金属材料学2

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 金属材料学2
科目番号 5M08 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学習単位: 2
開設学科 材料システム工学科(2017年度以降入学生、但し、令和4年度は材料工学科を含む) 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 前期:2
教科書/教材 教科書:「非鉄金属」日本金属学会編。その他プリントを使用する。参考書:「金属材料学」宮川大海著、森北出版
担当教員 川上 雄士

到達目標

1.非鉄金属の種類と特徴および主用途を説明できる。
2.非鉄金属に適用されている金属学的技術(高強度化)を理解できる。
3.代表JIS合金(アルミ、銅、マグネシウム)の性能を理解し説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1非鉄金属の種類と特徴および主用途を説明できる。非鉄金属の種類と特徴を理解できる。非鉄金属の種類と特徴を理解できない
評価項目2非鉄金属に適用されている金属学的技術(高強度化)を説明できる。非鉄金属に適用されている金属学的技術(高強度化)を理解できる。非鉄金属に適用されている金属学的技術(高強度化)を理解できない
評価項目3代表JIS合金(アルミ、銅、マグネシウム)の性能を理解し説明できる。代表JIS合金(アルミ、銅、マグネシウム)の性能を理解できる。代表JIS合金(アルミ、銅、マグネシウム)の性能を理解できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
金属材料に求められる特性は工業技術の進歩とともに多様化および高度化している。各種の金属材料を様々に製造、加工、運用、および新材料を開発していくためには、それぞれの金属の基本特性を理解しなければならない。本講義では、非鉄金属を中心に各種金属の固有の特性、および実用合金に適用されている金属学的技術を解説する。
実務経験のある教員による授業科目:この科目は、企業で機械部品材料の研究開発、熱処理・表面処理技術を担当していた教員により、その経験を活かして現場での技術の事例を含めた講義を行うものである。
授業の進め方・方法:
本科目は学修単位であり、通常の科目と異なり自学自習が求められることに注意のこと。
教科書およびプリントを用いて講義を行う。今までに学習した、材料組織学や金属物理学が実用合金にどのように適用されているか基礎技術の復習を含めて勉強する。同時に、今までに学んだ基礎学問の実用金属材料への応用力を養う。 
 関連科目:金属材料学1、材料組織学、金属物理学1,2
注意点:
定期試験(中間試験40%+期末試験40%)80%、小テスト・課題等20%として評価する。
到達目標に記載した内容を主な評価基準とする試験を実施し、60点以上を合格とする。
必要に応じて再試験を実施するが、評価は60点とする。
本科目は学修単位となるので,課された課題に対して真剣に取り組みむこと。次回の授業範囲を予習し、専門用語の意味等を理解しておくこと。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 非鉄金属の概要(歴史、使用量、用途、将来予想) 鉄鋼材料と非鉄金属材料の違いを理解できる
2週 アルミニウム合金-1(物理的性質、精錬、加工技術等) アルミニウム合金の諸特性を理解できる
3週 アルミニウム合金-2(JISに規定された各種合金) JISに規定された各種アルミニウム合金を理解できる。
4週 アルミニウム合金に応用されている基礎技術-1(加工硬化、析出硬化) アルミニウム合金の強化法を理解できる
5週 アルミニウム合金に応用されている基礎技術-2(拡散、接合) アルミニウム合金の加工法を理解できる
6週 銅合金-1(物理的性質、精錬、加工技術等) 銅合金の諸特性を理解できる
7週 銅合金-2(JISに規定された各種合金) JISに規定された各種銅合金を理解できる
8週 銅合金に応用されている基礎技術(回復と再結晶) 銅合金の加工法を理解できる
2ndQ
9週 マグネシウム合金-1(物理的性質、精錬、加工技術等) マグネシウム合金の諸特性を理解できる
10週 マグネシウム合金-2(JISに規定された各種合金) JISに規定されたマグネシウム合金の諸特性を理解できる
