分子生物学

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 分子生物学
科目番号 7C13 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質工学専攻(生物応用化学コース) 対象学年 専2
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 分子生物学講義中継part1 井出利憲著 羊土社、基礎講義遺伝子工学Ⅰ 山岸明彦著 東京化学同人、基礎講義遺伝子工学Ⅱ 深見希代子・山岸明彦編 東京化学同人
担当教員 中嶌 裕之

到達目標

1.DNA分子の構造と機能とを理解し、説明できる。
2.生殖の意味を遺伝学の立場から理解できる。
3.生物の分類について理解できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
DNA分子の構造、機能の理解DNA分子構造を説明でき、その機能について理解しているDNA分子の構造の説明はできる。機能について部分的に理解しているDNAの構造及び機能について理解できていない
生殖の遺伝学的理解無性生殖・有性生殖の理解ができており、生殖による遺伝子の保存についても理解している無性・有性生殖について違いは理解できている生殖様式について理解できていない
生物の分類の理解生物の分類について理解できている原核生物と真核生物との違いは理解できている生物の分類について理解できていない

学科の到達目標項目との関係

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教育方法等

概要:
生体の機能を分子レベルで理解するために、遺伝及びその周辺の生命現象を分子の観点から学習する。すなわち、「分子遺伝学」を基軸に「細胞生物学」及び「発生生物学」の基礎的な内容を理解する。
授業の進め方・方法:
作成したプリントを基に講義を進める。前半は、生物の系統分類を中心に生物の概要を解説し、後半は、遺伝子の分子生物学を中心に講義する。
注意点:
専攻科1年後期の「生体機能分子学」の受講を前提として進める。本科目は、学修単位科目であるので、授業時間以外での学修が必要であり、これを課題として課す。
定期試験(期末試験)の100%で評価し、60点以上を合格とする。必要に応じて再試験を行う。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 生物の分類Ⅰ ホイッタカーの五界説について説明できる
2週 生物の分類Ⅱ 生物の系統分類について説明できる
3週 生物の生殖方法 生物の無性生殖、有性生殖について説明できる
4週 生物の増殖 体細胞分裂と減数分裂について説明できる
5週 細胞周期と染色体 細胞周期の各時期について染色体の動向を含め説明できる
6週 遺伝学的基礎 核酸の構造、DNAの複製、転写・翻訳について説明できる
7週 遺伝子工学の原理Ⅰ:用いられる酵素 制限酵素、その他の酵素についてその名称と働きを説明できる
8週 遺伝子工学の原理Ⅱ:クローニングに用いるベクター プラスミドベクター、ファージベクターについて特徴、利用方法を説明できる
2ndQ
9週 遺伝子工学の原理Ⅲ:大腸菌の取扱い 大腸菌等宿主細胞について説明できる
10週 PCR法 PCR法の原理と方法について説明できる
11週 ライブラリー作製 ライブラリーの種類と違いについて説明できる
12週 ハイブリッド形成法 ハイブリッドの形成法について説明できる
13週 遺伝学の解析 遺伝子の色々な解析方法について説明できる
14週 遺伝子発現の解析 遺伝子発現の解析法について説明できる
15週 遺伝子組換え植物 遺伝子組換え植物の作成方法とその利用法について説明できる
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野基礎生物原核生物と真核生物の違いについて説明できる。4前1,前3,前4
核、ミトコンドリア、葉緑体、細胞膜、細胞壁、液胞の構造と働きについて説明できる。4前1,前3,前4,前5,前6
葉緑体とミトコンドリアの進化の説について説明できる。4前1,前2,前3,前4,前5,前6
代謝、異化、同化という語を理解しており、生命活動のエネルギーの通貨としてのATPの役割について説明できる。4前7
酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。4前7,前10
光合成及び呼吸の大まかな過程を説明でき、2つの過程の関係を説明できる。4前7
DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。4前3,前4,前5,前6,前8
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。4前3,前4,前5,前6,前8
染色体の構造と遺伝情報の分配について説明できる。4前3,前4,前5,前6,前12
細胞周期について説明できる。4前4,前5,前6,前12
分化について説明できる。4前6,前12
ゲノムと遺伝子の関係について説明できる。4前4,前6
細胞膜を通しての物質輸送による細胞の恒常性について説明できる。4前3,前4
フィードバック制御による体内の恒常性の仕組みを説明できる。4前4
情報伝達物質とその受容体の働きを説明できる。4前4
免疫系による生体防御のしくみを説明できる。4前6
生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。4前4
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。3前4
単糖と多糖の生物機能を説明できる。3前4
単糖の化学構造を説明でき、各種の異性体について説明できる。3前4
グリコシド結合を説明できる。3前4
多糖の例を説明できる。3前4
脂質の機能を複数あげることができる。3前4
トリアシルグリセロールの構造を説明できる。脂肪酸の構造を説明できる。3前4
リン脂質が作るミセル、脂質二重層について説明でき、生体膜の化学的性質を説明できる。3前4
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。3前6
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。3前6
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。3前6,前7
タンパク質の高次構造について説明できる。3前6,前7
ヌクレオチドの構造を説明できる。4前4,前5,前8,前10,前11,前13
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。4前4,前5,前8,前10,前11,前13
DNAの半保存的複製を説明できる。4前8,前10,前11,前13
RNAの種類と働きを列記できる。4前8,前13,前14
コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。4前8,前13,前14
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。3前7
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。3前7
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる。3前7
解糖系の概要を説明できる。3前15
クエン酸回路の概要を説明できる。3前15
酸化的リン酸化過程におけるATPの合成を説明できる。3前15
嫌気呼吸(アルコール発酵・乳酸発酵)の過程を説明できる。3前15
各種の光合成色素の働きを説明できる。3前4,前15
光化学反応の仕組みを理解し、その概要を説明できる。3前4,前15
炭酸固定の過程を説明できる。3前4,前15
生物工学原核微生物の種類と特徴について説明できる。4前1,前2,前9
真核微生物(カビ、酵母)の種類と特徴について説明できる。4前1,前2,前9
微生物の増殖(増殖曲線)について説明できる。4前3,前4,前9,前15
微生物の育種方法について説明できる。4前3,前4,前9,前15
微生物の培養方法について説明でき、安全対策についても説明できる。4前3,前4,前9,前15
アルコール発酵について説明でき、その醸造への利用について説明できる。3前15
食品加工と微生物の関係について説明できる。3前15
抗生物質や生理活性物質の例を挙げ、微生物を用いたそれらの生産方法について説明できる。3前14,前15
微生物を用いた廃水処理・バイオレメディエーションについて説明できる。3前15

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力500000050
専門的能力500000050
分野横断的能力0000000