金属材料学1

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 金属材料学1
科目番号 4M16 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 材料システム工学科(2017年度以降入学生、但し、令和4年度は材料工学科を含む) 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 図解 合金状態図読本(横山亨著,オーム社)/金属材料工学(宮川大海著,森北出版)/プリント
担当教員 森園 靖浩

到達目標

1. 金属の強化機構について説明できる。
2. 鉄-炭素2元系状態図ならびにそれに基づいた冷却時の組織形成過程について説明できる。
3. 鉄鋼の熱処理操作と相変態・組織変化の関係について説明できる。
4. 様々な鉄鋼材料の性質・用途について説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1金属の強化機構について詳しく説明できる金属の強化機構の基本を理解している。金属の強化機構を理解していない。
評価項目2鉄-炭素2元系状態図ならびにそれに基づいた冷却時の組織形成過程について正しく理解している。鉄-炭素2元系状態図ならびにそれに基づいた冷却時の組織形成過程について,概略を説明できる。鉄-炭素2元系状態図について理解していない。
評価項目3鉄鋼の熱処理操作と相変態・組織変化の関係について,正しく説明できる。鉄鋼の熱処理操作と相変態・組織変化の関係について,基本を理解している。鉄鋼の熱処理操作と相変態・組織変化の関係について理解していない。
評価項目4代表的な鉄鋼材料の性質・用途について説明可能で,その詳細についても理解している。代表的な鉄鋼材料の性質・用途について説明できる。鉄鋼材料の性質・用途について理解していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
金属材料はパソコン,クルマなどあらゆる工業製品で使用されており,新たなる材料・合金開発が製品自体の高性能化・高機能化などに役立つことはよく知られている。本科目では,金属材料,特に鉄鋼材料の基礎を理解し,実用材料への応用・展開力を養う。
授業の進め方・方法:
授業は教科書に沿って進める。3年生で学習する「金属物理学I」「材料組織学」の知識を必要とするので,十分に理解しておくこと。
注意点:
新型コロナ流行に伴う中間試験の中止により,評価方法を以下のように変更します。
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【変更後】前期においては期末試験90%,レポート10%として合計100点満点で評価する。一方,後期においては中間試験45%,期末試験45%,レポート10%として合計100点満点で評価する。前期・後期を合わせた平均が60点以上の場合を合格とする。必要に応じて再試験を実施する(但し1回のみ)が,評点は60点とする。
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【変更前】前期・後期とも中間試験・期末試験を実施する。前期においては,中間試験45%,期末試験45%,レポート10%として合計100点満点で評価する。これと同様に後期分も100点満点で評価し,前期・後期を合わせた平均が60点以上の場合を合格とする。必要に応じて再試験を実施する(但し1回のみ)が,評点は60点とする。
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評価基準:到達目標に記載した項目の基礎的な内容の理解度とその基本的活用度を評価基準とする。
事前学習:次週の授業範囲を予習し,専門用語の意味などを理解しておいてください。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 はじめに 本科目の全体像を理解する。
2週 「材料組織学」「金属物理学1」の復習 3年次科目を復習し,その理解を深める。
3週 冷間加工による機械的性質の変化 加工硬化について理解する。
4週 冷間加工材の加熱 【回復・再結晶1】 冷間加工後の回復・再結晶挙動を理解する。