11週 マグネシウム合金に応用されている基礎技術(結晶構造と加工性) マグネシウム合金の加工法を理解できる
12週 チタン合金(JISに規定された各種合金) チタン合金の諸特性を理解し、JIS規格合金を理解できる
13週 チタン合金に応用されている基礎技術(合金状態図) チタン合金の加工法を理解できる
14週 粉末冶金と応用されている基礎技術(焼結) 粉末冶金法の特長について理解できる
15週 その他の非鉄金属、複合材料 その他の非鉄金属、複合材料についての工業的利用方法を理解できる
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学材料系分野材料物性金属の一般的な性質について説明できる。4前1,前4,前6,前9,前12,前14,前15
原子の結合の種類および結合力や物質の例など特徴について説明できる。4前1,前4,前6,前9,前12,前15
結晶構造の特徴の観点から、純金属、合金や化合物の性質を説明できる。4前1,前4,前6,前9,前12,前15
陽子・中性子・電子からなる原子の構造について説明できる。3
ボーアの水素原子模型を用いて、エネルギー準位を説明できる。3
4つの量子数を用いて量子状態を記述して、電子殻や占有する電子数などを説明できる。3
周期表の元素配列に対して、電子配置や各族および周期毎の物性の特徴を関連付けられる。3
結晶系の種類、14種のブラベー格子について説明できる。4前1,前4,前6,前9,前12,前15
ミラー指数を用いて格子方位と格子面を記述できる。4前1,前4,前6,前9,前12,前15
代表的な結晶構造の原子配置を描き、充填率の計算ができる。4前1,前4,前6,前9,前12,前15
X線回折法を用いて結晶構造の解析に応用することができる。4前1,前4,前6,前9,前12,前15
電子が持つ粒子性と波動性について、現象を例に挙げ、式を用いて説明できる。3
量子力学的観点から電気伝導などの現象を説明できる。3
不純物半導体のエネルギーバンドと不純物準位を描き、伝導機構について説明できる。3
真性半導体の伝導機構について説明できる。3
金属材料製銑および製鋼工程について、原料ならびに主設備、主な炉内反応を説明できる。3前1
純鉄の組織と変態について、結晶構造を含めて説明できる。3前1
炭素鋼の状態図を用いて標準組織および機械的性質を説明できる。3前1
炭素鋼の焼なましと焼ならしについて冷却速度の違いに依存した機械的性質の変化を説明できる。3前1
炭素鋼の恒温変態(T.T.T.)曲線と連続冷却変態(C.C.T.)曲線の読み方とこれらの相違を説明できる。3前1
炭素鋼の焼入れの目的と得られる組織、焼入れによる機械的性質の変化を説明できる。3前1
焼入れた炭素鋼の焼戻しの目的とその過程に関する知識を活用し、焼入れ焼き戻しによる機械的性質の変化を説明できる。3前1
合金鋼の状態図の読み方を利用して炭化物の種類や析出挙動を説明できる。4前1
合金鋼の添加元素と機械的性質に関する知識を利用して、合金鋼の用途を選択できる。4前1
状態図を用いて、鋳鉄の性質および組織について説明できる。3前1
純銅の強度的特徴、物理的、化学的性質について説明できる。4前6,前7,前8
黄銅や青銅について、その成分および特徴を理解し、適切な合金を応用できる。4前6,前7,前8
アルミニウムの強度的特徴、物理的・化学的性質について説明できる。4前2,前3,前4,前5
鋳造用・展伸用アルミニウムについて、その成分や熱処理による組織学的変化の観点から適切な合金を応用できる。4前2,前3,前4,前5
無機材料原子の構成粒子を理解し、原子番号、質量数、同位体について説明できる。3前1
パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。2
価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。2
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質について説明できる。2
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。2
化学結合の初期理論としてのオクテット則(八隅説)により電子配置をルイス構造で示すことができる。1
原子価結合法により、共有結合を説明できる。2前1
イオン結合の形成と特徴について理解できる。2前1
金属結合の形成と特徴について理解できる。3前1
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比などの基本的な計算ができる。2前1
