物理化学1

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 物理化学1
科目番号 3M13 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 材料システム工学科(2017年度以降入学生、但し、令和4年度は材料工学科を含む) 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書: 基本 化学熱力学 基礎編, 蒲池 幹治(三共出版)/参考書: 入門化学熱力学 改訂版 山口 喬(培風館)
担当教員 清長 友和

到達目標

1.化学の基礎である元素記号,濃度,気体の状態方程式の計算が出来る。
2.エネルギー,仕事,熱の概念を理解し,計算が出来る。
3.熱力学の第一法則を使いこなすことが出来る。
4.熱力学の第二法則とエントロピーについて理解できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1気体の状態方程式を用いて各条件下での圧力変化、体積変化ならびに温度変化を計算できる。気体の状態方程式を用いて、各条件下での圧力変化、体積変化を計算できる気体の状態方程式を用いて、各条件下での圧力変化、体積変化を計算できない
評価項目2熱、内部エネルギーならびに仕事の関係を説明でき、計算できる。また、定圧ならびに定容変化における熱効果等の計算ができる熱、内部エネルギーならびに仕事の関係を説明でき、計算できる。熱、内部エネルギーならびに仕事の関係を説明できず、計算できない。
評価項目3ヘスの法則を用いて反応の反応熱を計算でき,かつ反応熱の温度による変化を計算できるヘスの法則を用いて反応の反応熱を計算できるヘスの法則を用いて反応の反応熱を計算できない
評価項目4エントロピーについて説明でき,かつエントロピーやエントロピーの変化を計算できる。エントロピーについて説明でき、エントロピーの計算ができるエントロピーについて説明できず、エントロピーの計算ができない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
物理化学は,材料の製造や性質を知る上で重要な専門基礎科目である。その範囲は広範囲に渡るが,その中心となるのは熱力学である。物理化学1では一般科目の「物理」「化学1」「数学1」「数学2A」で学習した内容の理解を深め定着させるとともに、これらを用いて熱力学を理解し,材料製造プロセスに深くかかわる基礎的な事項について論理的な思考力を養うとともに,具体的な問題を解く能力を養成することを目的とする。3年ではこれまでの化学の基礎知識を再確認し,熱力学の法則を理解,計算できる能力を養成する。
授業の進め方・方法:
物理化学では,論理的な思考と,実際に問題を解く訓練が必要である。これは容易なことではなく,相当に努力しなければならない。そのためにはねばり強く取り組む必要があり,毎回の授業と問題を解くことが大切である。また,自然現象の理解とその数学的な表現が深く関連していることが重要で,これを理解すると,科学技術の問題に取り組む大きな手がかりになる。したがって,材料のあらゆる分野に関係すると思って勉強していただきたい。授業では抽象的な概念の説明と演習を併用するので,毎回関数電卓が必要である。この科目は,4年の物理化学Ⅱに続く。
注意点:
到達目標に記載した項目の基礎的な内容と理解度、およびその活用度を評価基準とする。
事前学習として、指定した教科書のページを事前に読んでおくこと。
定期試験(計4回、配分は同等) 70%、小テスト30%として評価し、60点以上を合格とする。
再試験は1度だけ実施するが、最大60点として評価する。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 古典的気体分子運動論と温度 気体分子運動論について理解し,温度と気体分子の運動の関係を理解する
2週 気体の状態方程式と気体の性質 気体の状態方程式を用いて各条件下での圧力、体積変化ならびに温度変化を計算
3週 状態変化に伴う系のエネルギー変化 熱力学第1法則を理解でき、系に出入りした熱量と仕事の和が内部エネルギーであることを理解する
4週 熱と仕事の符号 系に出入りした熱量と仕事の符号を理解する
5週 状態量としての熱と仕事 状態量について理解するとともに,エンタルピーについて理解する
6週 定容変化と定圧変化における熱効果(比熱) 比熱を用いて種々の計算ができる
7週 演習問題1 前期第1~第6週の内容の演習問題を解くことができる
8週 中間試験
2ndQ
9週 定容反応熱と定圧反応熱(1) 定圧反応熱について理解するとともに,計算することができる
10週 定容反応熱と定圧反応熱(2) 定容反応熱について理解するとともに,計算することができる
11週 内部エネルギーの正体 内部エネルギーの正体について説明できる
12週 理想気体の性質 内部エネルギーが温度のみの関数であることを理解する
13週 理想気体の状態変化 自由膨張ならびに等温可逆膨張について説明でき,計算ができる
14週 演習問題2 前期第9~第14週の内容の演習問題を解くことができる
15週 演習問題3
前期第9~第14週の内容の演習問題を解くことができる
16週
後期
3rdQ
1週 ヘスの法則と標準生成熱 ヘスの法則と標準生成熱を用いて、種々の化学反応のエンタルピー変化を計算できる
2週 反応熱の温度による変化 各種温度下でのエンタルピー変化を計算できる
3週 燃焼熱と炎の温度 メタン等を空気中で燃焼させた場合に得られる炎の温度を計算できる
4週 エントロピーの定義 エントロピーの定義を理解する
5週 可逆反応と不可逆反応(熱力学第二法則) 可逆反応と不可逆反応について理解する
6週 演習問題4 後期第1~第5週の内容の演習問題を解くことができる
7週 演習問題5 後期第1~第5週の内容の演習問題を解くことができる
8週 中間試験
4thQ
9週 エントロピー変化の計算 各種条件下でのエントロピー変化の計算ができる
10週 孤立系のエントロピー変化 孤立系のエントロピー変化について理解する
11週 エントロピーの値(熱力学第三法則) 熱力学第3法則を理解する
12週 乱れの尺度としてのエントロピー エントロピーが乱れの尺度となっていることを理解する
13週 自由エネルギーの導入 自由エネルギーについて理解する
14週 演習問題6 後期第9~第13週の内容の演習問題を解くことができる
