概要:
この授業では、旧来の環境倫理学が解決しようとした問題はいったいどのようなものであるのか、彼(彼女)らの試みのどのような点において、理論的な不十分さが認められるのか、そして私たちはどのようにそれらを乗り越えて行くべきなのか、研究の最前線を担う環境倫理学者たちの論評をもとに考察する。
授業の進め方・方法:
・担当者の作成したレジュメを参照しながら、教科書の内容を批判的に吟味する。
・担当者は各章ごとに定める。初回(序章)は担当教員がレジュメを作成する。
・担当者は、自らがまとめたレジュメをもとに、受講者全員の前で各章の要約を行う(数分程度)。その後、担当教員による講義を行う。
・理由の如何を問わず、レジュメの作成を怠った場合は大幅に減点する。※なお、授業時数の関係上、第1,6,12,13章については本講義では扱わない。
注意点:
点数配分:レジュメ作成および発表30%、課題レポート(1~3回)70%を目安として評価する。
再試験:行わない。
評価基準:60点以上を合格とする。
本科目は学修単位科目であるので、授業時間以外での学修が必要であり、これを課題として課す。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
ガイダンス (授業の進め方、成績評価方法、再試験の有無等) |
本授業の目的と概要、評価方法について理解する。
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2週 |
序章 環境倫理の現在 ― 二項対立図式を超えて |
旧来の環境倫理学で主流となっていた、「二項対立」図式の特徴と難点について理解できる。
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3週 |
第2章 自然・人為 ― 都市と人工物の倫理 |
従来の環境倫理学において、環境保護の対象から除外されてきた都市と人工物が、人類社会の「環境」を構成する重要な要素であることが理解できる。また、自ら具体的な事例を挙げ、さらに当該事例を本章の議論を応用しながら分析することができる。
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4週 |
第3章 生命・殺生 ― 肉食の倫理、菜食の倫理 |
「肉食か菜食か」という問いの立て方では、私たちは肉食文化を維持することに付随する倫理的諸問題の実相を捉え損なってしまう、ということが理解できる。また、自ら具体的な事例を挙げ、さらに当該事例を本章の議論を応用しながら分析することができる。
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5週 |
第4章 公害・正義 ― 「環境」から切り捨てられたもの/者 |
水俣病から現代の環境問題への歴史を基盤に、環境正義の概念が理解できる。また、自ら具体的な事例を挙げ、さらに当該事例を本章の議論を応用しながら分析することができる。
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6週 |
第5章 責任・未来 ― 世代間倫理の行方 |
予防原則と世代間倫理の基本理念を、それらが生じてきた時代背景も含めて理解できる。また、自ら具体的な事例を挙げ、さらに当該事例を本章の議論を応用しながら分析することができる。
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7週 |
第7章 「外来対在来」を問う ― 地域社会のなかの外来種 |
「外来種=悪」という図式を批判的かつ慎重に吟味することができる。また、自ら具体的な事例を挙げ、さらに当該事例を本章の議論を応用しながら分析することができる。
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8週 |
第8章 「持続可能性」を問う ― 「持続可能な」野生動物保護管理の政治と倫理 |
多くの事例には、語り手が自身の関心・都合に合わせて問題の構造を描写する、いわゆる「フレーミング」が施されているということを、野生動物保護管理を事例にして理解できる。また、自ら具体的な事例を挙げ、さらに当該事例を本章の議論を応用しながら分析することができる。
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4thQ |
9週 |
第9章 「文化の対立」を問う ― 捕鯨問題の「二項対立」を超えて
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捕鯨問題が純粋な環境問題ではなく、政治的・社会的・文化的・倫理的問題でもあることが理解できる。また、自ら具体的な事例を挙げ、さらに当該事例を本章の議論を応用しながら分析することができる。
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10週 |
第10章 「自然の再生」を問う ― 環境倫理と歴史認識 |
自然環境保護や自然再生事業について考える際、自然観と歴史認識の問題が深く関与するということが理解できる。また、自ら具体的な事例を挙げ、さらに当該事例を本章の議論を応用しながら分析することができる。
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11週 |
第11章 「地球に優しい」を問う ― 自然エネルギーと自然保護の隘路 |
風力発電を批判的に検討することで、新技術は必ずしも問題を解決するわけではなく、新たな問題を生み出す可能性もはらんでいることを理解する。また、自ら具体的な事例を挙げ、さらに当該事例を本章の議論を応用しながら分析することができる。
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12週 |
第14章 政策から政/祭へ ― 熟議型市民政治とローカルな共的管理の対立を乗り越えるために |
熟議型市民政治とローカルな共的管理という二つの意思決定モデルの有用性と限界が理解できる。また、自ら具体的な事例を挙げ、さらに当該事例を本章の議論を応用しながら分析することができる。
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13週 |
第15章 安全(ゼロリスク)から危険(リスク)へ ― 生態リスク管理と予防原則をめぐって |
術者をはじめとする専門職業人と、一般市民のような非専門家の間には、「なにをもって安全とするか」という点において意見の相違が見られることがある、ということが理解できる。また、自ら具体的な事例を挙げ、さらに当該事例を本章の議論を応用しながら分析することができる。
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14週 |
第16章 制御(コントロール)から管理(マネジメント)へ ― 包括的ウェルネスの思想 |
環境問題の解決策を模索する上で、問題をトレードオフの構造にあてはめることは得策ではない、ということが理解できる。また、自ら具体的な事例を挙げ、さらに当該事例を本章の議論を応用しながら分析することができる。
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15週 |
終章 まとめ |
技術者に課せられた環境配慮義務を、適切に履行しようとする積極的な意志が見についている。
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 工学基礎 | 技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史 | 技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史 | 説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。 | 3 | 後5,後6,後11,後12,後13,後14,後15 |
環境問題の現状についての基本的な事項について把握し、科学技術が地球環境や社会に及ぼす影響を説明できる。 | 4 | 後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15 |
国際社会における技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。 | 4 | 後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15 |
技術者の社会的責任、社会規範や法令を守ること、企業内の法令順守(コンプライアンス)の重要性について説明できる。 | 3 | |
技術者を目指す者として、諸外国の文化・慣習などを尊重し、それぞれの国や地域に適用される関係法令を守ることの重要性を把握している。 | 3 | |
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。 | 3 | 後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15 |
技術者を目指す者として、平和の構築、異文化理解の推進、自然資源の維持、災害の防止などの課題に力を合わせて取り組んでいくことの重要性を認識している。 | 3 | 後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15 |