1. 金属の強化機構について説明できる。
2. 鉄-炭素2元系状態図ならびにそれに基づいた冷却時の組織形成過程について説明できる。
3. 鉄鋼の熱処理操作と相変態・組織変化の関係について説明できる。
4. 様々な鉄鋼材料の性質・用途について説明できる。
概要:
金属材料はパソコン,クルマなどあらゆる工業製品に使用されており,新たなる材料の開発が製品の高機能・高性能化に欠かせないことはよく知られています。本科目では,金属材料,特に鉄鋼材料の基礎を理解し,実用材料への応用・展開力を養しいます。
授業の進め方・方法:
授業は教科書に沿って進めます。3年生で学習する「金属物理学1」「材料組織学」の知識を必要としますので,十分に理解しておいてください。
注意点:
前期・後期とも中間試験・期末試験を実施します。前期においては,中間試験45%,期末試験45%,レポート10%として合計100点満点で評価します。これと同様に後期分も100点満点で評価し,前期・後期を合わせた平均が60点以上の場合を合格とします。必要に応じて再試験を実施します(但し1回のみ)が,評点は60点とします。
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【新型コロナ流行に伴って前期の中間試験が中止された場合の評価方法】
前期においては期末試験90%,レポート10%として合計100点満点で評価します。一方,後期においては中間試験45%,期末試験45%,レポート10%として合計100点満点で評価します。そして,前期・後期を合わせた平均が60点以上の場合が合格になります。必要に応じて再試験を実施します(但し1回のみ)が,評点は60点とします。
※後期または前・後期両方の中間試験が中止となった場合には,上記と同様,期末試験90%,レポート10%の合計100点満点で半期分の評価を行います。
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評価基準:到達目標に記載した項目の基礎的な内容の理解度とその基本的活用度を評価基準とします。
事前学習:次週の授業範囲を予習し,専門用語の意味などを理解しておいてください。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
はじめに |
本科目の全体像を理解します。
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2週 |
「材料組織学」「金属物理学1」の復習 |
3年次科目を復習し,その理解を深めます。
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3週 |
冷間加工による機械的性質の変化 |
加工硬化について理解します。
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4週 |
冷間加工材の加熱 【回復・再結晶1】 |
冷間加工後の回復・再結晶挙動を理解します。
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5週 |
冷間加工材の加熱 【回復・再結晶2】 |
冷間加工後の回復・再結晶挙動を理解します。
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6週 |
固溶硬化(固溶強化) |
固溶硬化(固溶強化)について理解します。
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7週 |
析出硬化(時効硬化) |
析出硬化(時効硬化)について理解します。
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8週 |
中間試験 |
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2ndQ |
9週 |
結晶粒微細化による強化 |
結晶粒微細化による強化について理解します。
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10週 |
金属の機械的性質に及ぼす温度の影響1 |
延性破壊や脆性破壊について理解します。
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11週 |
金属の機械的性質に及ぼす温度の影響2 |
低温脆性について理解します。
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12週 |
金属の機械的性質に及ぼす温度の影響3 |
ひずみ時効について理解します。
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13週 |
金属の機械的性質に及ぼす温度の影響4 |
クリープ現象を理解します。
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14週 |
金属の疲れと疲れ強さ1 |
疲労破壊について理解します。
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15週 |
金属の疲れと疲れ強さ2 |
疲労試験に影響を及ぼす諸因子について理解します。
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16週 |
期末試験 |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
「材料組織学」:自由エネルギーと状態図の関係1 |
自由エネルギーと状態図の関係を理解します。
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2週 |
「材料組織学」:自由エネルギーと状態図の関係2 |
自由エネルギーと状態図の関係を理解します。
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3週 |
はじめに(鉄鋼材料入門) 鉄鋼材料の分類と製造法 |
身の回りの鉄鋼材料について考え,その分類や製造法について理解します。
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4週 |
炭素鋼の状態図と組織1 【状態図と標準組織】 |
鉄-炭素2元系状態図と標準組織について理解します。
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5週 |
炭素鋼の状態図と組織2 【冷却速度の影響】 |
炭素鋼の相変態に及ぼす冷却速度の影響について理解します。
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6週 |
炭素鋼の状態図と組織3 【恒温変態線図】 |
恒温変態線図(TTT曲線)について理解します。
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7週 |
炭素鋼の状態図と組織4 【連続冷却変態線図】 |
連続冷却変態線図(CCT曲線)について理解します。
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8週 |
中間試験 |
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4thQ |
9週 |
炭素鋼の状態図と組織5 【マルテンサイト変態とベイナイト変態】 |
マルテンサイト変態やベイナイト変態の特徴について理解します。
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10週 |
合金鋼の状態図と組織 |
合金鋼のTTT曲線・CCT曲線について理解します。
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11週 |
鋼の熱処理1 |
鋼の焼入れ硬化挙動について理解します。
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12週 |
鋼の熱処理2 |
鋼の焼戻し過程とそれに伴う脆化現象,さらに加工熱処理や表面硬化処理について理解します。
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13週 |
構造用圧延鋼材・機械構造用鋼 |
構造用圧延鋼材や機械構造用鋼などについて理解します。
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14週 |
ばね用鋼・高硬度鋼・ステンレス鋼 |
ばね用鋼,高硬度鋼,ステンレス鋼のそれぞれについて理解します。
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15週 |
鋳鉄 |
鋳鉄について理解します。
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16週 |
期末試験 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 材料系分野 | 金属材料 | 製銑および製鋼工程について、原料ならびに主設備、主な炉内反応を説明できる。 | 4 | 後2 |
純鉄の組織と変態について、結晶構造を含めて説明できる。 | 4 | 後3 |
炭素鋼の状態図を用いて標準組織および機械的性質を説明できる。 | 4 | 後3 |
炭素鋼の焼なましと焼ならしについて冷却速度の違いに依存した機械的性質の変化を説明できる。 | 4 | 後4,後5,後6 |
炭素鋼の恒温変態(T.T.T.)曲線と連続冷却変態(C.C.T.)曲線の読み方とこれらの相違を説明できる。 | 4 | 後4,後5,後6 |
炭素鋼の焼入れの目的と得られる組織、焼入れによる機械的性質の変化を説明できる。 | 4 | 後10 |
焼入れた炭素鋼の焼戻しの目的とその過程に関する知識を活用し、焼入れ焼き戻しによる機械的性質の変化を説明できる。 | 4 | 後11 |
合金鋼の状態図の読み方を利用して炭化物の種類や析出挙動を説明できる。 | 4 | 後9 |
合金鋼の添加元素と機械的性質に関する知識を利用して、合金鋼の用途を選択できる。 | 4 | 後9 |
状態図を用いて、鋳鉄の性質および組織について説明できる。 | 4 | 後15 |
材料組織 | 加工硬化、固溶硬化、析出硬化、分散硬化の原理を説明できる。 | 4 | 前5,前6,前7,前9 |
回復機構および回復に伴う諸特性の変化を説明できる。 | 4 | 前5 |
再結晶粒の核生成機構および優先核生成場所を説明できる。 | 4 | 前5 |
再結晶粒の成長機構を説明できる。 | 4 | 前5 |
自由エネルギーの変化を利用して、相変態について説明できる。 | 4 | |
共析変態で生じる組織を描き、相変態過程を説明できる。 | 4 | |
マルテンサイト変態について結晶学的観点からの相変態の特徴を説明できる。 | 4 | 後7 |