塑性加工学

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 塑性加工学
科目番号 4M45 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 材料システム工学科(2017年度以降入学生、但し、令和4年度は材料工学科を含む) 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 塑性加工入門(コロナ社),配布プリント
担当教員 山本 郁

到達目標

塑性加工法の種類について説明できる.
材料の塑性変形と応力の関係を理解し,説明できる.
基礎の塑性力学について理解し,説明できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1塑性加工法の種類,特徴を正しく説明でき,材料に適した加工法の選択ができる塑性加工法の種類及び特徴を説明できる塑性加工法の種類及び特徴を説明できる
評価項目2塑性変形と応力の関係を説明でき,塑性変形と塑性加工法の関係を説明できる.材料の応力ひずみ曲線を説明できる応力とひずみの関係が説明できない
評価項目3材料の降伏条件について説明でき,かつ降伏条件の計算ができる材料の降伏条件について説明できる基礎の塑性力学について説明できない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
金属材料を利用する場合,用途に応じて様々な加工方法により所定の形状により加工しなければならない.本講義では,材料加工法の一つである塑性加工について学ぶ.代表的な塑性加工法について解説するとともに塑性力学の基礎についても解説する.
授業の進め方・方法:
教科書を用いた講義を行う.講義中には演習や課題を実施し,それに関する解説を行う.
次回の授業範囲を予習し,専門用語の意味等を理解しておくこと.
注意点:
塑性加工学は,材料力学,金属材料学,金属物理学等の知識が必要であるので,それらの科目について復習しておくことが望ましい.
評価方法
到達目標に記載した項目内容を主な評価基準とする.
定期試験(中間試験,期末試験)を100%として評価し,60点以上を合格とする.
再試験は全範囲で一度のみ実施する.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 塑性加工の概要 金属の加工法の位置づけについて理解する
2週 塑性加工法の分類 塑性加工法の種類を把握する
3週 応力とひずみ 金属の応力とひずみの関係について理解する
4週 真応力と真ひずみ 塑性加工と応力,ひずみの関係を理解する
5週 降伏条件 初等塑性力学について理解する
6週 変形抵抗曲線 塑性力学と塑性加工の関連について理解する
7週 加工硬化指数 材料の変形と加工硬化指数との関連を理解する
8週 加工温度と塑性変形 材料の加工温度と塑性変形能の関係を理解する
2ndQ
9週 加工速度と組成変形 加工速度と塑性変形の関係を理解する
10週 塑性変形した材料の組織と性質 材料の組織と塑性変形との関係を理解する
11週 加工硬化材と熱処理 材料の加工と熱処理の関係を理解する
12週 圧延加工の概要 圧延加工法の基礎を知る
13週 圧延における変形機構 圧延と塑性変形の関連を理解する
14週 圧延荷重と圧延トルク 初等圧延理論を理解する
15週 前期まとめ 前期の学習内容について,理解度の確認を行う
16週
後期
3rdQ
1週 棒・形材・管の圧延 様々な圧延加工法について知る
2週 せん断加工の概要 せん断加工法加工の概要を把握する
3週 せん断過程 塑性加工とせん断の関係を理解する
4週 せん断切り口の形状とクリアランス せん断加工と品質の関係について理解する
5週 せん断に要する力 せん断と材料強度との関係を理解する
6週 曲げ加工の概要 曲げ加工の概要を知る
7週 曲げ変形と曲げ変形に要する力 応力ひずみ曲線と曲げ加工の関連について理解する
8週 曲げ加工限度とスプリングバック 弾性変形と曲げ加工との関係を理解する
4thQ
9週 曲げ加工法 様々な曲げ加工法の種類について把握する
10週 深絞り加工の概要 絞り加工の概要について把握する
11週 深絞り加工における変形過程 深絞り加工と材料の変形について理解する
12週 深絞りに要する力 深絞り加工と塑性力学との関係を理解する
13週 深絞り加工性間接試験 様々な試験法の概要について理解する
14週 その他の塑性加工法 最新の塑性加工法について把握する
15週 後期まとめ 後期の学習内容について,理解度の確認を行う
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学材料系分野材料物性金属の一般的な性質について説明できる。4前1,後15
材料組織点欠陥である空孔、格子間原子、置換原子などを区別して説明できる。3前3,後15
弾性変形の変形様式の特徴、フックの法則について説明できる。4前3,前4,後8
塑性変形におけるすべり変形と双晶変形の特徴について説明できる。4前3,前4,後8
刃状転位とらせん転位ならびに塑性変形における転位の働きを説明できる。4前7,前8,前9
降伏現象ならびに応力-歪み曲線から降伏点を求めることができる。4前3,前4,後8
加工硬化、固溶硬化、析出硬化、分散硬化の原理を説明できる。4前8,前10,前11
回復機構および回復に伴う諸特性の変化を説明できる。2前10,前11
再結晶粒の核生成機構および優先核生成場所を説明できる。2前10,前11
再結晶粒の成長機構を説明できる。2前10,前11
力学荷重と応力、変形とひずみの関係について理解できる。4前1,前3,前4,後15
応力-ひずみ曲線について説明できる。4前3,前4
フックの法則を用いて、縦弾性係数(ヤング率)、応力およびひずみを計算できる。4前3,前4
許容応力と安全率を説明できる。4前10
荷重の方向、性質と物体の変形様式との関係について説明できる。4前3,前4
引張、圧縮応力(垂直応力)とひずみ、物体の変形量を計算できる。4前3,前4
縦ひずみと横ひずみを理解し、ポアソン比およびポアソン数を説明できる。4前3,前4
せん断応力(接面応力)とせん断ひずみ(せん断角)を計算できる。4前3,前4
線膨張係数の意味を理解し、熱応力を計算できる。4前8
はりの定義や種類、はりに加わる荷重の種類を説明できる。4後7,後9
はりに作用する力のつりあい、せん断力および曲げモーメントを計算できる。4後7,後9
各種の荷重が作用するはりのせん断力図と曲げモーメント図を作成できる。4後7,後9
中立軸、中立面の意味を理解し、曲げモーメントによって生じる曲げ応力およびその分布を計算できる。4後7,後9
各種断面の図心、断面二次モーメントおよび断面係数を計算できる。4後7,後9
各種のはりについて、たわみ角とたわみを計算できる。4後7,後9
多軸応力の意味を説明できる。4前5
二軸応力について、任意の斜面上に作用する応力、主応力と主せん断応力を計算できる。4前5
ひずみエネルギーを説明できる。4前5
垂直応力、垂直ひずみ、縦弾性係数を用いてひずみエネルギーを計算できる。4前5
工作塑性加工法の種類を説明できる。4前1,前2,前12,後10,後14
鍛造とその特徴を説明できる。4後14
プレス加工とその特徴を説明できる。4後14
転造、押出し、圧延、引抜きなどの加工法を説明できる。4前12

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力500000050
専門的能力300000030
分野横断的能力200000020