金属熱処理論

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 金属熱処理論
科目番号 5MG05 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 材料システム工学科(2017年度以降入学生、但し、令和4年度は材料工学科を含む) 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 参考書:金属材料工学(森北出版)、非鉄金属材料(日本金属学会)及びプリント
担当教員 川上 雄士

到達目標

1.鋼に適用される熱処理法について,目的と方法を説明できる.
2.焼入れ性に及ぼす合金元素の影響について説明できる.
3.オーステナイトの等温変態と連続冷却変態について説明できる.
4.熱処理に伴う組織変化,と機械的性質との関係が説明できる.
5.熱処理による残留応力の発生機構について簡単に説明できる.
6.表面熱処理方法について説明できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1鋼に適用される熱処理法について,目的と方法を説明できる.鋼に適用される熱処理法について,目的と方法を理解できる.鋼に適用される熱処理法について,目的と方法を理解できない
評価項目2熱処理に伴う組織変化,と機械的性質との関係が説明できる.熱処理に伴う組織変化,と機械的性質との関係が理解できる.熱処理に伴う組織変化,と機械的性質との関係が理解できない.
評価項目3表面熱処理方法について説明できる表面熱処理方法について理解できる表面熱処理方法について理解できない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
鉄鋼材料やアルミニウムは工業の多くの分野で使用され、使用に当たってはその性能を十分に発揮ために熱処理が施される。本科目では鉄鋼材料やアルミニウム合金の熱処理方法を理解し、それを実用材料に幅広く応用する力を養う。
実務経験のある教員による授業科目:この科目は、企業で機械部品材料の研究開発、熱処理・表面処理技術を担当していた教員により、その経験を活かして現場での技術の事例を含めた講義を行うものである。
授業の進め方・方法:
ノート講義であるが,金属材料学Ⅰ,Ⅱの教科書を参考書として使用するため,毎時間持参すること.
注意点:
定期試験(中間試験40%+期末試験40%)80%、小テスト・課題等20%として評価する。
到達目標に記載した内容を主な評価基準とする試験を実施し、60点以上を合格とする。
必要に応じて再試験を実施するが、評価は60点とする。
次回の授業範囲を予習し、専門用語の意味等を理解しておくこと。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 金属熱処理の概要 金属熱処理の概要を理解できる
2週 加熱・冷却とミクロ組織 温度とミクロ組織の関係を理解できる
3週 冷却時の相変態(パーライト,マルテンサイト,ベイナイト変態) 冷却時の相変態を理解できる
4週 TTT曲線とCCT曲線 TTT,CCT曲線を理解できる。
5週 熱応力と変態応力 熱応力と変態応力について理解できる
6週 マルテンサイト変態 マルテンサイト変態について理解できる
7週 焼き割れ防止の焼入れ法 焼き割れ防止法について理解できる
8週 中間試験
4thQ
9週 鋼の焼戻し機構 焼戻し機構について理解できる
10週 鋼の焼戻しと機械的性質 鋼の焼戻しと機械的性質について理解できる
11週 高合金鋼(鋳鉄)の焼戻しと機械的性質 鋳鉄の焼戻しと機械的性質について理解できる
12週 表面熱処理(浸炭) 浸炭について理解できる
13週 表面熱処理(窒化,ほう化,高周波熱処理) その他表面処理法について理解できる
14週 Al合金の熱処理 Al合金の熱処理について理解できる
15週 非鉄金属材料の熱処理 非鉄金属材料の熱処理について理解できる
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学材料系分野材料物性金属の一般的な性質について説明できる。4後1,後15
原子の結合の種類および結合力や物質の例など特徴について説明できる。4後1,後15
結晶構造の特徴の観点から、純金属、合金や化合物の性質を説明できる。4後1,後15
結晶系の種類、14種のブラベー格子について説明できる。4後1,後15
ミラー指数を用いて格子方位と格子面を記述できる。4後1,後15
代表的な結晶構造の原子配置を描き、充填率の計算ができる。4後1,後15
X線回折法を用いて結晶構造の解析に応用することができる。2後1,後15