5週 冷間加工材の加熱 【回復・再結晶2】 冷間加工後の回復・再結晶挙動を理解する。
6週 固溶硬化(固溶強化) 固溶硬化(固溶強化)について理解する。
7週 析出硬化(時効硬化) 析出硬化(時効硬化)について理解する。
8週 中間試験
2ndQ
9週 結晶粒微細化による強化 結晶粒微細化による強化について理解する。
10週 金属の機械的性質に及ぼす温度の影響1 延性破壊や脆性破壊について理解する。
11週 金属の機械的性質に及ぼす温度の影響2 低温脆性について理解する。
12週 金属の機械的性質に及ぼす温度の影響3 ひずみ時効について理解する。
13週 金属の機械的性質に及ぼす温度の影響4 クリープ現象を理解する。
14週 金属の疲れと疲れ強さ1 疲労破壊について理解する。
15週 金属の疲れと疲れ強さ2 疲労試験に影響を及ぼす諸因子について理解する。
16週 期末試験
後期
3rdQ
1週 「材料組織学」:自由エネルギーと状態図の関係1 自由エネルギーと状態図の関係を理解する。
2週 「材料組織学」:自由エネルギーと状態図の関係2 自由エネルギーと状態図の関係を理解する。
3週 はじめに(鉄鋼材料入門)
鉄鋼材料の分類と製造法
身の回りの鉄鋼材料について考え,その分類や製造法について理解する。
4週 炭素鋼の状態図と組織1 【状態図と標準組織】 鉄-炭素2元系状態図と標準組織について理解する。
5週 炭素鋼の状態図と組織2 【冷却速度の影響】 炭素鋼の相変態に及ぼす冷却速度の影響について理解する。
6週 炭素鋼の状態図と組織3 【恒温変態線図】 恒温変態線図(TTT曲線)について理解する。
7週 炭素鋼の状態図と組織4 【連続冷却変態線図】 連続冷却変態線図(CCT曲線)について理解する。
8週 中間試験
4thQ
9週 炭素鋼の状態図と組織5 【マルテンサイト変態とベイナイト変態】 マルテンサイト変態やベイナイト変態の特徴について理解する。
10週 合金鋼の状態図と組織 合金鋼のTTT曲線・CCT曲線について理解する。
11週 鋼の熱処理1 鋼の焼入れ硬化挙動について理解する。
12週 鋼の熱処理2 鋼の焼戻し過程とそれに伴う脆化現象,さらに加工熱処理や表面硬化処理について理解する。
13週 構造用圧延鋼材・機械構造用鋼 構造用圧延鋼材や機械構造用鋼などについて理解する。
14週 ばね用鋼・高硬度鋼・ステンレス鋼 ばね用鋼,高硬度鋼,ステンレス鋼のそれぞれについて理解する。
15週 鋳鉄 鋳鉄について理解する。
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学材料系分野金属材料製銑および製鋼工程について、原料ならびに主設備、主な炉内反応を説明できる。4後2
純鉄の組織と変態について、結晶構造を含めて説明できる。4後3
炭素鋼の状態図を用いて標準組織および機械的性質を説明できる。4後3
炭素鋼の焼なましと焼ならしについて冷却速度の違いに依存した機械的性質の変化を説明できる。4後4,後5,後6
炭素鋼の恒温変態(T.T.T.)曲線と連続冷却変態(C.C.T.)曲線の読み方とこれらの相違を説明できる。4後4,後5,後6
炭素鋼の焼入れの目的と得られる組織、焼入れによる機械的性質の変化を説明できる。4後10
焼入れた炭素鋼の焼戻しの目的とその過程に関する知識を活用し、焼入れ焼き戻しによる機械的性質の変化を説明できる。4後11
合金鋼の状態図の読み方を利用して炭化物の種類や析出挙動を説明できる。4後9
合金鋼の添加元素と機械的性質に関する知識を利用して、合金鋼の用途を選択できる。4後9
状態図を用いて、鋳鉄の性質および組織について説明できる。4後15
材料組織加工硬化、固溶硬化、析出硬化、分散硬化の原理を説明できる。4前5,前6,前7,前9
回復機構および回復に伴う諸特性の変化を説明できる。4前5
再結晶粒の核生成機構および優先核生成場所を説明できる。4前5
再結晶粒の成長機構を説明できる。4前5
自由エネルギーの変化を利用して、相変態について説明できる。4
共析変態で生じる組織を描き、相変態過程を説明できる。4
マルテンサイト変態について結晶学的観点からの相変態の特徴を説明できる。4後7

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合90000010100
基礎的能力0000000
専門的能力90000010100
分野横断的能力0000000