金属物理学1

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 金属物理学1
科目番号 3M14 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 材料システム工学科(2017年度以降入学生、但し、令和4年度は材料工学科を含む) 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 金属用語辞典編集委員会 編著、金属用語辞典、アグネ技術センター
担当教員 周 致霆

到達目標

1.金属の結晶構造を説明できる。
2.金属の塑性変形を転位の動きとして理解し、説明できる。
3.金属の強化法を原子の動きとして理解し、説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1結晶の構造について8割説明することができる。結晶の構造について6割説明することができる。結晶の構造について6割説明することができない。
評価項目2材料の強化方法・評価方法・軟化過程について8割説明することができる。材料の強化方法・評価方法・軟化過程について6割説明することができる。材料の強化方法・評価方法・軟化過程について6割説明することができない。
評価項目3材料の変形について8割理解することができ、計算できる。材料の変形について6割理解することができ、計算できる。材料の変形について6割理解することができ、計算できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
金属は純金属および合金として、機能材料や構造材料に使用されている。新材料の開発を行ったり、さまざまな加工を施すには、金属の基礎的な物理特性を理解しておく必要がある。本講義では、材料物性の基礎として、金属原子の構造、結晶構造および高強度機構などについて解説する。
授業の進め方・方法:
参考図書を用いて講義を行う。金属の諸特性は結晶構造によって特長付けられる事、塑性変形や拡散挙動は転位の移動や点欠陥などによって起こるなど、金属の基礎的特性を理解し、塑性変形のメカニズム、時効硬化のメカニズムに応用できることが重要。
次回の授業範囲を予習し、専門用語の意味等を理解しておくこと
注意点:
(1)点数配分:中間試験33%、期末試験67% (前期中間試験はコロナの影響で実施しない)
(2)評価基準:到達目標に記載した項目の基礎的な内容と理解度とその基本的活用度を評価基準とする。60点以上を合格とする。  
(3)再試:再試を1回のみ行う。ただし当該科目のみ基準を満たしていない場合、再々試を行うことがある。また、レポートで代用することもある。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス 金属物理学Ⅰの位置づけについて理解する
2週 原子の構造と結合 原子の構造と結合について理解する
3週 結晶の構造 立方晶・六方晶の構造について理解する
4週 合金の構造 合金の構造について理解する
5週 結晶構造の欠陥 結晶構造の欠陥について理解する
6週 材料の機械的性質 材料の機械的性質の種類について理解する
7週 状態図 状態図の基礎を理解する
8週 金属材料の評価方法 金属材料の評価方法について説明できる
2ndQ
9週 金属材料の強化方法 金属材料の強化方法について説明できる
10週 材料の軟化過程 材料の軟化過程について理解する
11週 破壊Ⅰ 破壊について知る
12週 拡散 拡散について知る
13週 塑性加工 塑性加工について知る
14週 鉄鋼材料 鉄鋼材料について知る
15週 非鉄材料 非鉄材料について知る
16週
後期
3rdQ
1週 空孔濃度 空孔濃度の導出ができる
2週 体心立方格子のすべり系 体心立方格子のすべり系について理解する
3週 面心立方格子のすべり系 面心立方格子のすべり系について理解する
4週 シュミット因子 シュミット因子の導出ができる
5週 臨界せん断応力Ⅰ 臨界せん断応力の導出ができる
6週 臨界せん断応力Ⅱ 臨界せん断応力を用いた種々の計算ができる
7週 結晶系とブラベー格子 結晶系とブラベー格子について理解する
8週 析出機構 析出機構について理解する
4thQ
9週 破壊Ⅱ 破壊形態を理解する
10週 熱処理Ⅰ 熱処理の基礎を知る
11週 熱処理Ⅱ 熱処理について理解する
12週 集合組織 集合組織について知る
13週 双晶 双晶について知る
14週 まとめⅠ 学習内容の復習を行う
15週 まとめⅡ 学習内容の理解度の確認を行う
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学材料系分野材料物性金属の一般的な性質について説明できる。4前1
原子の結合の種類および結合力や物質の例など特徴について説明できる。4前2
結晶構造の特徴の観点から、純金属、合金や化合物の性質を説明できる。4前3,前4
陽子・中性子・電子からなる原子の構造について説明できる。4前2
ボーアの水素原子模型を用いて、エネルギー準位を説明できる。4前2
4つの量子数を用いて量子状態を記述して、電子殻や占有する電子数などを説明できる。4前2
周期表の元素配列に対して、電子配置や各族および周期毎の物性の特徴を関連付けられる。4前2
結晶系の種類、14種のブラベー格子について説明できる。4前3
ミラー指数を用いて格子方位と格子面を記述できる。4前3
代表的な結晶構造の原子配置を描き、充填率の計算ができる。4前3
金属材料炭素鋼の焼なましと焼ならしについて冷却速度の違いに依存した機械的性質の変化を説明できる。4前14,後10
炭素鋼の恒温変態(T.T.T.)曲線と連続冷却変態(C.C.T.)曲線の読み方とこれらの相違を説明できる。4前14,後10
炭素鋼の焼入れの目的と得られる組織、焼入れによる機械的性質の変化を説明できる。4前14,後11
焼入れた炭素鋼の焼戻しの目的とその過程に関する知識を活用し、焼入れ焼き戻しによる機械的性質の変化を説明できる。4前14,後11
純銅の強度的特徴、物理的、化学的性質について説明できる。4前15
黄銅や青銅について、その成分および特徴を理解し、適切な合金を応用できる。4前15
アルミニウムの強度的特徴、物理的・化学的性質について説明できる。4前15
無機材料原子の構成粒子を理解し、原子番号、質量数、同位体について説明できる。4後11
原子価結合法により、共有結合を説明できる。4前2
イオン結合の形成と特徴について理解できる。4前2
金属結合の形成と特徴について理解できる。4前2
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比などの基本的な計算ができる。4前3
材料組織点欠陥である空孔、格子間原子、置換原子などを区別して説明できる。4前5
線欠陥である刃状転位とらせん転位を理解し、変形機構と関連して説明できる。4前5
面欠陥である積層欠陥について説明できる。4前5
純金属の凝固過程での過冷却状態、核生成、結晶粒成長の各段階について説明できる。4後8
弾性変形の変形様式の特徴、フックの法則について説明できる。4前8
塑性変形におけるすべり変形と双晶変形の特徴について説明できる。4後2
刃状転位とらせん転位ならびに塑性変形における転位の働きを説明できる。4前5
降伏現象ならびに応力-歪み曲線から降伏点を求めることができる。4前8
加工硬化、固溶硬化、析出硬化、分散硬化の原理を説明できる。4前9
格子間原子型および原子空孔型の拡散機構を説明できる。4前12
拡散係数の物理的意味を説明できる。4前12
回復機構および回復に伴う諸特性の変化を説明できる。4前10
再結晶粒の核生成機構および優先核生成場所を説明できる。4前10
再結晶粒の成長機構を説明できる。4前10
マルテンサイト変態について結晶学的観点からの相変態の特徴を説明できる。4前9
力学応力-ひずみ曲線について説明できる。4前9
フックの法則を用いて、縦弾性係数(ヤング率)、応力およびひずみを計算できる。4前9

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力700000070
専門的能力300000030
分野横断的能力0000000