概要:
物理化学は、材料の製造や性質を知る上で重要な専門基礎科目である。その範囲は広範囲に渡るが、その中心となるのは熱力学である。物理化学ⅠおよびⅡではこの熱力学を中心に講義し、材料製造プロセスに深くかかわる基礎的な事項について論理的な思考力を養うとともに、具体的な問題を解く能力を養成することを目的とする。4年では3年に引き続いて熱力学の法則を理解、計算できる能力、特に自由エネルギーを駆使して状態変化、化学変化に関する取り扱いができる能力を養成する。
実務経験のある教員による授業科目:この科目は企業で触媒開発を担当していた教員がその経験を生かし、ギブズエネルギーや化学平衡等の概念、ならびにその具体的な利用方法について、授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
この科目は、3年の物理化学1の続きであり、論理的な思考と、実際に問題を解く訓練が必要である。特に、自由エネルギーは状態変化、化学反応について、現象の理解とその計算は非常に重要で、これを理解することは、材料プロセスに取り組む大きな手がかりになる。授業は、抽象的な概念の説明と演習を併用するので、毎回関数電卓を用意すること。知識を確認するためには、なかなか解けなくても、自ら多くの演習に取り組むことが重要である。
この科目は,以下に示す科目と関連しており,事前に十分な理解が得られるよう復習しておくこと。
化学,基礎材料化学,材料化学
注意点:
(1)点数配分:試験100%(前期中間試験、前期末試験、後期中間試験ならびに後期末試験の平均点とする)
(2)評価基準:60点以上を合格とする
(3)再試験は1度だけ実施するが、再試験後の総合成績は最大60点として評価する
(4)到達目標に記載した項目の内容を主な評価基準とする
(5)事前学習として、指定した教科書のページを事前に読んでおくこと
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 化学(一般) | 化学(一般) | 化学反応を反応物、生成物、係数を理解して組み立てることができる。 | 4 | 前3,前4,前5,前7,前8,後5,後6,後7,後8 |
化学反応を用いて化学量論的な計算ができる。 | 4 | 前3,前4,前5,前7,前8,後5,後6,後7,後8 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 材料系分野 | 物理化学 | 熱力学第一法則と内部エネルギーの概念を説明できる。 | 4 | 前1,前4,前8 |
内部エネルギー、熱、仕事の符号の規則を説明でき、膨張の仕事を計算できる。 | 4 | 前1,前2,前4,前5,前7,前8 |
エンタルピーの定義およびエンタルピーが状態量であることを説明できる。 | 4 | 前1,前4,前5,前6,前7,前8,後2,後4,後8 |
標準生成エンタルピーの物理的意味を理解し、反応エンタルピーを計算できる。 | 4 | 前2,前4,前5,前6,前7,前8,後11,後12 |
定圧熱容量と定容熱容量の関係式が導出できる。 | 4 | 前4,前5,前7,前8 |
エントロピーの定義を理解し、不可逆過程におけるエントロピー生成について説明できる。 | 4 | 前1,前4,前5,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後4,後8 |
ヘルムホルツエネルギーとギブズエネルギーの定義および自発的変化の方向性との関連について説明できる。 | 4 | 前1,前2,前4,前8,前9,前12,後3,後4,後6,後7,後8,後13,後14,後15 |
標準モルギブズエネルギーの定義に基づいて標準反応ギブズエネルギーを計算できる。 | 4 | 前3,前4,前5,前6,前7,前8,前11,前12,前13,前14,前15,後3,後4,後6,後7,後8,後9,後10,後12,後13,後14,後15 |
内部エネルギーと巨視的熱力学量の関係を導出できる。 | 4 | 前1,前4,前8 |
純物質の化学ポテンシャルの定義と物理的意味を理解し、理想気体の化学ポテンシャルを計算できる。 | 4 | 前5,前7,前8,後3,後4,後8,後13,後14,後15 |