金属材料製銑および製鋼工程について、原料ならびに主設備、主な炉内反応を説明できる。2後3
純鉄の組織と変態について、結晶構造を含めて説明できる。4後3,後12
炭素鋼の状態図を用いて標準組織および機械的性質を説明できる。4後3,後12
炭素鋼の焼なましと焼ならしについて冷却速度の違いに依存した機械的性質の変化を説明できる。4後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後13
炭素鋼の恒温変態(T.T.T.)曲線と連続冷却変態(C.C.T.)曲線の読み方とこれらの相違を説明できる。4後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後13
炭素鋼の焼入れの目的と得られる組織、焼入れによる機械的性質の変化を説明できる。4後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後13
焼入れた炭素鋼の焼戻しの目的とその過程に関する知識を活用し、焼入れ焼き戻しによる機械的性質の変化を説明できる。4後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後13
合金鋼の状態図の読み方を利用して炭化物の種類や析出挙動を説明できる。4後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11
合金鋼の添加元素と機械的性質に関する知識を利用して、合金鋼の用途を選択できる。4後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11
状態図を用いて、鋳鉄の性質および組織について説明できる。4後6,後9,後11
純銅の強度的特徴、物理的、化学的性質について説明できる。3後15
黄銅や青銅について、その成分および特徴を理解し、適切な合金を応用できる。3後15
アルミニウムの強度的特徴、物理的・化学的性質について説明できる。3後14
鋳造用・展伸用アルミニウムについて、その成分や熱処理による組織学的変化の観点から適切な合金を応用できる。3後14
材料組織点欠陥である空孔、格子間原子、置換原子などを区別して説明できる。2
線欠陥である刃状転位とらせん転位を理解し、変形機構と関連して説明できる。2
面欠陥である積層欠陥について説明できる。2
物質系の平衡状態について、安定状態、準安定状態、不安定状態を説明できる。4後6
ギブスの相律から自由度を求めて系の自由度を説明できる。4後6
純金属の凝固過程での過冷却状態、核生成、結晶粒成長の各段階について説明できる。4後2
2元系平衡状態図上で、てこの原理を用いて、各相の割合を計算できる。4後2
全率固溶体型の状態図を、自由エネルギー曲線と関連させて説明できる。4後2
共晶型反応の状態図を用いて、一般的な共晶組織の形成過程について説明できる。4後2
包晶型反応の状態図を用いて、一般的な包晶組織の形成過程について説明できる。4後2
弾性変形の変形様式の特徴、フックの法則について説明できる。2後10,後11
塑性変形におけるすべり変形と双晶変形の特徴について説明できる。2後10,後11
刃状転位とらせん転位ならびに塑性変形における転位の働きを説明できる。2後10,後11
降伏現象ならびに応力-歪み曲線から降伏点を求めることができる。2後10,後11
加工硬化、固溶硬化、析出硬化、分散硬化の原理を説明できる。2後10,後11
格子間原子型および原子空孔型の拡散機構を説明できる。2後2,後6,後13
拡散係数の物理的意味を説明できる。2後2,後6,後13
回復機構および回復に伴う諸特性の変化を説明できる。4後2,後14,後15
再結晶粒の核生成機構および優先核生成場所を説明できる。4後2,後14,後15
再結晶粒の成長機構を説明できる。4後2,後14,後15
自由エネルギーの変化を利用して、相変態について説明できる。4後2,後6
共析変態で生じる組織を描き、相変態過程を説明できる。4後2,後6
マルテンサイト変態について結晶学的観点からの相変態の特徴を説明できる。4後2,後6
力学荷重と応力、変形とひずみの関係について理解できる。3後10,後11
応力-ひずみ曲線について説明できる。3後10,後11
フックの法則を用いて、縦弾性係数(ヤング率)、応力およびひずみを計算できる。3後10,後11
許容応力と安全率を説明できる。3
線膨張係数の意味を理解し、熱応力を計算できる。4

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80000020100
基礎的能力4000001050
専門的能力3000001040
分野横断的能力100000010