15週 演習問題7 後期第9~第13週の内容の演習問題を解くことができる
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学整式の加減乗除の計算や、式の展開ができる。4前1,前2,前6,前8,前13,後2,後6,後7
解の公式等を利用して、2次方程式を解くことができる。4後2,後6,後7
簡単な連立方程式を解くことができる。4後2,後6,後7
累乗根の意味を理解し、指数法則を拡張し、計算に利用することができる。4前13,後2,後6,後7
指数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。4前13,後2,後6,後7
対数の意味を理解し、対数を利用した計算ができる。4前13,後2,後6,後7
対数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。4前13,後2,後6,後7
微分係数の意味や、導関数の定義を理解し、導関数を求めることができる。4前13,後2,後6,後7
積・商の導関数の公式を用いて、導関数を求めることがができる。4前13,後2,後6,後7
三角関数・指数関数・対数関数の導関数を求めることができる。4前13,後2,後6,後7
不定積分の定義を理解し、簡単な不定積分を求めることができる。4前13,後2,後6,後7
定積分の定義と微積分の基本定理を理解し、簡単な定積分を求めることができる。4前13,後2,後6,後7
分数関数・無理関数・三角関数・指数関数・対数関数の不定積分・定積分を求めることができる。4前13,後2,後6,後7
自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。4前1,前2,前7,前8
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。4前1,前2,前7,前8
仕事と仕事率に関する計算ができる。4前3,前4,前5,前7,前8
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。4前1,前2,前7,前8
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。4前1,前2,前7,前8
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。4前1,前2,前7,前8
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。4前1,前2,前7,前8
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。4前1,前2,前7,前8
原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。4前1,前7,前8
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。4後4,後5,後6,後7
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。4前9,前10
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。4前9,前10
気体の内部エネルギーについて説明できる。4前3,前4,前5,前7,前8
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。4前6,前7,前8
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。4前3,前7,前8
不可逆変化について理解し、具体例を挙げることができる。4後4,後5
熱機関の熱効率に関する計算ができる。4後4,後5
化学(一般)化学(一般)物質を構成する分子・原子が常に運動していることが説明できる。4前1,前7,前8
水の状態変化が説明できる。4後6,後7,後8
物質の三態とその状態変化を説明できる。4後6,後7,後8
気体の状態方程式を説明でき、気体の状態方程式を使った計算ができる。4前1,前2,前7,前8
分子量・式量がどのような意味をもつか説明できる。4前1,前2,前7,前8
気体の体積と物質量の関係を説明できる。4前1,前2,前7,前8
化学反応を反応物、生成物、係数を理解して組み立てることができる。4後3,後6,後7,後8,後14,後15
化学反応を用いて化学量論的な計算ができる。4後3,後6,後7,後8,後14,後15
質量パーセント濃度の説明ができ、質量パーセント濃度の計算ができる。4後6,後7,後8
モル濃度の説明ができ、モル濃度の計算ができる。4前1,前2,前7,前8
酸化還元反応について説明できる。4後13,後14,後15
工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。4前7,前14,前15,後6,後7,後14,後15
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。4前7,前14,前15,後6,後7,後14,後15
専門的能力分野別の専門工学材料系分野物理化学熱力学第一法則と内部エネルギーの概念を説明できる。4前5,前7,前8
内部エネルギー、熱、仕事の符号の規則を説明でき、膨張の仕事を計算できる。4前6,前7,前8
エンタルピーの定義およびエンタルピーが状態量であることを説明できる。4前6,前7,前8
断熱変化に伴う温度変化を計算できる。4前7,前8
標準生成エンタルピーの物理的意味を理解し、反応エンタルピーを計算できる。4後1,後3,後6,後7
定圧熱容量と定容熱容量の関係式が導出できる。4前9,前10,前11,前15,後6,後7
エントロピーの定義を理解し、不可逆過程におけるエントロピー生成について説明できる。4後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後14,後15
内部エネルギーと巨視的熱力学量の関係を導出できる。4前11,前12,前14,前15

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオ小テスト合計
総合評価割合70000030100
基礎的能力3000001545
専門的能力3000001040
分野横断的能力100000515