環境倫理学

Course Information

College Kurume College Year 2017
Course Title 環境倫理学
Course Code 0173 Course Category General / Compulsory
Class Format Lecture Credits Academic Credit: 2
Department 物質工学専攻(生物応用化学コース) Student Grade Adv. 1st
Term Second Semester Classes per Week 2
Textbook and/or Teaching Materials 教科書:鬼頭秀一/福永真弓(編著)『環境倫理学』、東京大学出版会;その他の教材・資料については、講義中に適宜配布する。
Instructor 藤木 篤

Course Objectives

1.現実に生じている環境問題の実情を理解する。
2.旧来の環境倫理学で主流となっている、「二項対立」図式の長所と短所を的確に捉えることができる。
3.「二項対立」図式に代わる、新たな環境倫理学理論が求められていることを理解する。

Rubric

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1現実に生じている環境問題の実情を理解している。現実に生じている環境問題の実情に関する知識を有している。現実に生じている環境問題の実情を理解できていない。もしくは理解が不十分である。
評価項目2「二項対立」図式の長所と短所を的確に捉えた上で、事例分析の際の有用なツールとして二項対立図式を活用することができる。「二項対立」図式の長所と短所を的確に捉えることができる。「二項対立」図式の特徴が理解できていない。もしくは不十分な理解に留まっている。
評価項目3「二項対立」図式に代わる、新たな環境倫理学理論が求められていることを、その背景とともに理解し、さらに実際にそうした理論を創出しようとする態度・志向性を有している。「二項対立」図式に代わる、新たな環境倫理学理論が求められていることが理解できる。「二項対立」図式に代わる、新たな環境倫理学理論が求められていることが理解できない。

Assigned Department Objectives

JABEE A-1 See Hide

Teaching Method

Outline:
この授業では、旧来の環境倫理学が解決しようとした問題はいったいどのようなものであるのか、彼(女)らの試みのどのような点において理論的な不十分さが認められるのか、そして私たちはどのようにそれらを乗り越えて行くべきなのか、研究の最前線を担う環境倫理学者たちの論評をもとに考察する。
Style:
・担当者の作成したレジュメを参照しながら、教科書の内容を批判的に吟味する。
・担当者は各章ごとに定める。初回(序章)は担当教員がレジュメを作成する。
・担当者は、自らがまとめたレジュメをもとに、受講者全員の前で各章の要約を行う(数分程度)。その後、担当教員による講義を行う。
・理由の如何を問わず、レジュメの作成を怠った場合は大幅に減点する。※なお授業時数の関係上、第1, 6, 12, 13章については本講義では扱わない。
Notice:
点数配分:レジュメ作成および発表30%、課題レポート(1〜3回)70%を目安として評価する。
再試験:行わない。
評価基準:60点以上を合格とする。
本科目は学修単位科目であるので、授業時間以外での学修が必要であり、これを課題として課す。

Course Plan

Theme Goals
2nd Semester
3rd Quarter
1st ガイダンス (授業の進め方、成績評価方法、再試験の有無等) 本授業の目的と概要、評価方法について理解する。
2nd 序章 環境倫理の現在―二項対立図式を超えて 旧来の環境倫理学で主流となっていた、「二項対立」図式の特徴と難点について理解できる。
3rd 第2章 自然・人為―都市と人工物の倫理 従来の環境倫理学において、環境保護の対象から除外されてきた都市と人工物が、人類社会の「環境」を構成する重要な要素であることが理解できる。また自ら具体的な事例を挙げ、さらに当該事例を本章の議論を応用しながら分析することができる。
4th 第3章 生命・殺生―肉食の倫理、菜食の倫理 「肉食か菜食か」という問いの立て方では、私たちは肉食文化を維持することに付随する倫理的諸問題の実相を捉え損なってしまう、ということが理解できる。また自ら具体的な事例を挙げ、さらに当該事例を本章の議論を応用しながら分析することができる。
5th 第4章 公害・正義―「環境」から切り捨てられたもの/者 水俣病から現代の環境問題への歴史を基盤に、環境正義の概念が理解できる。また自ら具体的な事例を挙げ、さらに当該事例を本章の議論を応用しながら分析することができる。
6th 第5章 責任・未来―世代間倫理の行方 予防原則と世代間倫理の基本理念を、それらが生じてきた時代背景も含めて理解できる。また自ら具体的な事例を挙げ、さらに当該事例を本章の議論を応用しながら分析することができる。
7th 第7章 「外来対在来」を問う―地域社会のなかの外来種 「外来種=悪」という図式を批判的かつ慎重に吟味することができる。また自ら具体的な事例を挙げ、さらに当該事例を本章の議論を応用しながら分析することができる。
8th 第8章 「持続可能性」を問う―「持続可能な」野生動物保護管理の政治と倫理 多くの事例には、語り手が自身の関心・都合に合わせて問題の構造を描写する、いわゆる「フレーミング」が施されているということを、野生動物保護管理を事例にして理解できる。また自ら具体的な事例を挙げ、さらに当該事例を本章の議論を応用しながら分析することができる。
4th Quarter
9th 第9章 「文化の対立」を問う―捕鯨問題の「二項対立」を超えて 捕鯨問題が純粋な環境問題ではなく、政治的・社会的・文化的・倫理的問題でもあることが理解できる。また自ら具体的な事例を挙げ、さらに当該事例を本章の議論を応用しながら分析することができる。
10th 第10章 「自然の再生」を問う―環境倫理と歴史認識 自然環境保護や自然再生事業について考える際、自然観と歴史認識の問題が深く関与するということが理解できる。また自ら具体的な事例を挙げ、さらに当該事例を本章の議論を応用しながら分析することができる。
11th 第11章 「地球に優しい」を問う―自然エネルギーと自然「保護」の隘路 風力発電を批判的に検討することで、新技術は必ずしも問題を解決するわけではなく、新たな問題を生み出す可能性もはらんでいることを理解する。また自ら具体的な事例を挙げ、さらに当該事例を本章の議論を応用しながら分析することができる。
12th 第14章 政策から政/祭へ―熟議型市民政治とローカルな共的管理の対立を乗り越えるために 熟議型市民政治とローカルな強敵管理という二つの意思決定モデルの有用性と限界が理解できる。また自ら具体的な事例を挙げ、さらに当該事例を本章の議論を応用しながら分析することができる。
13th 第15章 安全(ゼロリスク)から危険(リスク)へ―生態リスク管理と予防原則をめぐって 技術者をはじめとする専門職業人と、一般市民のような非専門家の間には、「なにをもって安全とするか」という点において意見の相違が見られることがある、ということが理解できる。また自ら具体的な事例を挙げ、さらに当該事例を本章の議論を応用しながら分析することができる。
14th 第16章 制御(コントロール)から管理(マネジメント)へ―包括的ウェルネスの思想 環境問題の解決策を模索する上で、問題をトレードオフの構造に当てはめることは得策ではない、ということが理解できる。また自ら具体的な事例を挙げ、さらに当該事例を本章の議論を応用しながら分析することができる。
15th 終章 および まとめ 技術者に課せられた環境配慮義務を、適切に履行しようとする積極的な意志が身についている。
16th

Evaluation Method and Weight (%)

試験発表相互評価態度ポートフォリオレポートTotal
Subtotal03000070100
基礎的能力0150003550
専門的能力0000000
分野横断的能力0150003550