酸化還元の知識を用いて酸化還元の反応式から酸化剤、還元剤の濃度等の計算ができる。3
イオン化傾向と電池の電極および代表的な電池について説明できる。3
電気分解に関する知識を用いてファラデーの法則の計算ができる。2
代表的な非金属元素の単体と化合物の性質を説明できる。2
代表的な金属元素の単体と化合物の性質を説明できる。3
セラミックス、金属材料、炭素材料、複合材料等、無機材料の用途・製法・構造等について説明できる。4前4,前6,前9,前10,前12,前14,前15
単結晶化、焼結、薄膜化、微粒子化、多孔質化などに必要な材料合成法について説明できる。3前14,前15
複合材料複合材料の発展や分類について説明できる。4前4,前14,前15
複合材料の機械的強度や複合則について説明できる。4前4,前5,前14,前15
界面のぬれの観点から、複合化しやすいものと複合化しにくいものを区別できる。3前14,前15
強化形態ごとに主要な製造法を説明できる。4前14,前15
強さの複合則、比強度、比剛性の観点から、複合化するメリットを説明できる。3前4,前15
直交異方性の複合材料の弾性定数について理解できる。3前4,前15
強化材を分類でき、強化機構について説明できる。3前4,前5,前15
ガラス繊維、炭素繊維の製造法を説明できる。3前15
材料組織点欠陥である空孔、格子間原子、置換原子などを区別して説明できる。4前1
線欠陥である刃状転位とらせん転位を理解し、変形機構と関連して説明できる。4前1
面欠陥である積層欠陥について説明できる。4前1
物質系の平衡状態について、安定状態、準安定状態、不安定状態を説明できる。3前4,前5,前9,前13
ギブスの相律から自由度を求めて系の自由度を説明できる。3前4,前5,前9,前13
純金属の凝固過程での過冷却状態、核生成、結晶粒成長の各段階について説明できる。2前1,前9,前13
2元系平衡状態図上で、てこの原理を用いて、各相の割合を計算できる。3前1,前5,前6,前9,前13
全率固溶体型の状態図を、自由エネルギー曲線と関連させて説明できる。3前1,前5,前6,前9,前13
共晶型反応の状態図を用いて、一般的な共晶組織の形成過程について説明できる。3前1,前5,前6,前9,前13
包晶型反応の状態図を用いて、一般的な包晶組織の形成過程について説明できる。3前1,前5,前6,前9,前13
弾性変形の変形様式の特徴、フックの法則について説明できる。4前1,前4,前6,前11,前13
塑性変形におけるすべり変形と双晶変形の特徴について説明できる。4前1,前4,前6,前11,前13
刃状転位とらせん転位ならびに塑性変形における転位の働きを説明できる。4前1,前4,前6,前11,前13
降伏現象ならびに応力-歪み曲線から降伏点を求めることができる。4前1,前4,前6,前11,前13
加工硬化、固溶硬化、析出硬化、分散硬化の原理を説明できる。4前1,前4,前6,前11,前13
格子間原子型および原子空孔型の拡散機構を説明できる。4前1,前4,前5,前8
拡散係数の物理的意味を説明できる。4前1,前4,前5,前8
回復機構および回復に伴う諸特性の変化を説明できる。4前1,前4,前8
再結晶粒の核生成機構および優先核生成場所を説明できる。4前1,前4,前8
再結晶粒の成長機構を説明できる。4前1,前4,前8
自由エネルギーの変化を利用して、相変態について説明できる。2前1
共析変態で生じる組織を描き、相変態過程を説明できる。2前1
マルテンサイト変態について結晶学的観点からの相変態の特徴を説明できる。2前1
環境廃棄物処理の目的と資源化について説明できる。2
工作精密鋳造法、ダイカスト法およびその他の鋳造法における鋳物のつくりかたを説明できる。3前1,前3,前6,前7,前11,前13
鋳物の欠陥とその検査方法を説明できる。2前1,前3,前6,前7,前11,前13
塑性加工法の種類を説明できる。3前4,前5,前6,前8,前11,前13,前15
鍛造とその特徴を説明できる。3前1,前4,前6,前11,前13
プレス加工とその特徴を説明できる。3前1,前4,前6,前11,前13
転造、押出し、圧延、引抜きなどの加工法を説明できる。3前1,前4,前6,前11,前13

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80000020100
基礎的能力4000001050
専門的能力3000001040
分野横断的能力100000010