。4後1,後7,後8
専門的能力分野別の専門工学材料系分野有機材料有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。4前4,前7,前8
代表的な官能基を有する化合物を含み、IUPACの命名法に基づき、構造と名前の変換ができる。4前5,前6,前7,前8
σ結合とπ結合について説明できる。4後4,後5,後7,後8
混成軌道を用い物質の形を説明できる。4後4,後5,後7,後8
ルイス構造を書くことができ、それを反応に結びつけることができる。4後4,後7,後8
炭化水素の種類と、それらに関する性質および代表的な反応を説明できる。4前4,前7,前8
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。4後4,後5,後7,後8
構造異性体、幾何異性体、鏡像異性体などについて説明できる。4後11,後15
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。4前5,前7,前8
無機材料パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。4前12,前14,前15
価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。4後1,後7,後8
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質について説明できる。4後5,後6,後7,後8,後9,後15
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。4後2,後7,後8
化学結合の初期理論としてのオクテット則(八隅説)により電子配置をルイス構造で示すことができる。4後3,後7,後8
原子価結合法により、共有結合を説明できる。4後4,後7,後8
イオン結合の形成と特徴について理解できる。4後1,後2,後7,後8

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオ課題合計
総合評価割合80000020100
基礎的能力3500001045
専門的能力350000540
分野横断的能力100000515