概要:
金属は純金属および合金として、機能材料や構造材料に使用されている。新材料の開発を行ったり、さまざまな加工を施すには、金属の基礎的な物理特性を理解しておく必要がある。本講義では、材料物性の基礎として、金属原子の構造、結晶構造および高強度機構などについて解説する。
授業の進め方・方法:
参考図書を用いて講義を行う。金属の諸特性は結晶構造によって特長付けられる事、塑性変形や拡散挙動は転位の移動や点欠陥などによって起こるなど、金属の基礎的特性を理解し、塑性変形のメカニズム、時効硬化のメカニズムに応用できることが重要。
次回の授業範囲を予習し、専門用語の意味等を理解しておくこと
注意点:
(1)点数配分:中間試験33%、期末試験67% (前期中間試験はコロナの影響で実施しない)
(2)評価基準:到達目標に記載した項目の基礎的な内容と理解度とその基本的活用度を評価基準とする。60点以上を合格とする。
(3)再試:再試を1回のみ行う。ただし当該科目のみ基準を満たしていない場合、再々試を行うことがある。また、レポートで代用することもある。
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 材料系分野 | 材料物性 | 金属の一般的な性質について説明できる。 | 4 | 前1 |
原子の結合の種類および結合力や物質の例など特徴について説明できる。 | 4 | 前2 |
結晶構造の特徴の観点から、純金属、合金や化合物の性質を説明できる。 | 4 | 前3,前4 |
陽子・中性子・電子からなる原子の構造について説明できる。 | 4 | 前2 |
ボーアの水素原子模型を用いて、エネルギー準位を説明できる。 | 4 | 前2 |
4つの量子数を用いて量子状態を記述して、電子殻や占有する電子数などを説明できる。 | 4 | 前2 |
周期表の元素配列に対して、電子配置や各族および周期毎の物性の特徴を関連付けられる。 | 4 | 前2 |
結晶系の種類、14種のブラベー格子について説明できる。 | 4 | 前3 |
ミラー指数を用いて格子方位と格子面を記述できる。 | 4 | 前3 |
代表的な結晶構造の原子配置を描き、充填率の計算ができる。 | 4 | 前3 |
金属材料 | 炭素鋼の焼なましと焼ならしについて冷却速度の違いに依存した機械的性質の変化を説明できる。 | 4 | 前14,後10 |
炭素鋼の恒温変態(T.T.T.)曲線と連続冷却変態(C.C.T.)曲線の読み方とこれらの相違を説明できる。 | 4 | 前14,後10 |
炭素鋼の焼入れの目的と得られる組織、焼入れによる機械的性質の変化を説明できる。 | 4 | 前14,後11 |
焼入れた炭素鋼の焼戻しの目的とその過程に関する知識を活用し、焼入れ焼き戻しによる機械的性質の変化を説明できる。 | 4 | 前14,後11 |
純銅の強度的特徴、物理的、化学的性質について説明できる。 | 4 | 前15 |
黄銅や青銅について、その成分および特徴を理解し、適切な合金を応用できる。 | 4 | 前15 |
アルミニウムの強度的特徴、物理的・化学的性質について説明できる。 | 4 | 前15 |
無機材料 | 原子の構成粒子を理解し、原子番号、質量数、同位体について説明できる。 | 4 | 後11 |
原子価結合法により、共有結合を説明できる。 | 4 | 前2 |
イオン結合の形成と特徴について理解できる。 | 4 | 前2 |
金属結合の形成と特徴について理解できる。 | 4 | 前2 |
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比などの基本的な計算ができる。 | 4 | 前3 |
材料組織 | 点欠陥である空孔、格子間原子、置換原子などを区別して説明できる。 | 4 | 前5 |
線欠陥である刃状転位とらせん転位を理解し、変形機構と関連して説明できる。 | 4 | 前5 |
面欠陥である積層欠陥について説明できる。 | 4 | 前5 |
純金属の凝固過程での過冷却状態、核生成、結晶粒成長の各段階について説明できる。 | 4 | 後8 |
弾性変形の変形様式の特徴、フックの法則について説明できる。 | 4 | 前8 |
塑性変形におけるすべり変形と双晶変形の特徴について説明できる。 | 4 | 後2 |
刃状転位とらせん転位ならびに塑性変形における転位の働きを説明できる。 | 4 | 前5 |
降伏現象ならびに応力-歪み曲線から降伏点を求めることができる。 | 4 | 前8 |
加工硬化、固溶硬化、析出硬化、分散硬化の原理を説明できる。 | 4 | 前9 |
格子間原子型および原子空孔型の拡散機構を説明できる。 | 4 | 前12 |
拡散係数の物理的意味を説明できる。 | 4 | 前12 |
回復機構および回復に伴う諸特性の変化を説明できる。 | 4 | 前10 |
再結晶粒の核生成機構および優先核生成場所を説明できる。 | 4 | 前10 |
再結晶粒の成長機構を説明できる。 | 4 | 前10 |
マルテンサイト変態について結晶学的観点からの相変態の特徴を説明できる。 | 4 | 前9 |
力学 | 応力-ひずみ曲線について説明できる。 | 4 | 前9 |
フックの法則を用いて、縦弾性係数(ヤング率)、応力およびひずみを計算できる。 | 4 | 前9 |