物性化学

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 2021
授業科目 物性化学
科目番号 6C11 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質工学専攻(生物応用化学コース) 対象学年 専1
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教材は適宜配布します。参考図書:「ライフサイエンス基礎化学」青島 均・右田たい子著(化学同
担当教員 辻 豊

到達目標

1.原子軌道、分子軌道が理解できる。
2.σ結合、π結合が分子軌道により説明できる。
3.電気伝導性などの物質の性質が分子軌道により理解できる。
4.身の回りの変化が化学的に理解できる。
5.化学変化を支配するものが理解できる。
6.原子の構造を理解し、核反応について説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1原子・分子の電子配置から、その簡単な性質が予測できる。分子・原子の電子配置をMOやAOを使い書き込むことができる。電子殻から抜けきれない。
評価項目2σ結合・π結合の性質・反応性が説明できる。σ分子軌道・π分子軌道がどのようなものか説明できる。σ結合とπ結合の区別がつかない。
評価項目3導電体・半導体・絶縁体の違いが分子軌道を用い説明できる。導電体・半導体・絶縁体の違いが説明できる。導電体・半導体・絶縁体の違いが判らない。
評価項目4気体・液体・固体の状態が温度と分子間力の関係で説明できる。気体・液体・固体が分子論的に説明できる。気体・液体・固体が分子論的に説明できない。
評価項目5熱力学第二法則を理解し、ギブス自由エネルギーと平衡定数と結びつけることができる。熱力学第二法則を理解できる。熱力学第二法則を理解できない。
評価項目6核反応を説明できる。原子の構造を説明できる。原子の構造を説明できない。

学科の到達目標項目との関係

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教育方法等

概要:
化学の大きな柱である「化学結合論」と「化学熱力学」について、物質の性質・身の回りの変化を通して学ぶ。
授業の進め方・方法:
教材は適宜配布します。参考図書:「ライフサイエンス基礎化学」青島 均・右田たい子著(化学同人)、「フォトサイエンス化学図録」(数研出版)、「フロンティア軌道論で化学を考える」友田修二著(講談社ライフサイエンス)、「入門化学熱力学」松永義夫著(朝倉書店)
注意点:
基本的にチョークアンドトークにより進めて行きます。適宜スライドを用います。できるだけ日常生
活の「変化」を化学的な観点から、説明して行きたいと思います。日常の生活において「なぜ?」と
感じたことがありましたら、質問してください。
本科目は学修単位科目であるので、授業時間以外での学修が必要です。課題を出します。
次回の授業範囲を予習し、専門用語の意味等を理解しておくこと。
60点以上を修得とする。再試験を行う。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 原子の構造(福島原発で何が起こっているの?) 原子の構造を理解し、核反応を説明できる。
2週 原子の構造と周期表(周期表の謎) 電子殻から原子軌道に理解を深める。
3週 電子殻と原子軌道 原子軌道に電子の入り方を理解する。
4週 物質の性質と結合(結合の特徴) イオン結合・共有結合・金属結合を理解し、そこから発現する物質の特徴がわかる。
5週 原子軌道と共有結合(炭素同素体の秘密) 混成軌道を理解し、形に結び付けることができる。
6週 分子軌道入門1(導電性ポリマーの秘密) σ分子軌道とπ分子軌道がわかる。
7週 分子軌道入門2(光と物質の色) 分子と電磁波との相互作用がわかる。
8週 分子間力・水素結合(水の特異性) 水素結合を理解し、そこから発現する水の特異性を説明することができる。
2ndQ
9週 物質の三態(状態図の見方、氷はなぜすべるのか?) 状態図の見方がわかる。
10週 仕事と熱(エアコンはなぜ冷えるのか?) 物質の変化と熱の出入りを説明できる。
11週 化学反応と熱の出入り(熱力学第一法則) エンタルピーについて理解できる。
12週 エントロピーと変化(熱力学第二法則) 熱力学第二法則を理解できる。
13週 ギブス自由エネルギーと平衡定数 ギブス自由エネルギーを理解でき、平衡定数と結びつけることができる。
14週 酸と塩基(ブレンステッドの定義と酸解離定数) ブレンステッドの定義が理解でき、酸の強さを酸解離定数を使い議論できる。
15週 酸と塩基(ルイスの定義とHSAB) ルイスの定義を理解し、電子式からルイス酸・ルイス塩基を判断できる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学(一般)化学(一般)物質が原子からできていることを説明できる。3前1
同素体がどのようなものか具体例を挙げて説明できる。3前1
物質を構成する分子・原子が常に運動していることが説明できる。3前9
水の状態変化が説明できる。3前9
物質の三態とその状態変化を説明できる。3前9
原子の構造(原子核・陽子・中性子・電子)や原子番号、質量数を説明できる。3前1
同位体について説明できる。3前1
放射性同位体とその代表的な用途について説明できる。3前1
原子の電子配置について電子殻を用い書き表すことができる。3前2
原子のイオン化について説明できる。3前4
原子番号から価電子の数を見積もることができ、価電子から原子の性質について考えることができる。3前2
元素の性質を周期表(周期と族)と周期律から考えることができる。3前2
イオン結合について説明できる。3前4
イオン結合性物質の性質を説明できる。3前4
イオン性結晶がどのようなものか説明できる。3前4
共有結合について説明できる。3前4
構造式や電子式により分子を書き表すことができる。3前4
自由電子と金属結合がどのようなものか説明できる。3前4
金属の性質を説明できる。3前4
酸・塩基の定義(ブレンステッドまで)を説明できる。3前14,前15
電離度から酸・塩基の強弱を説明できる。3前14,前15
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学σ結合とπ結合について説明できる。3前5,前6,前7
混成軌道を用い物質の形を説明できる。3前5
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。3前6,前7
ルイス構造を書くことができ、それを利用して反応に結びつけることができる。3前5
共鳴構造について説明できる。3前5
無機化学主量子数、方位量子数、磁気量子数について説明できる。3前3
電子殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できる。3前3
パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。3前3
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質を説明できる。3前3
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。3前4
イオン結合と共有結合について説明できる。3前4
基本的な化学結合の表し方として、電子配置をルイス構造で示すことができる。3前4
金属結合の形成について理解できる。3前4
代表的な分子に関して、原子価結合法(VB法)や分子軌道法(MO法)から共有結合を説明できる。3前4,前5
電子配置から混成軌道の形成について説明することができる。3前5
配位結合の形成について説明できる。3前4
水素結合について説明できる。3前4
物理化学放射線の種類と性質を説明できる。2前1
放射性元素の半減期と安定性を説明できる。3前1
年代測定の例として、C14による時代考証ができる。2前1
核分裂と核融合のエネルギー利用を説明できる。3前1

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力10000000100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000